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プロローグと、ナビゲーター

ちょっと遅れましたが更新!

「ふふふっ。見るにアイツはほとんどの説明をしていないようだね。」


 青白く発行する大理石の廊下を歩きながら少年神は演劇するようにくるくる回る。

 まず、右手を掲げて服をバレエダンサーのようにひらめかせる。


「この世界がなんで荒廃したのか。」


 姿を変化させ少女の形になると、空中に浮かび上がり俺の顎を持ち上げる。


「君のスキルの使い方。」


 捕食者の目で俺の目を覗き込み、銀河のようにキラキラとした目が俺を吸い込もうとする。


「知らないでしょ? 」


 言われてみれば……。全てのやり方は分かるのに、どれをどうすれば効率がいいのか、人間基準での限界も、何も知らない。俺が使う上で重要なはずのところが特に。

 植え付けられた記憶を辿り、どこを探しても見つからない。そこだけ欠け落ちたという訳ではなく初めから無かったような感覚がある。


 歩きながら放置していた記憶の整理をしていると、いつの間にか少年の姿に戻っていた神が立ち止まる。


「そんなこんな言ってたら僕のラボまで着いたね。君のすべきことと、その対価で僕がやって欲しい事をここで話すよ」


 一見彫刻画の掘られた壁にしか見えないそれの前に立つと、少年神は組んだ指を壁へ向けて力を入れ、挙がった手を振り下ろす。


「……。今のは見なかったよね?」


 指を鳴らそうとしたのだろう少年神の行動は摩擦音だけしか鳴らなかったせいで、とてつもなく微妙な空気が辺りに立ち込める。

 何だろうか。さっきまで未知の恐怖とか色々あったのに今ので完全に残念に変わってしまった。


「見てないし聞いてないです……」


 沈黙を続ける事にどんどん強くなる威圧感に耐えかねて望まれた答えを答える。

 望んだ答えが帰ってきたお陰で機嫌が回復した少年神がもう1度指を組み、そして、甲高い音を立てる。

 それに反応して目の前の壁の壁画が生きていたかのように動き出す。

 スライムが鹿を飲み込んで暫く脈動し、ソレをスケルトンが滅多刺しにした所でまとめて全てをドラゴンがその口を開いて腹に収める。

 食物連鎖のようにして小さいものが食われ、それを食ったものがまたさらに大きいものに食われる。

 そうして、大自然を表現した精緻な壁画は1匹のドラゴン1体だけとなる。今にも遅いか買ってきそうなほど獰猛な顔をしたドラゴンへ向かって神は指を指すと、小声で何かを呟く。 

 ひと綴りの歌のようなものを神が呟き終わると、ドラゴンの目は白目を剥き、二つに割れて扉となる。


 青白い刃の竜が二つに割れて現れるのはさらに濃い青白。

 透き通るような青水晶のような光が空間を照らし、床も壁も天井も余すところなく純白の大理石で覆われたそこはラボというには程遠く神殿のようであった。

 管に繋がれた大きな青水晶が存在していなければ、の話であるが。


 記念碑のようにそそり立った埃まみれの水晶の列の中心に存在したソレは、とても真新しい雰囲気を醸し出していて、その水晶からは何故か懐かしい雰囲気が漂っている。


 一連の物へ目を通し終わったのが分かったのか、仰々しく身振り手振りを加えながら神は託宣する。


「改めてようこそ!僕の神殿(ラボ)へ! 

ここに来たからこそ紹介させてもらうよ! 

僕は時空と知識の神、インフィム! 」


 インフィムと名乗る神がニヤリと口角を釣り上げると、繋がれた青水晶に光が集中する。


 そこに……その中に在った。いや、居たのは。


 目の錯覚でも何でもなく、コムギ本人その人が水晶の中で眠りについていたのだった。

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