表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
71/215

初の依頼を請けて ラクマカの街で出ている依頼に迷う

……イマイチ明瞭でないが、もしかしたら期限は出発当日時点で残り39日だったのかもしれない……今となっては帰着しないと確かめようもないが……。

さすがに神殿にエリアノーラ司祭を訪ねて確認、なんてのは論外だろう。

「そんなことも把握していませんでしたか。なんてだらしない人達でしょう。傭兵としての基本ができていません。札を返してください。評価を書き改めます」

とか言われてしまうかもしれない。

「ついでに曖昧に済ませておいたあなたの女癖の悪さも明記しましょう。ちゃんと知っています」

とか言われるかもしれない。

あの人に対してぼくは畏れを抱いているのだ。

残り19日と考えて行動すべきだろうなあ。



あと、作っちゃった後で、もう手遅れだけれども……。

「これ、オレのよりも、マサの首環でやりゃ良かったンじゃね?」

「うん、ぼくも今、少しそう思ってる」


トヨとぼく用の、今回新たに作り直した首環はかなりゴツくて、ショルダーガードにガッチリ食い込んで、全然動かせない。

だから中で首を緩衝材に擦りながら回すしかない。

ぼくは首が痛くて身体ごと振り向くようにしていた事があったので、違和感があんまり無くて、案外それでうまくやれている。

けど、トヨには違和感があるようだ。


男三人の中で、基本的には前衛に立たずに司令塔を務めるべきトヨが一番首周りの柔軟性はあった方が良い。

常に周囲を見回して状況把握をしなくちゃならないから。


なので、一寸早まった事をしてしまったと後悔したけど、先に立つもんじゃないし、こういう事はあるもんだと割り切って前へ進み続けるしかない。


あー……マサは盾役、ということは今後も火に包まれる可能性あるんだなあ……

可哀そうとかきつそうとかそういう事ではなしに、彼が被害を蒙った時の事を考えてみると、どうせ焼けて駄目になってしまうのであれば、革よりも作り直しが簡単な素材を用いるべきなんだろうか?


ただ、革の方が微妙に生残性が高いかもしれない。

引火性の度合とか、出火時の熱量だとか。

分らんけど……。

マサの為を思えば、やっぱ革、なのかなあ……。


--


さて、もう夕方だが、一応官舎に行ってみよう。

「ん? 何処行くんだ?」

「マサ、俺は官舎に行って、依頼を見てみようかと思う」

「え、依頼?」

「ああ、依頼だ。どうした、ここまでの旅で、何度も通るのが怖くなったか?」

「えっと……」

「まあ、いいさ。見て来るだけだ、今日は」

「そう、なら行ってらっしゃい」


命がけだし、司祭様と付添人の二人が居なけりゃ、ぼくたちだってこれからまだ帰り着けるかどうか、それすら分からない。

でも、ぼくはここへ来て栄養状態がとても良くなり、なのにひたすら毎日毎日作ってばっかりで、暴れたくて、気が大きくなっていた。

とりあえず、海辺の道を全力で駆け抜けて、即行官舎まで。


廊下の掲示板に依頼が出てる。


「マハコヨの街の道具屋の主人に手紙を届けて貰う。期限はあと28日。報酬はスタッグ銀貨で280枚。薬屋のイシハラ」

「サカヌキの村の神殿から小荷物を送致して欲しい。期限は20日間。報酬はスタッグ銀貨で160枚。神殿のエリアノーラ」


前者は論外だが、後者が大問題だ。

まるで俺達の為に誂えたかのような依頼……。

どうする!?

やるか!?


--


「というわけだ。どうしますか、ね……」

夕暮れの広場に戻り、焚火を囲んでいる皆に報告すると、う~ん……と皆が悩んだ。


「ぼくは……一度休んだ方が良いんじゃないか、なあ……」

「あァ、初めてなんだから、一歩一歩慎重に行った方が良いと思うぜ」

「あたしは~……、……家の手入れもしないといけないし……でも、まだ今の内なら忙しい季節じゃないし、やるチャンスかもしれないとも思うよ」

最後にトモコが

「でも、生きていてこそチャンスが次も来るんだから、今はまだ生きて帰り着いて今回の成果を一度じっくりと見つめるのが良いのではないかしら」


「そうか……」

皆の返事を聴いて、少し気落ちして、考え込む。

送致するのは要するに飛脚だ。

ぼく一人で請けて、要所要所で隠れてやり過ごしながら、歩いて7日分の距離をもっと短時日で走り抜くのは無理だろうか?

小荷物というものの大きさにも依るよなぁ……手紙くらいだったら、懐に入れて、背負い籠すら無しに……野犬の群に挟まれたら一巻の終わりだけど、追われるだけなら、どうかな……今から鍛えてる時間はほぼ無いが……。


「一寸、出て来る」

怪訝そうに振り向く仲間たち。

マサが

「どうしたんだ?」

「オイ?」

「いや、ちょっと散歩してくる。心配しないでくれ」

「あ、ちょっと!」


ぼくは夕暮れの街を──いや、その前に官舎だ──官舎めざして、広場から走り出した。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ