プロローグ 目覚めは緑の香りとともに
設定見直しとか、忘れてた説明の補填とか考えてたら時間がめっちゃ立ってました……
すみませんでしたっ!
「ま……いか……で……」
意識が戻ってはじめに聞こえたのは悲しげな少年の声だった。
誰だろう……?
全身がだるく、まるで力が入らない体を叱咤して目を開ける。眩むような眩しさにまた反射で閉じ、開け、焼かれを何度も繰り返す。
周りを確かめたいというのと、開けると目がくらんで痛いというジレンマを耐えながら明るさに段々と目を慣らしていく。
開けても眩まないようになってから、光のせいで視界を滲ませていた涙を袖で拭う。そうしてようやく目に入ったのは、見覚えのある白天井。
たしか、神殿に来て初めて目覚めたところがここだった様な……。
「ひとまず……現状把握しなきゃな」
かかっている事すら分からなかった毛布をどかし、体を起こそうとしたところで視界の端に青色の何かが映り込む。毛玉にしか見えてなかったそれを意識して見ると、幼稚園生位の大きさの人だった。
「誰だ……?」
ベッドの横に座りベッドへ倒れ込んで寝ているらしい子供。その子を起こさないようにしてこっそりと顔を覗き込む。
「泣いてる……か」
あどけない幼子の顔は、涙の流れた筋が残って光を反射していた。悲しさと寂しさが見え隠れする寝顔に、こんな小さい子が何を背負っているんだろうかと複雑な気持ちがこみ上げてきた。そして俺は気がつけば、その子へ手を伸ばし毛布で目元を拭っていた。
俺はこんなことくらいしか出来ないし……寝ている間くらいは、な。
拭いとって、少しは見れる顔になったその子供の頭をゆっくり、ゆっくりと撫でてやる。
めんどくさいことが嫌いで何もやって来なかった俺には、これ位しか出来ない。これ以外にどうすればいいかも分からない。
だから、撫でる手はできる限りに優しく、愛しい兎を撫でる時のような撫で方で。せめて夢の中ではこの子が幸せを感じれるように。
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……いつまで撫でていただろうか。ようやく少し強ばっていた体が解れて安心して寝息をたてる子供を見つめ、ようやく自分へ考えが行く。
なんか変化してない……よな?
記憶を掘り起こしながら体に何か付いていないか、持ち物が何か無くなっていないかを確認する。
よかった……見たところでは目立ったやつは無さそうだ。
来ていた服が洗濯されフワフワな状態で枕元に置かれ、その横に持ち物が積まれている。確認した所ではあの葉っぱとか色々入っていた皮袋だけが無くなっている以外はなにも変化がない。
体の方も、術衣の様なものを着せられていて葉っぱの青臭い液体が所々に濡れていること以外は何も変化が無い。……見た目は。
なんで見た目は、と念押しするようにしているのか。それは……。
「体が……軽い!?」
そう、今まで体感したことがないくらいに体の調子が良いのだ。腹を押してみればいつもより三割増ほどに腹筋が固くなっている気がするし……一体何が俺の体に?
葉っぱのせいで漂う緑の香りでブラシーボしているだけだったら恥ずかしいけれど……。