第12話:意見のある人は挙手をお願いします
と、いうわけで始まりました、短編です。
今回はクラスマッチ編!
ちなみに、短編書きながら長編も書き始めたりしています。
うーん、なかなか書けない…。
「クラスマッチ、が来週ぐらいにあるみたいなんでー」
担任の野々之村野乃先生の一言で始まった、今日の学活。
……先生は、朝○新聞のテレビ欄の裏ではないです。多分。
「来月には体育祭があるというのに面倒くさいなぁ、とは思いますが」
思うなよ。
「この授業のうちに、何の競技をするか協議してもらいます!」
せんせー、だじゃれですか〜? と声が上がるが、軽く無視する野乃先生。
「じゃあ、委員長。あとはよろぴく〜」
と言い、椅子に腰掛け、先生は眠り始めた。
……眠り始めた!?
「タク。教師が居眠りしてるぞ」
「しかも、みんなは平然と」
日常茶飯事、なんだろうな。
「では、意見がある人は、挙手して言ってください」
と、教壇に立ったひのでちゃんが標準語で言うと、
ドッチボール! ビーチバレー! 野球拳! リア○鬼ごっこ! ずく○んずんぶ○ぐんゲーム! など、色々な案が飛び交う。
……えーと、まず2・3番目、変態だろおまえら。4・5番目、とりあえず黙ろうか。
「きちんと考えてください! ちなみに、これまでは…、何があったっけ、榎木くん?」
ひのでちゃんが、横にいたもう一人の学級委員長、榎木武彦くんに訊いた。
「前回までは、サッカー、大リレー、叩いて被……、などです」
最後のやったの!?
「これらをふまえて、何か意見のある人!」
ふまえない方がいいと思います。
と、クラスのみんなも僕と同じ事を思ったのか、誰も手を挙げていない。
まあ、ネタが尽きただけかもしれないけど。
そんな先生に怒られている途中みたいにシーンとしている空気が嫌になったのか、ひのでちゃんが委員長モードを解除して口を開いた。
「カイリ! 頭ええんやから、なんか思い付かんの?」
いきなりの名指しに海梨ちゃんはビクッとしたけど、すぐに真剣に考えだした。
普通は自分が一人で考えることに疑問を抱くと思うんだけどなぁ…。
と、思い付いたのか、海梨ちゃんは律儀にも手を挙げた。
「クイズ、ってどうでしょうか…?」
思いもよらない提案に、教室がざわめく。
「来月には体育祭があるので、スポーツじゃないほうがいいかなぁ、と思って…」
うーん。そうかもしれないけど、やっぱりクラスマッチといえばスポーツじゃないのかな?
「そうだね」
と同意したのは、いつの間にか起きた、野乃先生。
「ほら、毎回スポーツだしさ、いいんじゃないの? ねえ、前園君?」
なぜ僕に振る?
「…それで良いと思いますよ」
「てことで、クイズに決定!」
ええ〜〜!? と、生徒から不満の声が上がった。
「仕方ないでしょ。転校生の意見を尊重しなくちゃ、ね?」
げ。
クラス中の恨みがこもった視線が僕に向いた気がした。
このために話を振ったのか…?
とんでもないことをする先生だった。
だってさあ、先生に逆らえるわけないじゃん。一応転校して来たばかりだよ、僕。
「と、いうことで、委員長さん2人はこの案を生徒会に提出しておいてください。」
どうやら決定事項らしい。
「俺、頭悪ィんだけどなぁ」
横のタクが呟く。
かく言う僕も、頭が良いわけではないんだけどね。
「他のクラスとも話し合うみたいだし、通らないと思うよ」
「そうだといいんだけどな」
「絶対に有り得ないって」
孝介「なんでクイズにしたの?」
海梨「私、運動全然ダメだから、みんなに迷惑がかかると思って…」
孝介「ちなみに50メートル走のタイムは?」
海梨「……8秒9」
孝介「?? 別に普通じゃん。むしろ女子としては速いんじゃない?」
海梨「え、そうなの!? でも、やみよくんもヒノちゃんも5秒台って言ってたし…」
孝介「化け物だ……」