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プロローグ
ポタリ、ポタリ。
大粒の涙が白いドレスに落ちて行く。
純白のドレスを身にまとい、ベールを被った女性が涙を流す。
手には薄汚れたノートが一冊。
彼女の昔ながらの愛読書だった。
ノートの中にはある人の人生が綴られていた。
タンスの奥底にしまわれていた古びたノート。
何故か気になりページを開いた。
あの時も今と同じで涙が止まらなかった。
1ページ読み、2ページ読みそして最後のページをめくる。
その時にはなんとも言えない気持ちが込み上げてきた。
愛しさと、葛藤と、切なさと、絶望と、そして少しばかりの希望・・。
コンコンと、ドアをノックされる。
いつまでも泣いていたらいけない。
笑わないと、と笑顔を作り女性は椅子から腰をあげた。
このノートをくれた人。
いきる道筋を示してくれた人。
愛情を注いでくれた人。
大切にしたい人。
このドアの向こうにいる、しっかりと前を見て笑って今の私を見てもらおう。
女性はしっかりとした足取りで豪華なドアが開き中から光が溢れる室内へとしっかりと歩いていったーーーーー。