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引き続き次の依頼に旅立つ

ついでに依頼を見ていこうと思い、兵舎に入る。

入口で雨滴を払落し、ヘッドギアをとって小脇に抱え、廊下の掲示板に張り出された依頼に目を通す。

廊下の掲示板に新しい依頼が載っていた。

配達の依頼を探す。


目的地がカツト村だのヤガドホ村だのという配達依頼はあるのだが、前以て決めていた通り、ラクマカの街宛の依頼を優先。

今回はその条件に合うのは一件だけで、しかもぐっと報酬が安い……依頼主が村人の誰からしい。

『何かのついでで良いので、ラクマカの街まで荷物を配達してほしい。期限は40日。報酬はスタッグ銀貨55枚。サカヌキ村のジン』


暫くじーっと見つめていたが、決心して、書記さんの部屋を叩く。


「廊下の配達依頼を一つ、請けたいのですが……」


--


この依頼は直接依頼者のところへ出向いて話し合ってくれ、成立したら手続きに戻って来てくれ、とのことだったので、追加開示された情報に基づいて、ジンさんとやらのお家を訪れた。

お家の扉をノックして、出てきたお爺さんに挨拶すると、ぼくのことを知っていたが、それは『あの開拓村の連中のガキ』という意味でだった。


雨で在宅だったのか、ご家族の面々も出て来て、本当にお前にできるのか? と疑う言外の圧力をひしひしと感じた。

それに負けぬように一人で交渉を頑張り、ぼくたちは既に初仕事を成功させ、次の仕事にも成算があってこれから取り掛かる直前で、この仕事もそのついでに請け負うことにしたもので、同じ目的地だから、よっぽど運が悪くなければ成功する、そしてぼくたちは危機を幾度も生き残った運の強い者だと説得し、依頼の契約と荷物をもぎ取った。


「この御品物は、確実に、私が責任をもってお届け致しますので、どうか安心してお任せください!」

「そこまで言うなら、アンタの必要以上の生命力に免じて、一つ運んでもらうとするかね」

「有難うございます!!」


--


「ふぅ~っ、疲れたあー……」


やっとジンさん家から出て来て、通りに戻り、雨が小止みになった空を仰いで大きな溜息をついた。

安堵の溜息だ。

あとは、兵舎に手続きに行けば依頼札を貰える。


さあ、行くかっ!

と青空の覗く晴れ間に元気も出てきて、ふと斜め上を見上げると、

「う、ん……?」

「ん?」

「あ」

「あらっ」

ドミさんと目が合った。

さっと頬に朱が走る。

「いつ戻ったの!?」

「一昨日の夜です……いやあ、そこ、貴女の家だったんですねえ……」

「ちょっと、少し上がって行きなさいよっ、まだ時間あるんでしょ!?」

「これからまだ仕事があるんですが、じゃあ、少しだけなら……」


そうして、お宅にあげてもらって、ヘッドギアを脱いで、焼けた頭髪を見せて笑われながら、少し休ませてもらった。


--


思ったより遅くなってから兵舎で手続きを終えて、新たに追加された荷物と共に、また降り出していた雨の中を、荷物を防寒着の裾の内側に入れて抱きかかえ、足早に家に帰ると、結局まだ閂はかかって居らず、不用心だなと思いながら中へ入った。

皆は疲れてぐっすり眠り込んでいて、炉の火は埋火になっていた。

すぐにまた火を熾して、薪をくべる。


梱包が少し濡れている荷物を、エコの手拭を借りて拭いて、丁寧に寝台の枕元に置いた。

濡れた被服を脱いで乾し、自分の身体も乾かしながら、長旅で傷んだ物品を修繕し始める。

大して問題は無かったので、仲間のを、特にマサのを先ず手入れしてやる。

その後、トヨ、エコ、トモと順々に済ませていったが、熟睡している。


腹が減ったので、湯を沸かして乾燥食糧を草と海藻と一緒に煮て、塩味の利いた汁を作って啜った。



皆は夜遅くになってゆっくり起き出して、食事した後、のんびり準備し始めた。

次の送致依頼にも、どうやら全員参加するらしい。


各自で装備類の修繕や調整を済ませると、

「それじゃ、行こうか」

とトヨが言い出すので、少し驚きながら

「おいおい、今からかよ」

「うん。天気悪いけど、あまりのんびりもしてられないだろ」

「また外で屋根の通気口塞ぐの、今晩は大変だなあ」

マサがのんびりと云う。

「やるのか」

「今回は土とかちょっと雨で無理だから、内側から壺の割れた破片とか積んで、その内側に炭を詰めておくだけにしとけば?」


それで、梯子を持って来て、炉の上に立てて、エコの助言の通りにした。

作業小屋から破片を搬入したりして、急に忙しくなってきたな、と思いながら。



夜半には、出発準備が整い、あとは戸締りして出るだけになった。

外はまだ小雨が降り続いていた。


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