第0話:プロローグ兼エピローグ!?
この作品はフィクションです。実在の人物・団体・事件などには、少しも、一切、これっぽっちも関係ありません。
早咲きの桜の花びらが風に舞う、葉桜第三中学校の校庭。
このままでは、入学式の頃には花が全て散ってその名の通り『葉桜』となってしまいそうだが、卒業生は自分達の新たな門出を祝ってくれてるみたいだね、と、割と自分勝手なことを言っている。
そう、今日は葉桜三中の卒業式。
在校生はとっくに帰宅し、学校には別れを惜しむ卒業生達が談笑していた。
そんな校庭の一隅にて。
「おい孝介」
「ん?」
それまで無駄話より一転、真剣な表情で我が親友・柴村琢人が僕を見つめた。
そろそろ、かな?
気付かないふりをしていたけど、もう別れの時間が近付いて―――
「おまえ……、第二ボタン付いたままじゃん!」
「んだと!?」
そこ!? 真剣な話ってそこ!? 寂寥モードに入りかけだった僕の気持も考えろ!
ちなみに琢人の第二ボタンは無いし! 羨ましーなぁ、おい。
「仕方ないな。俺が貰ってやるよ」
「はぁ!?」
※BLではありません。
「なぜにそうなる!?」
「知らなかったのか? 第二ボタンを5つ集めて応募すると…」
「すると…?」
「……」
「……?」
「……ぁ……ぅ」
「……??」
「えっと…」
「せめて最後までボケろ!」
新テク『ボケを促すツッコミ』を習得した。
……いらねー。
「まあまあ、ひとが慰めようとしてやってるんだから」
「余計なお世話だよ」
「あ、そっか。おまえには彼女がいるのか」
「アレは違う!」
「そうか? …まぁいっか」
卒業式なのに、なんでこんなに疲れなければならないのだろう?
「お、井戸端と凩だ。お〜い!」
ちょうど通りかかった海梨ちゃんとひのでちゃんが気が付いて、こっちにやって来た。
「どうしたの? あ、孝介くん。まだ第二ボタンが付いてるよ?」
「ホンマや〜。孝くん、どしたん?」
ここまでの問題なのか? 第二ボタンって。
あと、学校での僕の評価を考えてほしい。『地味』の一言で片がつくような人間ですよ、僕。
「しゃ〜ないな。ウチが貰うわ、それ」
「なんで?」
「そりゃ、5つ集めて応募すると…」
「と?」
さぁどう来る、ひのでちゃん!?
・ ・ ・ 。
「…………うぅ」
ブルータス、おまえもか。
「そこまで言うなら、孝介。おまえがその続きを考えろよ」
「僕!? ……えっと、住所・氏名・年齢・番組の感想を書いて…」
「しかし、1年間色々とあったなぁ」
「そうだね〜」
「無視!?」
もういいや。
「孝介くんと琢人くんが転校してきてから、色々事件があったね」
「冗談抜きで死ぬかと思ったし」
これには納得。
……うぉ。
今思い出したら、本当にヤバかったな。
「今ここに生きておれるんは、孝くんのおかげやな」
「そこまで?」
「俺の場合は、その通りだぜ?」
「そんなこともあったね」
「あれは、上手くいきすぎだったけど、…まぁ、確かに」
死ぬ、という訳ではないけれど、ここにいないのは確定だろう。
「あの時は本当にサンキュな」
「……今言う?」
「すまん。前に言い忘れてた」
「琢人くん。遅すぎるよ、いくらなんでも」
「1年前やからなぁ。遅いやろな」
「マヂスイマセン」
1年か…。
今思い返せば、よく卒業できたと思う。
そのあいだ、何回も危機があって、何回も助けられて。
悲しいことも、嬉しいことも、たくさんあって。
「……なんか最終回っぽくね?」
「違う!!」
例えるなら、そう。
これは、僕らが紡いだ物語。
僕らが歩んだ歴史録。
僕らが作った一世界。
「あれ? 琢人くんの第二ボタンも付いたままだよね」
「ただ単に外しとるだけやん」
「あ、バレた?」
「なっ! てめぇ!!」
僕らが奏でた、狂詩曲。
ラプソディー…形式にとらわれない、自由で幻想的な曲。
らしいです。
…はい。どうでもいいですね。
いろいろ登場人物が出てきて読みにくかったかもしれませんが、後から1人1人出てきます。
とりあえず第0話、読んでいただき、誠にありがとうございます。できれば、これからも宜しくお願いします。