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近くないですか?色々と。

「というわけで、優斗はもう私を拒むことはできないんですよ〜」

「なぜそうなる」

「だって優斗にしか見えない存在からの危害を受けたって周りは助けようがないですからね!」

「危害を及ぼしてる自覚はあったんだ…」

「それは優斗の受け取り方次第です」


そう言って玲奈は俺のとってきた漫画を手に取り読み始めた。

「あの、ちょっと狭いんですけど」

ただでさえ狭い個室に高校生の(人間かどうかはさておき…)男女2人がいるなんて、どう考えてもスペースが足りない。現に、俺の足にはもう玲奈の太ももが密着している。


「わがまま言わないのーっ」


そう言って玲奈はコップに入ってメロンソーダに手を伸ばした。


「って、それ俺の…!」

俺が言い切る前に玲奈はメロンソーダに口を付けた。

「ん〜〜〜〜!久しぶりに飲んだけどやっぱ美味しいねぇ」

「だからそれ俺のなんだけど!?ってかこんなん間接キスじゃねえかよ」

「何、優斗そういうの気にするんだ ピュア〜」


こいつ、完全に調子に乗ってきてるな。


「でも安心したまえ優斗くん。私、幽霊だから」

「いやそういう問題じゃなくて…」

「いやそういう問題だよ。そのコップ見てみなよ。メロンソーダ、全然減ってないでしょ」


つい数秒まえ玲奈が飲んだメロンソーダのコップを見てみる。

全く減っていなかった。


「え何、幽霊の特殊能力的な?」

「ふふん、特殊能力なのです」

「にしてはちょっと地味すぎません?」

「むむー」


こほん、と咳払いをして玲奈は続けた。

「まぁ一種の能力というか、特性ですよ。飲む動作はしているし、私も実際飲んではいるんだけどこの世にきちんと現存しているものには全く影響を及ぼすことが出来ないんだよ。私がどれだけこのメロンソーダを飲んでもメロンソーダは減らないし、仮にコップを割ったとしてもすぐに戻ってしまう。そういうものなんだよ」

「なるほど…」

「実際心霊写真はたくさん出回っていても幽霊に殺されたーだなんて事例は結構少ないでしょ?幽霊が特別その対象に対して感情を抱かない限り、この世に現存するものに対して現存しないものが影響を及ぼすことは不可能ってわけ」

「幽霊って色々難しいのな」

「あー!今私のとっても賢い説明全部軽く流したー!」


「じゃあ間接キスとはどう関係あるんだよ」

「ぷぷ、優斗まだ気にしてたんですね〜」

「してない!!!!」

ケラケラと玲奈が笑う。


「えへへ、かわいい人ですね。間接キスも一緒ですよ。私の唇はコップに触れているけれどそれはあくまで私側からしか観測できない事実。私のことが見えない人がこの情景を見ても私はいないしコップは浮かない。私はこの世界に影響を与えることが出来ないってわけです。

つまり私の唇がコップに触れたという事実はこの世には存在しない。優斗は誰とも間接キスなんてしていないんですよ」

「俺は見えてるんだけどなー」

「それが異例の事態なんですよ。やっぱり優斗、霊感とかあるんじゃないですか?」


「マジでそういうのないんだよなーーてか、ここにいるお前と俺両方がお前がコップに唇をつけたって事実を観測してるなら、少なくともこの場では俺たち間接キスしてるんじゃねぇのか…?」


「え、え、えぇ」

みるみるうちに玲奈の顔が赤くなる。

「えっとその…たしかにそうですね。そうです。勝手に飲んじゃったのはすみません…反省…してます…」

耳まで真っ赤にしてそういう彼女はとてつもなく可愛かった。

「いや別に気にしてはないんだけど…」

「ですよねですよね!私幽霊ですから!」


意外とかわいいとこあるじゃねえか。


「っていうか、そもそもお前なんでそんなに俺に付きまとうんだよ。部屋だって別の使えばいいだろ」

「だって優斗の持ってくる漫画おもしろいし…」

「理由が浅すぎる…」

「違います違います!本当の理由は他にもあるんです!」

「というと?」

「その…初めてなんですよ。私のこと見える人」

「今までいなかったのか?1人も」

「幽霊ですから。そろそろ成仏したいんですけどね…」

少し寂しげに玲奈はそう笑った。


「成仏ってさ、どうやったらできんの?やっぱこの世に恨みごととかあるからできてないわけ?」

「恨みごとだなんてそんなのないですよ〜。でもそうですね、何かやり残してることがあるのかもしれないです」

「やり残してること?」

「はい。きっと現世にまだ想いが引っ張られてるんでしょうね」

「お前の場合そのやり残してることって何なんだよ」

「それがわかんないんですよね〜それが分かれば話が早いんですけど…。わかったところで幽霊だからそれ叶えられるかもわからないですし」

少し冷たい空気が2人の間に流れた。切り裂くように優斗が口を開く。


「じゃあさ、夏休み限定でお前が成仏できるように俺が協力するってのはどうだ?どうせ俺も夏休み暇だし、幽霊見える人間がいた方ができることも多いだろ」


玲奈は分かりやすく瞳を輝かせた。

「いいんですか優斗くん!いいの!?言ったからね!!」

「おう…夏休み限定だからな」

「やったー!!優斗だーいすき!!!」

そう言って玲奈は俺に抱きついてきた。幽霊って意外とあったかいんだ…。


「優斗、約束だからね!」


そう言って玲奈は自分の人差し指を俺の唇へと押し当てた。

やっぱり距離近くないですか…?


最初再投稿で申し訳ないです…エピソード3として投稿しようとしてたものとくっつけました。

小説書くの楽しいですね。勢いで書いちゃってます。

いいねコメント等励みになります。これからもよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
結構面白いですね 会話劇のテンポ好きです。続きも待ってます。
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