プロローグとアナウサギの抗えぬサガ
また短い(´・ω・`)
「準備はいい?」
「万全だ!」
「おーけーだよっ!」
正座の痺れから開放されたミドリを介抱し、3人でもう使えないようなモノを選んでかき集めた材料を錬金してできた三種の武器。中ぐらいの金槌2本がベルトにぶら下がっているのを片手で確認し、同じく確認の終わった2人に目配せをし、瓶の外への扉を3人で息を合わせて押す。ズシリとした感覚が手に伝わり足が滑ってだいぶ空回りしているのも感じるけれどとにかく押す。次第に開いた隙間から漏れでる光が目を焼く。思わず目を覆いたいと体が反射しそうなのを堪えられなくなってくる。ソレに勝てなくなりそうな頃、光はいきなり何倍もの輝きを放ち視界を白で埋め尽くした。
喉に感じる乾燥感、口を開けばジャリジャリと。目を押さえて目がァ!目がァ!と転がり回りたい気持ちを必死に抑え、ぼやけた視界を目をこすって晴らす。
瓶の明かりだけであいもかわらず暗いままの洞窟。座り込んだミドリと、なんかうずうずしてるのが薄明かりの中でも見てわかるコムギ。
「2人とも、体に何か違和感はない?
初めて異世界に降りたでしょ?」
「大丈夫……だと思う。強いて言うなら乾燥しすぎてちょっと気持ち悪いかな……」
水槽の中で育ててきた水棲の亀だったし、ミドリに砂漠は辛いか……。
ミドリの少しみずみずしさの抜けた髪を観察していると、そういえばコムギが返事してないことに気がつく。
ぷるぷる震えたままの小さな背中に手を伸ばし、手が届きそうと言った所でその手を止める。
「砂……砂ぁ……」
こちらもこちらで何かヤバイ。
目の焦点が明らかに合ってないし、気持ち悪いくらい笑ってるし……両腕は金属床の表面に降り積もった砂で山を作っては崩してを繰り返してる。穴掘りが習性なのに砂を1度も触らせたことが無いのが原因、だろうなぁ……。
話しかけても多分砂しか帰ってきそうにないコムギを放置し、扉がわりに砂よけで張った布を押して感覚からどれぐらいの高さまで入口が砂で埋まっているか確認する。
お、入り口の半分位だ。今のうちならまだ出れるかも。
ミドリに声をかけて近くへ寄ってもらい、ミドリの為に作った長剣を貸してもらって布に穴を開ける。
さてさて……自分で作ったこの大穴からそろそろ脱出しないと、ね?