第11話:計略内容は事前にしっかり確認を
その後、柴村廉人についてはあやふやで有耶無耶なまま、誰も発言しなくなった。
皆が皆、それぞれの日常を歩みだした。
柴村琢人も例外ではない。
あいつもあいつですぐにクラスに溶け込んでいった。
その中で、本来なら語られるべきではない会話のヒトカケラ。
「いや〜、まさかあんなに上手くいくとは思わなかった」
「『事実を捻じ曲げる』とかカッコイイこと言っときながら、手口がショボかったな」
「うるさい。仕方ないだろ、思いつかなかったんだから」
「『事実を捻じ曲げる』…? どういうこと、孝介くん?」
「ああ、あの時の柴村父いただろ? あれ、本当は僕の父さんなんだ」
「ええ!? ウソやろ?」
「まぁ、離婚してるから法律的にどうかは知らないけど、まぎれもない我が父だよ。ちなみに野原見市在住」
「うわ〜。気ぃつかんかったわ」
「ま、メガネかけて、髪型変えて、あと口調も少し変えたしね。というか、変えさせた」
「ということは、アレ全部演技?」
「そ。僕が考えたシナリオ」
「じゃあ、柴村くんは…」
「俺はホントに『殺人犯の息子』、だな」
「まさか、私に謝ったのも台本?」
「いや、なかったな。なんだあれ? お前の親父のアドリブか?」
「そんなわけないだろ。あれも台本にあった」
「え? そんな話聞いてないぞ」
「言ってないんだから当たり前だろ」
「まぁ、言ってないんじゃ仕方……って、ええ!?」
「今回の僕の目的は2つ。タクの疑いを晴らすこと。もう1つは、海梨ちゃんに謝らせること」
「謝ってなかったんはウチも気になってはおったけど…」
「俺も騙されてたのか…」
「やっとわかった?」
「おい。ここに犯罪者予備軍がいるぞ」
「いまのうちに逮捕しとこうか?」
「ウチも賛成〜」
「なんで!?」
「え〜と。詐欺?」
「うそぉ!」
「まぁまぁ。なにはともあれ一件落着だな」
「一応訊くけどさぁ、2人はあれが演技だったって知ったうえで、琢人のことどう思う?」
「私は、イイヒトだと思うよ」
「ウチも同感やな」
「本人の前で言うなよ…」
「うわ、照れてる」
「可愛いかも?」
「げ。何言ってんだてめぇら!」
「怒った怒った」
「逃〜げろ〜」
「こら! 待て!!」
学校生活は、まだ始まったばかりだ。
『転校生は殺人犯の息子!?+地味』
〜〜了〜〜
「あ! 最終回じゃないですよ! まだまだ続きますから!!」
第一長編が終わりました。どうだったでしょうか? 読者の皆さんが納得できる内容になっていれば良いのですが…。
ひと段落ついたので、次は人物紹介でもしようかな〜、と思います。思っているだけです。
あと、感想・評価を送っていただけたらテンション上がります。
と、いうわけでここまで読んでいただきありがとうございます。
そしてできれば、これからも宜しくお願いします。