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新しい道

ヴァロア候の屋敷では私の席をエリックの隣に設えてくれたので私はエリックを思う存分呼吸することができた。

ヴァロア候は私とエリックは古代墳墓を制覇した英雄だから国王陛下に謁見するのが当然だというご意見であった。一同もそれに納得したので王宮に使いのものを出して謁見を申請することになった。


それでその日は夕食を食べて休むことになったが、もう私は恋愛脳全開になっていたのでエリックにずっと部屋にいてもらい、眠る前にいろいろなことを話した。そして、お休みの時にキスをせがんだら彼は額にもほっぺにも唇にもキスをしてくれたので私は満足して休むことができた。


翌朝には王宮から3日後に謁見するという返事が早くもやってきた。また、王太子がお忍びで来るということらしい。


王太子はフードを目深に被ってやってきた。彼は皮肉な笑みを浮かべながら「おめでとう、君たちは国の英雄だよ」と言って、あの悪魔たちからもらったプレートを見せて欲しいといったわけである。


彼はそのプレートをじっくりと眺めて「間違いない。君たちはこれで間違いなく英雄というわけだ」とやはり皮肉な笑みを浮かべて言った。


王太子はエリックに「君がシンクレア嬢と婚約したいのであれば、君が王太子にならなければいけないよ。なぜなら当然の王家のルールとして次男坊は長男の王太子が婚約してから出ないと婚約できないというルールがあることを知っているだろう?」


エリックは驚いて「兄上、それは」と言葉を詰まらせる。


「私だって父上や母上を安心させたいという気持ちは充分にあったんだ。だけれども、シンクレア嬢には盛大に振られたようだからねえ」と相変わらず王太子は皮肉な笑みを浮かべている。


「けれども兄上、私が王太子になるということは兄上は」とエリックが言いかける。


「そうだよ、私が廃嫡ということになる」と王太子はこともなげに言う。周囲が息を呑む雰囲気を完全に無視して王太子が続ける。

「なあ、エリック、お前は辺境の騎士団長なんて引きこもって王都にも近寄らずに好き勝手に自由な日々を送っていたじゃないか。私はその間、国のためにひたすら働いたんだ。そもそも王太子は結婚して次世代を産み育てるという大きな義務がある。けれども私は女の子なんて好きじゃなくて男の子の方が好きなんだ。だから子供を産み育てるなんてことは最初から無理なんだよ」


エリックは「わかりました、兄上。そういう事情であれば兄上のご希望を受け入れざるを得ますまい」と何とか答えた。


それを聞いて王太子は「よく言ってくれた。私は南の離宮にでも引きこもろう。なに、私もこの国が好きなことは変わりない。問題が起きた時にはいつでも手助けする所存だよ」と今度はやっと晴れ晴れとした笑みを浮かべて帰って行った。


エリックは「これは大変なことだよ。私はこれからいろいろなことを学ばねばならない」と私に言った。私もエリックに「できる限りのことはお手伝いいたします」と答えた。


そして三日後の国王との謁見の後にはエドワード王太子が急な発病のため王太子を辞して南の離宮で静養し、代わりに古代墳墓を制覇した英雄であるエリック王子が新たに王太子として立太子することが発表された。また、私とエリックとの婚約も同時に発表されたのである。


私は侯爵夫人としての教育は終えていたが、王太子妃教育として追加の教育が始まることになり、エリックも王太子として国政などの様々な仕事に携わることになった。


エリックと私の結婚式は一年後と決められた。


私は王太子妃教育で忙しい間を縫ってエリックが働きすぎないように監視したり、アネットやリン、そしてソフィアなどとお茶会を開いたりして旧交をを温めた。


また実家にも顔を出して父とは涙の再会を果たし、サラには王宮にきてもらって私の世話をする侍女として働いてもらうことにしたのである。


今夜は立太子と婚約のお披露目の夜会である。エリックにエスコートされた私はエリックと共に会場の中央で国王陛下と王妃様にこれからご挨拶をすることになっている。

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