6.はじめてのふらぐ.2
____ は、視点変更です。
俺の祖父は昔から家庭的な事に関してはなにかと厳しかった。
掃除の仕方や洗濯物の畳み方、節約術など、沢山のことを小さい頃から教え込まれた。
その中でも、特に厳しかったのは、食べ物に関してだった。
そのせいで、というのもなんだかおかしいが、小学四年生の頃にはそこらの主婦と同じ位の家事スキルと、節約脳を身につけていた。
だから、食べ物を粗末にしたり、無駄遣いをする輩はどうも許せない。
小学生の頃、食べ物で遊んでた奴ら全員ボコってたっけ。
自分の性格である面倒くさがり屋と少しばかり矛盾するが、そこは目を瞑って欲しい。
············そろそろ現実逃避をやめよう。
落ち着け、まず状況を改めて確認しよう。
まず、スーパーを出たら女子高生がDQN二名にからまれてて、それをスルーしようとしたら、DQNとぶつかって、俺の手からスーパーの袋が落ちて、卵割れて、なにかがキレる音がして……
で、気が付いたらレジ袋の中身がボロボロになっていて、俺の足もとにDQNがボロボロの状態で倒れていて、女子高生が俺を何とも言えない顔で見ている。
あ〜············うん、ブチ切れてボコっちゃったんですね、分かります。
って、ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ。
何やってんだ俺は、何キレてんだ俺は、卵ぐらいで、いや、こっちにとっては大事なことなんだが、兎に角何やってんだ俺は、何フラグ回収してんだ俺はぁ!
いや待て、まだフラグを回収したわけではない、回収してない可能性もある。
確認のため、チラッと女子高生を見てみる。
「あっ…………」
頬を染めながら目を逸らされた。
ちゃっかり回収しちゃってますよコンチクショウ。
どうする、マジでどうする。
うん、逃げよう。
家まではここから約100m先を右折したところにある、本気をだせばすぐだ。
メンドくせぇなぁ……あぁ、メンドくさい。
まぁ、これから先のことを考えればまだマシか。
そうと決まれば走るのみ、俺は我が家に向かって走り出した。
「あっ、ちょっと……!」
女子高生に声をかけられたが、無視した。
案の定、すぐ家に着いた、助かった。
あ、昼飯どうしよう…………。
__________
ー???sideー
「あの子だ......」
間違いない、自己紹介の時、名前を聞いてもしかしてと思っていたけど、さっきあの不良達を倒している時の言葉で確信した。
―食べ物を粗末にしてんじゃねぇ!―
あの時の言葉とは少し違うけど、同じような意味だった気がする。
見つけた、私の王子様......
「和久井、涼介......」
私の心臓はドキドキしっぱなしだった。
あぁ、文才が欲しい。