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異世界潜入捜査官 乱葉黄太郎  作者: 水道代12万円の人(大吉先生)
第一章 始動
4/60

第3話

サブタイトルは切りのいいところだけつけて、あとは話数のカウントのみで行きます。




 ここが異世界であるということは分かった。

 なら、これからどうするかを決めなくてはいけない。

 ただ同じ場所に居座っていると、また先ほどの蟲に襲われかねないので、黄太郎達は東のほうに見えた森まで歩いて移動してきていた。

 木陰に腰を下ろした2人は、一先ず荷物の確認をすることにした。


「お姉ちゃんは何も持ってないなぁ。タブレット端末を持ってたはずだけど、この世界には来てなかったみたい」

「となると、俺のバッグとジャケットが この世界にあるのは機械を入れておいたからですかね。ジャケットもバッグと一緒に置いておいて良かったです。ジャケットに入れていたスマホも入ってましたし」

「で、そのバッグには何が入ってるの?」

「はい、えーと。スマホの充電用コードと、手帳とボールペン。財布と その中に現金で2万円と、各種カードと運転免許に保険証。あとはオヤツのドライマンゴーとエロゲの箱と携帯用の幾つかの薬くらいですか……」

「ちょっと待って! なんか明らかにおかしいのあったよ!!」

「えッ? 何ですか? ドライマンゴーは僕の好物ですよ。ドライオレンジも好きですけど」

「ドライマンゴーは別にいいよ! そうじゃなくて箱! その明らかにR‐18っぽい箱だよ!! 何それ!?」


 そう叫んで鉄雅音が指さした先には『人外娘とのパラダイスな日々』というエロゲの箱が置いてあった。そのパッケージには扇情的な衣装を纏った人外少女キャラのイラストが描かれている。


「これですか? はは、やだなぁ鉄雅音さん。さっきも言ったでしょ。エロゲの箱ですよ」

「いやだから困惑してるんじゃん!? 何処の世界に仕事用のバッグにエロゲの箱を詰めるやつがいるんだよ!!」

「ああ。ひょっとして鉄雅音さんはDL購入派ですか? いやー、俺はやっぱ箱も買わないと買った気がしなくて」

「ちっげえよ!! 全然そんな話してないじゃん!! 仕事にエロゲの箱を持って行ってもしょうがないって話をしているの!! だいたいパソコンが無いんだから何の役にも立たないでしょ!!」

「パッケージだけで3発は抜ける」

「うっせーな!! 前々から思ってたけどお前バカだろ!!」

「バカじゃないです~! むしろ敵に撃たれたときに胸元にエロゲの箱を入れておくことで『やれやれ、こいつのおかげで助かったな』みたいな展開になるんです~!」

「ならねえよ! 大体そんなにデカい箱を胸元に入れたらジャケットがパッツパツになるわ!! そういう意味わかんないことばかり言うから高校生の時にクラスで浮きまくって『ヘリウムガス』とかワケわかんないアダ名を付けられるんだよ!!」

「Sorry、悪いが聞こえないよ。耳にバナナが入っててな」

「上等じゃあ!! だったらお前の下半身のバナナを切り取って耳の穴に突っ込んでやるわ!!」

「ぐああああ!! 嘘です!! 調子こいてスンマセンした!! マジで止めて!! チャック下ろさないで!! せめて一回くらい使うまでは失くしたくない!!」


 そのままパンツの中のものを引きずり出そうとする鉄雅音と、必死に抵抗する黄太郎とでドッタンバッタン大騒ぎしていたが。

 ――しばらくすると互いに疲れて暴れるのをやめた。


「はー、はー。……疲れましたね。ドライマンゴー食べます?」

「ふー、……そうする」


 そうして、2人は1枚ずつドライマンゴーを摘み、口の中に放り込んだ。

 口の中に甘みと酸味が広がり、咀嚼しているうちにマンゴーの風味が口の中にドンドン溶け出してくる。


「うーん、やっぱドライマンゴーは美味いですね。ドライマンゴーを考えたやつに“ノーベル ドライマンゴーを考えたやつに与える賞”とかあげたいです」

「それもうノーベル関係ないじゃん。……ちょっと落ち着いたし。そろそろ印尾君の置いて行った紙袋の中身も確認しとく? まだ見てないでしょ」

「ですね。むしろ、これが最も重要でしょうし」


 悪ふざけはやめて、黄太郎たちは紙袋の封を切った。




 「リア充爆発しろ」みたいなこと言いますけど、別に彼女とイチャイチャするくらいどうでもいいですね。

 でも「リア充うぜーよなー」とか童貞っぽい顔してるクセに普通に彼女いるそこのお前。

 今からお前の家に行くからな。

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