第2話:空気を読んでも略したら「KY」
「あれ? 前園君、柴村君知らない?」
先生。僕は「柴村君」がどんな人であるかさえ知りません。
「まいっか」
いいのか!?
「とりあえず、前園君から自己紹介どぞっ!」
「はい……」
なんなんだ、このテンション高い担任は。
「野原見市から来た、前園孝介です。えーと、部活は……」
ガラガラガラーッ
いきなりドアが開き、教室中の視線がそっちに向く。
「遅れてすみません!!」
なんだおまえいきなりドア開けてびっくりするだろコノヤロウ、という空気の中、
「転校してきた柴村琢人です。よろしくおねがいします」
「はい。よろしくおねがいします。」
遅れてきたことは軽く流す先生。
なかなかいい神経をお持ちのようだ。
「さて、2人の自己紹介が終わったところで」
前言撤回。僕の自己紹介、終わってませんけど。
「じゃあ、転校生も含めて席替えをしよーっ!」
先生の言葉に教室が沸く。
いや、だから僕の自己紹介が終わってませんけど〜!?
「えっと」
席替えしたのはいいんだけど、隣はというと、
「柴村君、でしたっけ?」
「はぁ、隣ですね」
「…………」
「………………」
わかりますかね? この気まずさ。
例えるなら、別れた恋人とその日に駅のホームで会ってしまう、くらいの気まずさ。
え、違う?
「あらら。転校生2人が隣になっちゃったか」
なっちゃいました。
「まあ、いっか。それじゃあ1時間目の学活、始めるよ」
流した……。
「起立っ。きおつけ。礼!」
「「「ありがとーございました」」」
さっき決まった委員長が号令をかける。
名前は……、なんだったっけ?
う〜ん、忘れた。
片付けが終わると、教室中の人がこっちのほうに来て、
「ねぇ、前はどこの学校にいたの?」
「部活は何?」
「うちのテニス部に来いよ」
「彼女とかいるの?」
と、質問攻め。
……柴村君が。
そりゃ、隣はかっこいいし、いかにも『スポーツしてます』ってかんじだけど、
いくらなんでも寂しい。
と。
「前園君、だっけ? 転校生の」
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