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第40話:お店って店長の性格そのまんまだよね




「……でさ、こーちゃんがそこで言ったわけ。『すいません…。もう一ヵ月調べてみます』って」


「マジかよ!? 家族の行動調査研究を親の前で発表しといてまだ言うか?」


「う、うるさいな。調査不足を指摘されたと思ったんだよ、その時は」


「担任の先生もすごいよね。わかってて授業参観で孝介くんに発表させたんだー」


「おかげで家に帰ったら延々と説教。あぁ、思い出しただけで寒気がする……」



てな感じで、僕・タク・ナオ・海梨ちゃんは、葉桜駅前通りの一角“喫茶・閑古鳥”の一番奥の四人席を占領。特に何をするわけでもなく、話に花を咲かせていた。


ちなみに店名につっこんではいけない。なぜかって?


……貼り紙に書いてあるからだ。ご丁寧にも『By店長』とまである。だったらこんな名前をつけるなよ、店長。


そんな店名にもかかわらず、結構繁盛していたりするから驚きだ。なんでも『カレーライスが美味しい喫茶店』として有名らしい。“カレー屋・閑古鳥”の看板が見れる日もそう遠くないのかもしれない。てか早く替えろ、カレー屋に。



「なんだろうな。僕は個性的エキセントリックな先生に恵まれる体質なのか? 今も昔も」


「その結果恵まれたのかは別として、ね? あっ、すいませーん! デラックスチョコバナナパフェお願いします!」


「あ、私はイチゴアイス下さい」


辺り一面香辛料の香りが漂う中、律儀にも喫茶店らしい(?)メニューを頼む僕ら。ちょっと浮いている。


だが、おかしいのは僕らではなく周りのはずだ。そう信じたい。



「んじゃ、僕はドリンクおかわりしてこようかな」


「あ、俺も行く。井戸端のも淹れてこようか?」


意外にも海梨ちゃんに対して積極的に行動するタク。なんだ、手伝う必要なんてなかったのかな。



「えっいいよ。私が自分で……」


「遠慮するなよ。同じやつでいいな?」


「うん……」


おお、タクが押し切った。なかなかやるじゃん。


隣のナオと目が合う。僕と同じことを思っていたのか、ニッと笑った。


そして、二人で四人分(流れによりナオのも追加)のグラスを手に、ドリンクバーへ。なぜ喫茶店なのにドリンクバー形式なのかは問うまい。ほとんどファミレスと化しているし。


それとも喫茶店とはこんなものなのだろうか。来たことが無いからよく分からない。



「……で、井戸端ってさっき何飲んでたっけ?」


「忘れたのかよ!!」


「いやー、今の今までは憶えてたんだぜ?」


自慢になってない。言い訳にすらなってない。



「オレンジジュースだろ?」


「おっ! そうだったそうだった。サンキュ」


なんで僕が憶えてるのか自分でも不思議だが、それとは別に一つタクに聞きたいことが。



「なぁ、タク」


「なんだ?」


「ナオって何飲んでたっけ?」


「おまえもかよ!!」











その後、自分達の席に孝介と戻った俺ら。あ、視点が俺に変わったぜ。注意しとけ。



「……って、何やってんだ?」


腹を押さえて蹲っている今藻さんと、オロオロ見ている井戸端。


テーブルの上にある、空になったパフェ容器(デケェ…)を見ればなんとなく予想はできるが……。



「大丈夫か!?」


孝介が慌てた様子で駆け寄った。



「え、えへへ……。食べ過ぎちゃった」


「はぁ……全く。ナオ、トイレ行くぞ」


孝介はそう言うと、さりげなく今藻さんに寄り添った。


こいつ、意外に紳士的なところあるんだな。見習おう。



「ねぇ海っち。あたしのバックとってくれないかな……?」


「あ、うん。でもどうして……?」


「えっ! ……と、ほら。あの……あっ、ハンカチが入ってるから」


「あっ、そうだよね! はい」


「ありがと」


バックを受け取ると、二人はカウンターの方向に歩いて行った。


残されたのは、俺と井戸端。


おいおい……。二人きりだぞ? どうするよ、俺。



「えっと、琢人くん。とりあえず座ろっか」


「そだな」


やば。緊張してきた……。




  〜五分後〜





「……遅いね。なっちゃん」


「……そだな」


それほど時間は経ってないはずだが、この会話は一体何度目になる?


それだけ会話が続かない。


くそっ、頑張れ俺! 頑張るんだ俺!!



「なあ井戸端」


「どうしたの?」


「えーと……孝介のやつ、遅いな」


「遅いねー」


…………俺のバカ。



「お客様」


「は、はい」


びっくりした。いきなり話し掛けないでくれよ店員さん。



「こちら、お下げしてもよろしいですか?」


そう言ってパフェ容器を指差す店員さん。


今藻さんのだけど、まぁ、空だからいいか。



「お願いします」


「はい」


こんなデカい容器をどうやって持っていくのか気になっていたけれど、店員さんは難なく片手でひょいと持ち上げた。さすがだな、プロは違う。



「……ん?」


と、ここで気付いた。さっきまでパフェ容器があったところに、小さな紙切れが置いてあることに。多分、容器の下にあったんだろうな。



「琢人くん、それ何…?」


「紙、だ。……うん? 何か書いてある」


小さい字だな。えーと……。



『二人っきりで楽しみな。タク、頑張れ。孝介・奈央』



「……………………」


「琢人くん? どうしたの?」


「いや、なんでもない」



…………あいつらァ。



そんな作者は、喫茶店と呼称される飲食店に一度として足を運んだことがありません。なので、文中の表現はすべてイメージです。


さて、一方の孝介と奈央はいかに…。

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