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初の依頼を請けて ラクマカの街で出ている依頼を請けたくて悩み、夢にまで見る

疑いの眼差しが突き刺さっている。

「物凄い美人だし、絶対そうでしょ。司祭様に仲間が手を出したら、あたしたちまで罪に問われちゃうのかしら……」

「やめてくれよォッ、本当に畏れ多いのに、何ぬかすんだよォッ」

「う~ん、やっぱり日頃の行いの所為じゃ~ないのお?」

自業自得でした。


「本当に違うんだったら……純粋に、やれそうな気がするんだ、なんとなく」

「オイ、それは一番ダメな博奕打ちの考え方だぞ。必ず失敗して沼に沈むんだ。オメーの場合は底なし沼あたりで犬から逃げようとしてズブズブズブ……だ。二度と浮かんで来られねーぞ」

「あー、前後から挟み撃ちにされたらあり得るよな。竹馬とかなにか使ってどうにかならないかな」

と、マサが援護してくれるのだが

「ンなもん持って走れンのかよ凄エなオイ」

「ないわー」

「んじゃ水に浮く何か」

「一緒やっ! 重いわンなもん!」

「そしてそれを使って水に浮いてるところに犬の群が跳びかかって来て、ドボーン」

おい。

「君ら、夢も希望も無いね」

「自殺志願者を止めてくれてるのよ」

エイコも

「それにあの辺りって霧が酷かったよね~」

思わず、遠い目になる。

「ああ、そうだったなぁ……あそこは厭だった」

しみじみ。

「ぼくらもまたあそこをこれから通り抜けなきゃいけないんだよなあ」

「うーん、大変だよなあ」

「でもお蔭様で、手甲脚絆が強化されてますから、前回みたいにバリバリ噛み砕かれないんじゃないかと。希望的観測ですが」

「いや、実際もう葦じゃなくて硬い細枝で今回は作ってるし、しかもそれが二重にして連結してるし、そう簡単には噛み砕かれねェだろ」

「うん、そう思いたいね」

「ヘッドギアだって分厚くしたし、補強材入れまくったし、噛み裂くのは簡単じゃないよね、多分」

「うん、そう願ってるよ」

「なんなのマサ、困ったような顔して。本当に強化したんでしょ?」

「いや、硬くはなったんだけど、葦と違って芯が詰まってて、その分重くなったんだよ。だからちゃんとその分牙を防げなかったら、重いばかりで厭だなって」


ふわぁぁ~……欠伸が出た。

暗くなってきたし、焚火は暖かいし、なんだか緊張が解れて、眠くなってきちまった。

「ごめん、眠るよ。疲れた」

「おやすみ~」


--


夢の中で、低地の藪道の中で犬に追いかけられたぼくは、前からも来た野犬に挟み撃ちにされて、底なし沼にも嵌りたくなくて、絶体絶命だった。

しかたなくシズの港へ駆け降りた。

現実にはそんな都合よい道なんか無いんだが、夢の中だから何でもありなのだ。

そして止まらずに海まで駆け抜け、遂には海の上へまで走り出した。

なぜか水上を走れるのだ。

夢の中だから何でもありなのだ。


水上をいつの間にかロケットボードで快調に飛ばしていた。

それでグイーと右へ曲がり、目指すはラクマカの港。

忽ち到着。

脱いだ帽子を右手で振って、知り合いの誰かに笑いかけた。

誰か……誰だっけ、と夢の中で疑問を感じた途端に、右からの飛び蹴りを喰らって左へ吹っ飛ばされて、目覚めた。



「う……お?」

「どしたん? お手洗い?」

「おー、行って来る……」


とりあえず用を足して戻って来て、今見た夢をボーっと思い返していた。

あのロケットボード良かったなあ、久々だったな乗ったのは、でもあの安定重視タイプの『シャーク』よりも、高速重視タイプの方が俺は好きだったなあ、BGMが好きなんだよ、あのコース……


あの機体の名前なんだったっけな……思い出せないまま、俺はとにかく海上を滑るように移動すればいいじゃん、と考えついた、気がした。


「なあマサ、今はもう別に護衛対象も居ないんだし、海にボートか筏でも浮かべて、皆で漕いで行けば、安全で早く着くんじゃねえかな?」

「え?」

「ここからシズの港までだよ、ボート作るのは無理でも、筏はできるだろ? 五人載せるとなるとちょっと材木が大型で大量に必要かもしれねえけどさ、作るのは行けるだろ、で、竿を差したり、櫂で漕いだりしてさ」

「どうなんだろうな?」

「明日、また官舎行って訊いてみよう」

「おー、まあそれしかねえか」

「じゃあ、あとは俺が見張るよ、寝ちゃっていいよ」

「うん、有難う」


--


次に起きて来たトヨにも海上移動案を語ると、

「オレもそれを思いついたとこだったんだよ」

「へえ、やっぱり夢で見たのか?」

「いやいや、そうじゃねえよ。今用を足しててさ、水が走る、海上を滑るってな」

「なーる。筏なら一日で作れるだろ。で一日で行けるだろ。同じ二日でシズ行くなら、山賊や野犬に出会わない方が絶対いいよな」

「まァ海に怪物が居なければだけどな」

「潮流に流されて、シズの港に着きそこなうのが、ぼくの心配だけどね」

「上手く操れるかなァ?」

「できるように作ろうぜ」

「あァ、な」

「ま、なんとかするさ」

「本当になんとかできンのかよ?」

「たとえシズより南についたとしても、少しだけなら陸路……路は無いかもあるかも分らんけど、引き返せばいいし、一日遅れるくらいだろ。うんと南まで行かなけりゃなんとかなるさ」

「いや、オレが言ってンのは」

「操れる筏や船を作れっていうんだろ? 大丈夫、筏は長軸が前後方向になるから、アウトリガーで安定とって、浮力が問題になるだけ、だから沢山の低木の若木を使う、すると重くなる、持ち上げて運べないほどな、だから一本ずつ予めちょいと削るだけの加工を縄掛け用に施したら、水に漬けて浮かべながら隣接する木材二本ずつ縛る。加工の手数がちょいかかるし、伐りだす本数も多めだが、あ、あと櫂の分も予備も欲しいし、けど櫂の予備は積むんじゃなくて、縄で縛って後ろに尻尾みたいにぷかぷか浮かべておけばいい」

「なんだかわかんねーけど、よくわかった」

あ、少し引いてる。

鼻息ちょっと荒かったか?


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