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ラクマカの街に再び到着

上天気の眞晝(まひる)の海への旅。

海原に漕ぎ出でてみれば、白波はあまり立っていないけれども、シズからは割とすぐに避けるべき場所があるので、指示役のトモコも櫂を握って、全力で回避。

そこを過ぎれば少し休めて、上げ潮に乗って湾東部を北上する。

どんぶらこ、どんぶらこと波間に漂う筏が、うっかりしていると回転しだすことがあり、それを警戒しているトモコが目敏く見つけては、その都度すぐに指示出しをするから、のんびり休むという時が無い。

ただ、エイコが割とバテやすいので、トモコもそれを考慮して、指示を変えて、できるだけ明示的にエコに首を振って抑える身振りで

「休んでなさい」

と伝え、そのうえでぼくらと目を合わせて逐一

「漕いで」

「止めて」

「櫂を上げて」

と指示出しして、エイコが行けそうだと思うとまた指示内容を変えたりして、トモコもなかなか忙しい。


姿勢制御しつつ、加速し、コースを潮流が少しでも早い場所にとり、でも二カ所ほど危険個所があるのでそこに近づくのを警戒して、やや早めに離脱回避して前進を櫂に大きく頼って巡航したり……。


そうして筏の上で揺さぶられながら波と斗ううちに、やっと目的地近くの安全圏に入り、最後だけは少しの間、のんびりした航海を楽しんで、でも朝から波乗りで遊んでいる人も居たりするので、彼らにぶつけないように、岸に近づくとまたしても気が抜けない。

幸い、この航路は漁船とはあまり交わらないので、その点だけは気楽だったが。


かくして、午後ずっと筏を漕いできて、ラクマカの街の官舎近くに着岸した。

この前船出した場所に戻ってきたのだ。

とりあえず浜辺の松の木に縄を繋いで、流れていかないようにしておく。


--


もうクタクタだ。

エコはやっぱりバテたが、前回ほど酷くない。

疲れたので、一旦官舎のある砂州から少し北東に歩いた林の縁の水場で身体とかを洗って、それからトモが見張りをしてくれてる間にぼくら四人はぐったり寝そべって、少し休んだ。


そうしているうちに、もう夕方。

まだ草臥れてるが、とりあえず立ち上がる気力と体力は回復した。

短く交代で起き上がって見張りをして、トモコにも少し休んでもらう。


黄金の夕陽が雲に包まれて海の彼方へ沈んで行こうという時分、ぼくは官舎へ入って、配達依頼の品物を預けて、依頼札と旅券を示して手続き。

焚火や寝泊まり、筏停泊の許可証を受け取る。


結局、筏は解体せず浜辺に放置したままだ。

疲れてしまった。

それよりも、司祭様の小荷物を早く届けて、送致依頼を完了させねば。


「さあ、頑張ろう! あと少しで荷物を届けられる。そうすればとりあえず荷物の心配をしなくて済むんだ」

「おー……」

「そうねえ……」

青色吐息という程でもないが、疲れてぼーっとしている。

マサだけは比較的元気だ。

一応、ぼくと、あとは護衛役でマサと、二人だけでお届けしても手続き的に問題は無い。

でも、全員で行きたい。

「じゃあ、まあもう少しだけ休もうか」

無理はさせられない。


水を壺に汲んで来て、焚火を熾し、草の実の汁を淹れてあげる。

用も足してきて休憩しているうちに、少しだけ、しゃんとしてきたので、神殿に出向く。



最短距離の路を通り、若宮大路を歩き、突き当りの聖域に入る。

社務所で用件を伝え、今の居場所を教えて頂き、五人全員でぞろぞろと、敷き詰められた丸い小石をできるだけ蹴らないように歩いて、奥の小さな祠でお勤めをしていた司祭様の後ろで暫く待機した。


お勤めが終わったエリアノーラ様が振り向いて、こちらに気付いた。

速足に近づいてきて

「届けて下さったんですか」

「依頼の通り、お届けに上がりました」

と遣り取りがあって、梱包は潮に濡れていたが、中は無事なのを確かめて、

「それでは札を」

とまた遣り取りがあり、無事受領した旨を記して頂き、依頼は完了した。


「それでは、また機会があればよろしくお願いします」

とにこにこ微笑む司祭様に別れを告げて、神殿を後にした。


--


「これで、とりあえず終わったな、あー、疲れた」

「うん、あとはサカヌキ村へ報告するだけだ、ぼくは」

「ああ、仕事請けたんだってね」

「うん、でも日程にまだまだ余裕あるけどね」

「もう仕事を請けるつもりは無いんだろ?」

「今回は、ね。家のほうを随分疎かにしちゃってるし」

「だよね。あ~お土産何にしようかな~」

「ケイコちゃん、何か欲しがってなかった?」

「ん~ん」

「ラクマカ土産とかあるのかなあ」

「あーもー、とにかく宿屋に行こうよ」

「そうだな! 楽しみだぜ」

「うん、疲れたよ。とっとと休みたい」

「先に依頼報酬貰いにまた南の官舎まで行くんだぜ」

「あ゛~」

「隙だらけよ」


疲れた体で互いにもたれ合うようにしてはトモコに叱られながら、どうにか歩き続ける。



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