第51話:カルシウムは大切なんです
定期テスト終了!
高校一年すべてのテストが終わったので、とてつもない解放感に浸っております。
さ、書きますよ!
これはまだ、僕が入院していた頃の話――――
「凄く昔っぽく聞こえるけど、一週間前くらいの話なんだろ?」
うん。せっかくの僕の地の文に入ってこないでくれるか、タク。
「うぃーす」
「はぁ……」
朝目覚めてからずっとベットに転がったまま。個室から大部屋へ引っ越したとはいえ、散歩もできない。つまり、暇で暇でしょうがない。
なんで足なんか骨折したんだろ。これじゃ歩き回れないじゃん。せめて腕……もだめだ。生活できない。首? 頭? いや死ぬって。
良い子のみんな。これからはカルシウムをちゃんと摂ろう。給食の牛乳程度じゃあだめだ。
「ほらっ、ちゃんと牛乳飲まないと大きくなれないわよ!」
「いいもん! ボク、もう大きいもん!」
思ってた矢先からこれか。そこのちびっこのキミ。そんなんじゃ、不良にボコられたときに生き残れないぞ。カルシウムを摂ろう、カルシウム。
「だめよ、ちゃんと飲まなきゃ! 骨が強くならないわよ! あのおにーさんみたいになるのよ?」
ん? 今僕を指差しましたか? 目、合いましたよね? 逸らしましたよね?
「ねぇねぇ」
「ん?」
気付けばベットのそばには、さっきの男の子。
「おにーさんは、どうして怪我しちゃったの?」
「………………」
さて、どうしよう。まさか『怖い人達にいっぱい殴られちゃった、テヘッ』と正直に言うわけにもいかないし……。
「おにーさん、なんでー?」
「いや、その……、ビルの五階から落ちちゃって」
「五階から!? おにーさんスゴい!!」
「え、あっ、あははは……」
問、ビルの五階から落ちて骨折で済みますか?
答、死にます。
「ごめん、さっきのは冗だ……」
「ボクもお空を飛んでみたい!!」
おかしい。絶対におかしい。どういう道筋を辿ったらそうなるんだ。まず僕の何が凄い?
……五階から落ちて生きてれば、そりゃ凄いか。
「ねぇ? どーすればおにーさんみたいにできるの?」
「タ、タミフルでも飲めば……」
と、言いかけて気付いた。
目視せずとも分かる。僕を射抜かんとする強烈な視線。防御力が下がるだけでは済みそうもない『にらみつける』攻撃。
「でも、絶対に真似しないように。僕みたいになるよ?」
「うん! だからボク、ちゃんと牛乳飲む!」
「……そういうことじゃなくて」
「おにーさんもちゃんと牛乳飲むんだよ? じゃーねー」
僕の話を徹底的に取り違い変に理解した男の子は、一言言い捨てると、嵐のように去っていった。
あの子の未来が心配だけど……あそこのおばさん(母親かな?)が矯正してくれるだろう、きっと。
「ただいま、おかーさん」
「おかえり。何話してたの?」
「んー……? あのおにーさん、見た目どおりバカだった!」
はいぃ?
「あらあら、そうだったの」
「うん!!」
そして、声が割れんばかりの笑い声を響かせて、二人の親子は退室した。
「………………」
最近のちびっこは、かなりレベルの高いおませさんですね。勉強になりました。
…………くそぅ。




