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サイコロの目

作者: みりほい

 人生はすごろく、俺はそう思っている。


 そして俺のサイコロ運はとても悪い。生まれてから一度も6が出た事は無いんじゃないか?本気でそう思っている。


 生まれは4月1日で早く生まれたやつと1年の違いがあった。ここから確実にサイコロの目は1だよな。

 早く生まれたやつらが歩き始めている頃に、俺はまだお腹の中で手や足を少し動かすだけで喜ばれてたんだぜ。嫌になるよな。

 で、生まれてみたらついた名前が総一って。俺のサイコロの目は全部1かっての。


 幼稚園、小学校も人生すごろくで先を進んでいるやつらが根こそぎ良いポジションを持っていく。俺に残されたポジションなんてクソみたいなもんだった。


 幼稚園のお遊戯会で俺に与えられた役目は木だ。しかも端の奥だ。園児なんてきちんと並べないからな。俺なんて舞台からこぼれ落ちたようなところに立ってたよ。親も見えてなかったんじゃないか。


 小学生の徒競走の時は1位になれるようにサイコロの目は6を願ったさ。でも現実は逆だよ。サイコロの目は1で、6は順位だよ。そんなもんだよな。


 中学生になっても変わらない。サイコロの目は名前の通り総一だった。

 成績の事は聞いてくれるな。俺は部活を頑張ってたんだ。でも折角出られた新人戦も一回戦の相手が結局優勝したチームだったりな。俺たちも優勝目指してたから負けるつもりなんて全くなかったけど。でも部活のみんなも巻き込んで申し訳ないことをしたと思ってる。


 俺は一発逆転を狙って生徒会役員にも立候補した。いや、正確には立候補しようとした、だ。立候補人数が超過して1名だけくじで落とされることになった。もちろんそれは俺だった。

 

 俺は腐らずにここまで頑張ったつもりなんだけどな。サイコロの目は一向に変わらない。

 でも中一もあと1か月で終わろうとしている頃だった。その日はバレンタインデー。あちこちでチョコの受け渡しをしている。


 俺もクラスで仲が良い女子に呼び出された。今度こその6が出て欲しいと期待しつつも、ガッカリしないような心構えでついていった。


「総一くん、貰ってくれる?」


 出た……


 俺は生まれて初めてバレンタインのチョコを貰った。それは1つだけだったけど俺は生まれて初めてサイコロの目で6が出たと思えた。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!


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