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初の依頼を請けて ラクマカの街で筏を作る

翌朝、それじゃ今日はいよいよ帰り道ね、気を付けなきゃとか言ってるエコやトモにも海上案を語った。

「どんなもんかしら、海を行くのなんて、やり方知らないわよ」

「皆泳ぎはできるし、村で筏遊びはしたことあるだろ?」

「あたし無い」

「まあ、簡単だから心配すること無いよ」

「海は初めてだけど、波と流れがあるから、波でひっくり返らないように、流されないようにする」

「できるの?」

「できるようにする」

「期限内に帰れる?」

「一日あれば作れる。一日あればシズまで多分行ける。そこら辺も含めて、安全度について官舎で訊いて来るつもり」


皆で準備を調えて、ぞろぞろ官舎へ。

今日もメガネの小母さん職員が居たので挨拶して質問を投げる。


「筏? うん、できるんじゃない? 怪物ねえ、滅多に聞かないわね。それよりも、岩礁にぶつかる方が怖いでしょう。だから普通は船頭さんに小舟を出してもらうのよ。海の事をよく知ってるから。でも南の湾でボート遊びする人も結構居るからね。シズまでなら潮に乗れば半日あれば着くでしょ。安全とは言えないけれど、やる価値はあるわ。傭兵なら命懸けで冒険してナンボでしょう? 上手く行くのを祈ってるわ♪」

軽く云われてしまった。

それから潮の流れなどについても少し教えてもらった。

もはやこれはやるしかない。

「有難う御座いました!」



早速筏づくりだ。

近くの林で木材を採って良いって言ってたので、マサと伐りに行く。

トヨは漁に出かけた。


そんなわけで、マサが石斧で伐り出す。

低木の若木を。

一本一本伐りだしては、ラクマカ入口を少し出たところの浜辺に運び出してきてくれる。

ぼくはそこで受け取り、樹皮を剥いで丸太にしてゆく。

すぐに樹皮で紐を作らなくちゃならないので、エイコの手を借りた。

「いっぱいあるね、作るのが大変」

「この丸太を二つにしたら、ぼくも手伝うよ」

ボキッとな。

あとは今のうちに縄掛けする為の切りこみを面取りまでやらないといかん。

カツン、カツンと石鑿で彫りこみ、やすり掛け用石棒で擦り、もう一か所。

あ、もう一本も。


「おーい、持って来たぞー」

お、マサがもう来た。

「ありがとーあのさーマサー、エイコの方、てつだったげてくんない?」

「ほーい」

労働力の流動は円滑なようです。


紐が出来上がったら、三本くらい束ねて撚って、最初に一本の丸太にだけ結わえ付け、他端を立木に留める。

これから海上で作るので、材が流されてしまわないように、錨の代わりだ。


その後は二本の加工済みの丸太同士を縛り合わせてゆく。

最初は全体の骨格なので、スカスカに作る。

長軸にする長辺に対して、対角側に短めに突き出た三角形。

全体としてアウトリガーとして機能する。


五人がフル装備で安定して乗っていられる大きさとなると、かなりのものになる。

波の上で揺動するうちに縄が緩むものだし、骨格材が折れても困るので、骨格形成には材を三本束ねる。

浮力を得る意味もあるが、三本も束ねるとそれだけでも重い。

既に波打ち際に半分以上は海水に浮かべて作業中。

今日中に作り上げるというのだから、忙しい。



そうして頑張っているうちに、トヨキが獲った魚を手に提げて戻って来た。

トモコも壺を手にして一緒に居る。

「メシだぞー!」

「わーい!」


--


トモコはメガネの小母さん職員に紹介してもらった船頭さんに、岩礁の在処など注意点を質問に行っていたのだった。

ぼくたちは、トヨが作ってくれた塩の利いた旨い食事を鱈腹堪能しつつ、その説明に耳を傾けた。


そして元気になって、トモトヨの手も加わり、筏造りは加速する。


マサは伐りだしてきて、ぼくたちが遅いと手伝う。

ぼくはとにかく樹皮を剥がし、彫りこみ、面取りを滑らかに。

そしてトヨと協力して、材木同士を縛り合わせ、骨格や浮体を作り、連結してゆく。

トモエコトヨはひたすら樹皮紐を撚って、更に六本束ねて撚る。


途中でまたトヨが抜けて、漁に出る。

「仕事には遅れてもいいから、また美味しいの獲って来てね」

「任せろよ」

「頼むぞー!」


この恵まれたラクマカに居る間に食えるだけ食っておきたかったので、トヨへ皆で声援を送る。


食事休憩を挟んで、再び作業に戻って来る。


最後に櫂を十本作り、樹皮紐で五本は筏の長辺に縛り付け、完成。

潮に持って行かれないように、立木へ更に一本の樹皮紐の束で結わえ付けておいて、作業完了。


「ああー、できたー!」

「やっと、できた……」

「お疲れ様~」

「お茶入れるわね、よいしょっと……」

「あ、ありがとう」


荷物を確認して、今日はゆっくり休んで、明日の出発に備える。


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