プロローグはチートを添えて
「……っ!ありがとうっ!」
女神は泥混じりな涙を流してその場に崩れ落ちる。その様は見た目通りな少女そのままなようで、肩を貸すと制服で涙を拭きながら泣きじゃくっている。ぬらり、ぬらりといった感覚に歯を食いしばって数分。ようやく泣き止んだ女神をぽんぽん、と肩を叩き、制服を整える。
……ん? 制服が泥まみれになってない……? 肌着まで浸透してぬらぬらした感覚は伝わっていたし泥が触れていたのは確かなのに……。
首をかしげて涙だけで濡れている制服の形を整えていると、女神にはその疑問が筒抜けになっていたらしい。
「救世主くん。この泥が何なのか気になるのかな?」
「あぁ……。キミ以外には引っ付かないみたいなのに、ヘドロに触ってるみたいな不快感がピリピリくる」
ヘドロという言葉には流石に傷ついたのか、整った顔を少し歪め、悲しそうな顔でそれの答えを口にする。
「コレは『世界の泥』だよ」
「『世界の泥』?」
「ええ。世界が歪んで、滅びようとしてるのを私が肩代わりした結果産まれた物さ。他の神に肩代わりしてもらおうにも、例の3匹より下は一瞬ももたずに消滅しちゃうし、3匹より上には私しか居ないのさ……。
私一人じゃそろそろ限界だったから、もうダメかと思ったんだけど……泥の歪みで開いた穴からキミが見えてね。1度目に神託送ったから、身辺整理終わってるんだと思ったら、抵抗されるんだもの。驚いたよまったく……」
神託がどう変換されたらメールになるんだ……。
呆然としていたのを何と勘違いをしたのか、女神は慌ててわたわたと手を振ると、支離滅裂になった言い訳のような何かを始めていた。
まさか連れていく時間を指定しなかったから支度ができていなかったのか? ああ……しっかりしておけば良かった だとか、夢枕くらいには立ってちゃんとした了承を得るべきだったんじゃないのか? 寝ている時に届いて夢だと勘違いされていたんじゃないか…… とか。
あわあわしている女神を安心させよう頭を撫でてみようとかがみ込んで手を伸ばす。30回ほどなでした所でようやくブツブツ言うのが止まる。
「俺は、どんなチートを使ってキミを救えば良い?
今の状態を見た所、出発は早めにするに越したことはないとおもったんだけど……」
チートやら無双やら迷惑メールに書かれていたのだし、やっぱりこの確認は必要だよね。例の3匹を殺す方法となるし。あと、ゴーレム状態より、ソレが剥がれた状態の方が話していて絶対楽しい。
打算気味な最後の方は伝わらなかったようで、ちょっと赤い目元を手でこすって少し悶えた後、涙目のドヤ顔で女神は言い放つ。
「キミに付与するチートは、完全なる錬金術だよ!
生命の通っていない物ならなんだろうと等価交換出来る!
しかも、通ってる物もある程度なら干渉出来る私の付与できる最強級の奴だ!
褒めたたえてもいいんだよ?」
涙目ドヤ顔+褒めたたえてもいいんだよ?という余分な一言のコンボで、ちょっとばかり殴りたくなったのは気のせいだったことにしよう。そうしよう。
TRPGでの夜更かしとか諸々のせいでめっちゃ気分悪い……
今日更新出来なさそうです……(´・ω・`)
土日の方で今日の分を余分に投稿するのでお許しを……
2017/03/16