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回り回ってなにもない
1人でなんでもできてしまう人間というのは
今の社会においては生きにくいのだ。
なぜか?人の力を借りなくて良いからである。
僕は料理がそこそこうまい。
調味料をそこそこ使えるからだ。
食材だって1人で買いに行ける。
見分け方もちょっとなら分かる。
でも、だからなんなのか?という話なのだ。
料理研究家には僕はなれない。
要するになにが言いたいのかというと、
何か1つに特化するということができないのである。
何者かになりたい僕は、一生おそらく
何者にもなることができないのだ。
こんなに悲しいことはない。
しかしそれが事実として僕に襲いかかってくるのだ。
何か1つしかないというのは
ものすごく幸せであると思う。
何か1つしか知らないというのも
とても幸せなことであると思う。
選択肢が少ないというのは
悩む必要がないので楽なのだ。
僕はそこそこできてしまうが故に、
選択肢が増えて悩みも深い。
あれもできるしこれもできる。
しかし回り回ってなにもない。
こんな人生を何度も送ってきている。
この文章を読んでいる君はどうだい?