物資集めのプロローグ リソース集め、ソレは基礎で基本
「ぷはぁっ……」
息が詰まりそうだった神殿を抜け、俺一人で砂漠へ足を踏み入れる。
借入れた砂漠の民族衣装っぽい服がガサガサと音を立てて衣擦れを起こす。嵩張る布の塊のような衣服の腰に下がった皮袋とビンの存在を確認し直す。
魔法のビンの玄関に並べた治療用命石を収める予定のコンテナ。皮袋はそこへ運搬するために借り受けたものだ。
バスケットボール一つが入りそうな大きさの皮袋。ミドリの過労死寸前からの復帰には3袋。毒に侵されてしまったコムギの復帰には5袋って所らしい。
利子も有るって言ってたし……それぞれに1袋余分に、って所か……。
大きいものを倒さなければ石の大きさは期待出来ないし、そうなるとリスクも考慮にいれなくてはいけない。
というか、砂漠なのに生き物狩りって……どれだけかかるものか……
ため息を吐きながらめぼしい群れがないか見回す。
少し歩けば付きそうな距離にサソリを落としたあの穴。
こっちを見て固まっているタラバガニサイズのサソリ四匹。
のしのし平然と砂の上を歩くタラバガニの小さな群れ。
うん、ツッコミどころはあるけど……ひとまず初めはお前な、サソリ。
「狩りの始まりだァッ!覚悟しろやァッ!」
気合を入れた雄叫びで自分を鼓舞し、入口で錬成しておいた金槌の片方をサソリの顔面へぶん投げる。
命中。
当たりどころの良かった金槌は一番近かったサソリの甲殻を叩き潰した。
あと3匹っ!
「「キシャァァア!」」
ハサミを掲げて威嚇する2匹と、気が付かれないように逃げようとする1匹。
「逃がさないぜぇっ!」
足を踏みしめ、ハンマーを地面から生やす。
鉄を表面に纏わせただけの強度も重さも何もかも足りてないものだけれど……こいつら相手に投げるだけなら事足りてるっ!
生やしたハンマーを蹴り上げ、空いた片手に持ち直すと、逃げようとするサソリへ向かって……振りかぶって……投げた!