3.なかなかいい席.........? 2
綺麗に金髪に染めたクセのある長髪、少し厚い化粧、つり目せいか、それとも不機嫌そうな顔のせいか、どちらにしろ悪い目つき、特攻服に改造してあってもはや原型をとどめていない学校指定の制服、そして、
「おい、何見てんだよてめぇら、オレは見せもんじゃあねぇぞ」
クラスの連中を一瞬にして自分から前に向かせた(俺も空気を読んで前を向いた)ドスの効いた声、うん、ヤンキーだ。
うわぁ、本物のヤンキー初めて見た、しかも一年生なのに、どんな中学校生活送ってきたんだ。
「チッ······」
ヤンキー女は舌打ちをしたと思ったら、急に立ち上がって教室から出ていった。何なんだあのヤンキー女·····。
「鷲津 奈江、見て分かるように、正真正銘のヤンキーだよ」
いつの間にか起きていた安西が、出ていったヤンキー女、鷲津の説明をした。
「中学三年の頃から何故だか急にグレはじめて、段々とエスカレートしていって今に至るんだと、まったく、なんであんなメンドい奴がうちのクラスかなぁ」
おい、教師が生徒のことでメンドいとか言わない。(気持ちはわかるが)まぁ、関わらないように気をつけるか。
この後、係を決めたり明日の授業連絡等聞いたりしていたらチャイムが鳴り、放課後となった。
「おい、和久井」
さっさと帰ろうと思って教室を出ようとしたら、安西に呼び止められた。
「お前、鷲津の席の前だろ、一応、気をつけておけよ、問題とかになって、怒られるの私なんだから」
おいおい、一応かよ、この人本当に教師か。まぁ、元から関わる気はない。
「はい、分かりました」
安西に返事をして、今度こそ教室を出た。