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ラノベって可愛い女の子出しときゃ売れると聞いたので。  作者: 設楽 素敵
第二章 素人の苦悩は金にならない
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1

 俺は作家を目指している。

 俺のプロットのノートを掠め取ったばかりじゃ済まず、中身まで見てしまったクラスメイトの眼鏡っ子・野々村廿里(P.N)から作家志望者であることを告白された挙句、一次審査通過を勝敗とした勝負を提案され、まんまとその口車に乗せられた俺は彼女との勝負を承諾し、六月末の締め切りに向けて。

 鋭意執筆中とか言いたいけど、実際は惨憺たる状態に陥っているのだった。

 自宅でのプロット作成はノートではなくレポート用紙を使う。以前までは自宅も持ち出し用もノートだったのが、いつからか自宅だけレポート用紙になっていた。多分、気まぐれで買ってみたら自分の性にあったからだろう。あるいは単なるかっこつけか。

 そのレポート用紙。

 一時間以上前から手が止まり、用紙の消費はわずか一枚半に留まっていた。

 ベッドに倒れ込んで悶々とする時間が続く。

「何書いたらいいんだ……」

 枕を抱いたり、天井に向かって投げたりする。

 思えば、しっかり「勝とう」と意識してプロットを立てるのは初じゃないか? 今までは自分の好きなように書き殴っていただけだということが露見してしまい、それじゃあ一次審査で落ちまくるよなあと合点がいってしまう。

 卓上カレンダーの日付は五月十五日。

 約束をしてから二日経っていて、しかも既に日は落ちている。

 一言言い忘れていたが、プロットは全くの白紙というわけではない。今日も一枚半ぽっちは書き進めたように、一応、この二日間にある程度プロットを進めている。進行度で言えば六割くらい。つまり半分以上はできていることになるのだが、そこである問題を解決できずに頭打ちになっているのだ。

 山積みの問題の中でも大きな問題。

 ヒロイン問題もそうだが、今回執筆を決めたラブコメではちょっとしたライバルが出てくる――有体に言えば嫌なやつ、気に入らないやつ、主人公たちの敵。

 そいつが主人公たちと衝突するのだが、さてどう処理したらいいものか。

 無難に行けば主人公たちの勝利! って、感じなんだけど、本音を言えば一捻り加えたい。ただ倒すにしても、例えば負けたあと仲間になるような展開とか、もしくはあくまでそいつは駒の存在で、バックにいる黒幕を倒すとか色々ある。

「今日はもうやめるかぁ」

 それとも可愛い女の子だけでも先に考えてみるか?

 作業進行度を少しでも上げておきたかったし、結局俺は重い足を動かして机につく。

 向き合うレポート用紙にばかにされている錯覚を味わいながら、ひとまずは思いついたことをメモしておこうとペンを握る。……えーっと、巨乳はNG、と。



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