プロローグの締め、それはチュートリアルクエスト
すとん、と言葉が心にはまる。
力を動かしていたどこかからいままでの理解が中級に留まっていたのが、真に全て分かった様な感覚が伝わって来る。
今までは一部が外れて空回りしているのを、かろうじて動かしていたんだ、と思えるほどできる事が広がったのがわかる。
……初めからこうだったのならあの子をあんなに傷つける事なんてことも無かっただろう、なんてくらい考えが湧き出るくらいには。
「ははっ。ようやくここまできて、君は、君の力の本領を分かってきたみたいだね。
そうでなくっちゃここから先の話は出来なかったから助かったよ!」
彼はその様子をしげしげと覗き込んだ後でにぱっと笑うと、枕元を照らしていたライトスタンドを手に取る。
「ここから君に頼むのは、小手調べさ。
っとこれがなにか、分かるかい?」
彼がライトスタンドの根元から一つの小石を取り出し、こちらへと見せつけてくる。石を抜き取られたスタンドは光るのを止め、ただのランプ型オブジェへ変わっている。
電源とか……そこら辺っぽいな。少なくともエネルギー源である事は確かであるはず。
「いま抜いた奴が何の原理で光っていたランプなのか分からないけれど……それのエネルギー源って所だろ?その小石は。」
青く弱い光を内側に秘めたガラス質の石を彼の指先の左右から見ながら言うと、彼は思いどおりに大人を動かせた子どものように小悪党な笑顔を浮かべる。
あれ……まさかエネルギー源とかですら無い……?
「知らない身での答えでは80点って所かなーっと。
ちょっとは面白い答えが欲しかったんだけどなー?
そんな怖い顔しないでくれよ。おちょくったのは悪かったって……。」
思わず眉間に寄っていた皺を指で伸ばし、不満を息に込めて一つ吐き出すと、真剣な顔で見つめ直す。
「コレは僕の命名って訳では無いけど命石って名前でね。
世界のリソース値、いわば何でもできるエネルギーを中に秘め……いや、込められた石だよ。
あの神獣たち、アイツらとおんなじ事をしでかしてる魔獣どもとその配下がその体内に持っているわけなんだけれど……ソレをちょっと集めてきてほしい訳さ」
エネルギーを集める……何のためにだろうか?
「何故って顔をしているね?
何故もなにも……君、同行人を直したくは無いn」
「治せるのかっ!!」
思わずベッドに押し倒すようにしてインフィムへ飛びかかった。後先なんて、微塵たりとも考えていない反射的な物だった。
「ね・・・・・・熱烈で結構……。
どいてくれない……かな?」
「す……すまん。」
飛びかかる時に蹴飛ばしてしまった金を体から叩き落としつつさっきの位置へまた戻る。
俺がこんなんじゃ話がすすまない……。コムギを助けるためにも早く、しなくては。
「僕が定期的に収集してたんだけどねぇ……。
足りないんだよね、治療するには。
あの子らの時間を止めることだけに此処のリソースの殆どをつぎ込んじゃってるわけでさ?僕が戦いに出るだけの余裕もない。
……じゃあ、この状況を作った君にたのむしかないよね?」
コインの山の一つを指の上でコロコロ転がして手持ち無沙汰具合をアピールしながらこちらへ嫌な笑顔を向けてくる。
そこまで言われなくとも俺はやるさ……
「どれだけ、それは必要なんだ?」
俺はその取引に、乗った。
対人関係トラブルで筆が全く動かなくなってました……遅れてすみませんでした!