ある戦場にて
能力のチラ見せ的な
「クソクソクソッ!なんだってあんな奴がこんな所にいやがんだ!」
荒野の中を1人の青年が駆ける。
その男は鉄製の帽子に迷彩服上下、足元はブーツに覆われ、手にはライフルといういかにも軍人と言った出立ちだったが、その武器は敵に向けられることはなく、彼の思考は戦うことではなくただ逃げることにのみそのリソースが費やされていた。
「石田も、村田も、三田さえも、アイツにやられた!何でだ、どうして『藤原一族』がこんな僻地の戦場にいるんだ!」
激昂しながら青年は走る。
戦っても勝ち目など一つもないことを、一瞬の内に仲間を失った先程の戦闘で嫌というほどわかってしまったから。
「見つけた」
「!?」
気がつくと100mほど先に人影がいた。
その声は青年には届かなかったに違いないが、彼はその人影が彼の恐れていた人物であることが直感的にわかった。
「う、うわああああああああ!!?」
青年は半狂乱になって銃を乱射する。
手も銃身もブレまくり、狙いの定まりも何もない無茶苦茶な射撃だ。とは言えこの距離であれば何発かは敵の体を掠める…はずであった。
「!??!?」
しかしその弾丸はいずれも敵に当たる直前で不自然に軌道を変える。
まるで弾の方から敵を避けていくように。
「ははは、シールドを使うまでもないな」
敵は意地の悪い笑顔を浮かべながらゆっくりと近づいてくる。
「畜生!またこの能力…!こ、このせいで俺の仲間達は何もできずに一方的にやられた!間違いねえ、これが噂に聞く『?藤』の…!だけどこんなの、どう対処したらいいんだよ!」
「さてと、それじゃあお遊びもこの位でおしまいにしようかな。君達を殺っても『ポイント』は少ないんだけど、僕みたいな下位の名字が他の『藤原一族』を倒そうと思ったらなんだってしなくちゃね」
ドン!ドン!ドン!
敵の手に握られた拳銃から続け様に3発の弾丸が発射される。
「シールド展開!」
青年は左手に嵌められた指輪から直径30cmほどの半透明の膜…いわゆるシールドを空中に出現させ身を守る。
しかし…
「それは無駄だって、さっき見たばっかりだろう?」
放たれた弾丸は空中で不意に軌道を変え、シールドを迂回して青年の体を貫いた。
やられた人の名前は上田君です。