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プロローグと探索結果

「大丈夫!?」

「大丈夫かっ!?」


 駆け寄ってくる2人を手で制し、錬金で椅子の足を復元しながら立ち上がる。心配そうな顔をしている2人ともに心配させないようにできる限りの満開の笑顔を向け、ぶっ倒れている椅子を立てる。


「ごめんごめん。俺は男だから重いし、体重耐えられなかったみたいだ。補強したしコレで大丈夫!」


 安心させるために体重をかけた腰掛け板がへし折れた。さて、どうしたものか。

 どうして……こうッ! 上手くいかないッ!

 笑顔がひきつって汗がたれてるのを感じる。いつもこうだ……。カッコつけようとした時やら焦った時に限って、毎回やらかしてしまう。彼女達に不要な不安を感じさせたくないと言うのに……。


「……錬金ッ!」


 財布から取り出した10円と内ポケットの一つに残った砂を代償に、古びた木の椅子の中央に鉄製の芯を作り上げて乱雑に補強を加える。もう針金椅子を自分で錬金した方が安上がりに作れる気がしないでは無いけれど、彼女達が用意してくれた椅子である。ソレが重要なのだ。


「こっちに来てから力がちょっと強くなってたみたいだ。俺が力加減間違えただけだから……ね?

心配しないで?」


 嘘だ。強化されてるのは持久力位なもので腕力に関しては全く変化が感じられてない。この椅子はちょっと放り投げると破損しそうなくらい脆くなってるのは錬金する時に知ったし。


「あ、あぁ。それならいいんだが……」

「無理は……して無いよね?」


「大丈夫だ。」


 まだ心配そうな2人の頭を荒目に撫でてやり、背を押して席へ戻るように言うと、俺は内部がもはや別物の椅子へと腰掛ける

 今度は……壊れない。

 2人に気づかれないようにそっと安堵の息を吐く。今度も失敗したら流石に誤魔化しが効かない。


「では……ここに関してご主人が来る前までにわかっている範囲で言っておくよ。」


 そんなこんな考えている内にミドリの話が始まっていた。さっき作られた瓶の中の建物にしては古いし、何なんだろうか。それに関して何か分かっていると良いんだけど……。

 ミドリが懐から古びた紙を取り出しテーブルの上で広げる。擦れる度に汚れがテーブルクロスにうつっていっているあたりかなり古い紙みたいだ。その、茶色く風化した紙にぐにゃぐにゃの線で新しく書かれたいくつかの四角とミミズがのたくったような線の群れ。

 魔法陣……か?


 「2人で大体マッピングしてみたんだ!」

「瓦礫で行けない場所もあったから全体はまだだ……すまないな、主人。」


「いや、少しだけでも構造がわかるのは有難いよ。

ありがとう、ミドリ。」


 あっぶねぇぇぇえ!

 魔法陣か、と口に出さなかった過去の自分を褒め称えながらミドリに笑いかける。地図なのに魔法陣とか言ってしまってたらどんな顔されてたことか……。

 紙に書かれた四角の群れは、部屋。だとすればこのミミズみたいな何か、としか言いようがないものは文字……か?


「注釈も頑張って書いてみたんだ。主人、何か気になるような場所はある……か?」


 気になる所、と言われてもそもそもで全部読めないし……かと言って、ドヤ顔なミドリにそれを指摘したら泣く……よな?

 見渡すフリをしながら頭をフル回転し、どうすれば良いのか答えを探す。ゆったり見回す目が三週目に入り頭の中に宇宙が広がり始めた頃、視界の端を横切る人の顔のお陰でようやく案が出る。


「ミドリ、声に出して読んでみてくれないか?声に出して耳で聞くとまた何か思いつくことがあるかもしれない。部屋ごとに言ってくれると助かるな?」


 それはそうだ、と感心した顔をしたミドリを見届け、案の元となってくれた偉人へ感謝を心の中だけで送る。

 あの人が人を不快にさせないで何か聞く方法書き示して置いてくれて本当によかった……


 「じゃ、読み上げていくぞ?

まず、此処。エントランスは……」


 家具の強度、や穴の堀りやすさ、などがメインになった解説を聞き流しながら、重要な場所を頭の中で拾い上げる作業を続ける。


 ……道理で、床板の一部が真新しい傷で削れまくってるし、真新しい折れ目のある瓦礫の山とかあったんだね。


 コムギ、木に穴は掘れないから。土っぽい埃被ってたとしても、そこだけ土になるんじゃなくて屋敷だから全部木だよ?

 ミドリ、ぶつかるのは良いから言い訳しないでいいよ……?主要な家具のことごとくを破壊されてるのは困った問題だけど。

 むしろ、普段使いの家具が今使ってる椅子とテーブルだけしか生き残ってないというのは予想外ではあるけど。


 誤魔化そうとしたからには、お仕置きするけどね?

 

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