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Trauma  作者: 朝霧篠雨
1/1

問診

ホラーは初めて書きます。


































































……どうも、初めまして。


あなたが電話をくださった若林さんですね?


私はこの精神病院の院長の夢野(ユメノ)と申します。


今日はどちらから?


そんな遠くからわざわざ……


ということは、私の開発した治療法にご興味があるということですね?


とはいえ、珍しくはないですよ。


世界中から私の治療法を求めて、皆様お越しになられます。


……あなたもそうでしょう?


まずは、あなたの病……というより、恐怖症……でしたね。


……ええ、もちろん、恐怖症の治療も対象です。


重度な精神病である場合は一か月ほど掛かりますが……


恐怖症の場合は三日もあれば治療が可能です。


精神病に限らず恐怖症というものは、潜在意識が大きく関わっていることが多いのです。


私が開発した「Non-()Contact(接触) Trauma(トラウマ) therapy(療法)」では、


会話を通して潜在意識を活性化し、トラウマを曝露させることで治療することができるのです。


……ええ、会話です。


不思議でしょう。


だからこそ画期的なのです。


……精神とは混沌としているようで、案外単純なものなのですよ……


それでは、まず問診から始めたいと思います。


さっそくですが、あなたの恐怖症について教えてください。


……わからない?


……そうですか


……


…………


………………


……………………


いえ、問題はありません。


NCT療法はそういう問題についても、理論上、解決することができます。


初めての例ではありますが……必ず一緒に解決しましょう。


そうですね……では例として、一般的な恐怖症を挙げます。


その中で恐怖や違和感を覚えるものがあれば、いくつでも仰ってください。


そうですね、例えば……


……ピエロは?


……海は?


……高い or 暗いところは?


…………暗いところが恐い……と。


暗い所というのは、人によって恐怖する箇所、物象が異なります。


とはいえ、暗所自体を恐怖している例を除けば、その治療は安易でしょう。


もう少し続けましょう。


……ええ、大丈夫。


今は何をしているかきっと分からないと思いますが、いずれ……ご理解いただけるでしょう。


では続けます。


動物は?


……ええ、一応は動物の中に含まれます。


珍しいですが、一応、視野に入れておきましょう。


他に、あなたが恐いと思うものはありますか?


……特にない、と。


……少しいいですか。


恐怖というものは、トラウマ、つまり潜在意識に根付いている寄生虫のようなものです。


その寄生虫は、同種同族を嫌う……


そう、同族嫌悪です。


自分以外がその人間に取り組まれるのを必死に拒む。


……寄生虫の防衛本能。


あるいは……


まあいいでしょう。


では次に、より特殊な…恐怖症についてお聞きします。


いいですか、ここからはある程度、想像力が必要になります。


今から挙げるものを、それだけを、想像してください。


例えば、鉛筆の芯と言ったら、芯だけを。


そう、木軸の部分や、それを持つ手などは想像しないようにしてください。


今から挙げるのは、NCT療法における基本的な潜在意識捜索の例です。


10個の例から、あなたの潜在意識のベクトルを絞ります。


いいですか?


……では行きます。


爪は?


目は?


耳は?


……


……


エレベーターは?


天井は?


側溝は?


……


……


鏡は?


街灯は?


線は?


点滴は?


……


……


赤い扉は?


白い人は?


黒い液体は?


……


…………


………………


ある程度、絞れました。


あなたの潜在意識のトラウマは、Ⅳ型……


つまり……





































……人間に対するトラウマに分類されます。




































ええ、あなた自身も動物として人間を挙げていらっしゃいましたね。


本来、人間を恐怖するか、という項目もあったのですが。


そこに何か、あなたの恐怖症についての答えがあるかもしれません。


他にも、Ⅳ型の中でも、対極のⅠ型とも関連性があります。


あなたは珍しい……


どこか、矛盾のようなものを感じられる……


何かを……隠しているような……


長い、長い、お付き合いになるかもしれませんね。


今日はとりあえず、この辺りで。


お疲れさまでした。


そうだ、宿はお取りですか?


そうですか、それはよかった。


……何か?


……ええ、問診は終わりです。


……今日は、他の患者さんが多く居ますから。


あなたの場合は……一週間、でしたね。


休暇も兼ねてとのことでしたので、ゆっくりと治療していきましょう。


それに、ここまで来るのに疲れたでしょう。


どうです?温泉でも楽しんできては。


明日からはお好きな時間にお越しください。


診療時間内であれば、いつでも構いません。


ええ……ええ。


では、また。






































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