プロローグは終わりの世界で始まりの音を告げる
簿記関係でいろいろやらかしたのでショック受けて筆進まなくなってました……スミマセン……
「ォォォォォォォォォォオオオオオ!?」
落ちている。
うん。文字通りに物理的に落ちている。
どうやら門が開いた場所はエベレストを何個か重ねるくらいには高い場所で、最初の試練(難易度インフェルノ)ってか? と冗談を言うことすら出来なさそうな状態だ。
「死ねと……ッ!?」
バサバサと制服がはためき、霞んだ地上が段々とはっきり見えるようになっていく。無抵抗ならこのまま死亡確定な状態みたいだ。
「考えろ考えろッ!
此処を切り抜けられる一手をッ!」
頭をフルに回転させながら、何をするにも現時点邪魔でしかない小瓶の持ち手をベルトに通して吊るす。リリリリと風で揺れて瓶の音がそれはそれでうるさいのだが、そんな事よりも動きやすさを重視する。
「落下を止める……パラシュートが妥当か?」
上着を脱いで、ソレを素材に頭に焼き付いたばかりの儀式を始める。
上着を丸めて手の中へと極力収め、手に力を込めて作り出す先を強く思い描く。バチバチと放電し始めたのを手の中のピリピリとした感覚で知覚し、それがじりじりと形を変えていって手のひらを押すのに合わせて中身を解放していく。
「うし、出来た!」
落としそうになったソレを急いで掴みとり、背中へ回して背負う。肩から降りる2本の紐どうしを幾つかのベルトで繋ぎ合わせて固定。ミリタリに使われそうな濃い緑のリュックの形をしたソレに着いた紐を思いっきり引っ張る。
「ぐふっ!?」
胸部に衝撃を受けて息が詰まる。
マズイ、付け方間違ったかも……。なんか折れた……?
胸部から響いてきた嫌な音に冷や汗が垂れ、歯を食いしばってなんとか胸から伝わる痛みを噛み潰す。
骨が折れるって、こんな不気味な感覚するのか……。サッカー部の奴ら、こんなので平然としてたとは……バケモノか?
頭に浮かぶ骨は折って固くしろ系の同級生の影を頭から追い払い、自分を吊り下げる金具たちの固定を確認すると今から降りていく世界。俺がこれから生きていく世界へと目を向ける。
まず初めに目に入るのは、赤。五つにピザカットされたように等分された世界の北(仮)。中心部から扇形に伸びていくその赤色は岩の色たる茶色を斑にして中心から離れるにつれて黒が混じっていく。
そして、火を吹く山。赤を地面へと塗りたくるソレは今までに見たことがないほどに巨大で、根元の溶岩池に古のドラゴンが眠っていると言われても信じそうなほど非現実な大きさ。ドラゴンたちが絡み合って石化したような紋様を持つ山肌。
まさに……まさに!
「まさにファンタジーじゃねぇか!」
興奮を抑えきれないままに次へと目を向ける。
東(仮)にはガラスに囲まれているわけでも無いのに地上より盛り上がって、ぷるりぷるりと波打つ海。
南東(仮)には世界樹か何かにしか見えない樹木やジャックが盗みに登りそうな天貫くツタ。目に映る何もかものスケールが巨大になったジャングル。
南西(仮)を飛ばして……。
西(仮)には、浮遊する島々。鳥のような影がぶつかり合い、片方がぱらぱらと落ちていく。
そして、最後に南西(仮)。
俺が降りて行っているその地域は、砂。虫食いのように砂漠に大部分を抉られ、限りなく小さくなった緑地には小さな森や、村らしきものや、城がしがみつくように存在している。
「最っ高にファンタジーな世界ッ!しゃぶり尽くして楽しみ尽くしてやるッ!」
両手を上げたせいでずり落ちた金具を元の位置へと修正。異世界へのはじめの1歩を踏み出すため、俺は気合を入れ直したのだった。
2017/03/21 誤字訂正