第16話:学園ベタ 其の参・校長の話は長い
外は生憎の曇り空。
でも、雨は降っていない。
だから……、
「体育祭、決行だそうです!!」
内線から連絡が来たようだ。
居眠りしていた野乃先生が起き、教壇にのぼる。
「よし! みんな、用意はいい? 今度こそ優勝するよ!!」
『おぉぉぉぉおお!!』
てなわけで、体育祭が始まった。
ハズが、
「……で、あるからして…………で、あるからして……で、ある……」
せっかく気合いを入れたんだから、競技してるシーンにジャンプしようよ…。
そりゃまあ、校長の話は学校あるあるの筆頭だけどさ。
しかも、雨が降ってきてるし。
つまり僕たち生徒は、濡れながら運動場に立っているわけで、校長の話は終わる気配が全くない。
……みんなの気持ちを総合してお伝えしましょう。
『雨が降ってんだから早めに切り上げろ!!』(実体験です。by作者)
あ、校長の話が終わった。やっと雨から逃れられる……。
「次はPTA会長からのお話です」
『そんなもの省略しろ!!』(これも実体験です。風邪引きそうになります。by作者)
雨は話が終わると同時に止みましたとさ。ひっでーの。
「最初の競技って何だっけ?」
僕は一番頼りになりそうな榎木武彦委員長に訊いた。
まぁ、本当はやみよなんだけど、話しかけにくいんだよな、あいつ。
「はい。最初は100メートル走や走り高跳びといった点数の低い個人種目です。前園さんはどの種目にご出場に?」
……同学年のはずなんだけどなぁ。
「僕は綱引き(全員参加)と騎馬戦(ほぼ全員参加)と大リレー(同じく)、あと障害物競走かな?」
「それでしたら、これの次が綱引きですからご準備なされては?」
「わかった。綱引きって全員参加種目だから榎木委員長も出るんだよね?」
「はい、もちろんです」
「それじゃ、一緒に行こうよ」
「はい!」
さて、疑問も氷解したことだし応援しようかな。
今は女子100メートル走やってる。
一組の代表は……、おっ、ひのでちゃんだ。
「位置について。
用意」
パァン!
ピストルが鳴ると同時に走者は一斉に走りだした。
「ひのでちゃん、頑張れ〜!」
と、言っている間にもゴール。
結果は、もちろん一位。
それにしても、ひのでちゃんの速いこと速いこと。
スタートから約30メートルで勝負がついた、と言っても過言ではない。
「さすが、ひのでさんは凄いですね」
「凄いにも程があるだろ」
あれは中学生レベルじゃない。
ああいうのを総称して『人間離れした』と形容する。
「ですが、他の競技は苦戦しているようです」
なるほど。運動能力が突出している凩姉弟がいるために、バランスを考えて運動のできる人を他のクラスにまわしたわけだ。
でも、まずその二人を離したほうが手っ取り早いんじゃないか?
「うーん、期待できそうなのはタクの走り幅跳びと、紀鷺のハードル走ぐらいだな」
「やみよさんはご出場されていないようですし」
「ということは、点数の高い綱引きや騎馬戦で勝たなきゃいけないわけだ」
「頑張りましょう」
「当ったり前」
まだ体育祭は始まったばかりだ。
『ただ今の三年女子100メートル走、一位の凩さんの記録は、学校新記録でした』
すげ……。
ん〜、コメディ少なかった…。
とはいっても、シリアスでは絶対ないし。
まぁ学校生活でいつも変なことが起こるわけではない、ということで。
あ、でもこれ小説か…。
次は頑張ります。
追伸。ご評価・感想送ってくださった方々、本当にありがとうございます!! 嬉しすぎて作者のテンションは上がりっぱなしです!