表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/61

第4話:注意事項は守るべき


2時間目、僕・海梨ちゃん・ひのでちゃんは、まぁ大方の予想通り遅刻した。


その時のひのでちゃんの言い訳が――


『前園君のためにガッコをを案内してたら遅れましたっ』


……僕がいいように使われたカタチ。


ぎじゅちゅし……あ、いや、技術室がこんなに遠いとは思わなかった。


というか、初日からこれで大丈夫か? 僕の内申。




で、


「前園、バイバイ!」


「あ、うん。また明日」



授業・掃除も終わり、放課後。


今日だけで話せる友達(海梨ちゃん・ひのでちゃん以外)ができ、なかなかいい出だし。



「孝くん、部活には入らんの?」


「え? あ、まぁ」


GHQ希望、ってことで。


……意味が分からない?


Going Home Quickly(家に早く行く=帰宅部)ですよ。誰もマッカーサーになるとは言ってないです。


どーでもいいけど。


でも、部活に入らないということは友達の幅も減るし、ついでなら柴村君と仲良くなりたいなぁ、と思い話しかけてみることにした。




「柴村君はどこか部活に入るの?」


「ん。ああ、俺は前の学校でサッカーしてたから、ここでもやろうかなぁって」


もうココにも慣れたと思っていたが、意外にぎこちなさが残る柴村君。


まぁ、今日転校してきたばっかだりだし、当り前か。


僕? これでも緊張状態なんです。



「じゃあ、俺はこれで」


運動場へと向かっていった。


…あんまり話せなかった。


なんか少し距離を感じるなぁ。






「柴村と友達になるのは難しいかもしれない」


……ん?


さっきのセリフは僕のものではない。


いくらなんでも、少し距離を感じただけで、そんな根拠もない事を言ったりはしない。


とすると、



「やみよくん?」


振り返ると、やみよくんが壁にもたれかかって腕を組み、クールな雰囲気をかもし出していた。


こうやって正面から見ると、目つきが怖い。



「――柴村琢人。野原見市出身。先月下旬に引越して来た」


「……それが、どうかしたの?」


僕も同じようなもの(というか全く同じ)だが。



「引っ越してきた理由。『柴村』の苗字。


 ……気をつけておいたほうがいい」


それだけ言うと、やみよくんは去って行った。



「どういうことだ? 気を、つける?」


夕日が差し込む僕一人しかいない教室で、その言葉は吹奏楽部の練習する音でかき消された。





僕がやみよくんの言った意味を知るのは、この1時間後だった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
http://syosetsu.fan-site.net/ オンライン小説検索・小説の匣
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ