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初の依頼を請けて ラクマカの街で帰りの準備

幸いにも温暖なラクマカの地では季節に関係なく、欲しい草がいっぱい手に入った。

それに魚も野草も個人消費分は充分に手に入れる事ができて、飢えとは無縁だった。

それで、ひたすら欠損した装備の補充に朝から晩まで、二回に増やした食事の時間以外は努めることができた。


もう此処に住み着きたいな。


そうも思ったが、官舎で陽気な小母さん職員に相談すると、

「でも、税金は高いんですよ、此処」

と言われてしまい、どのくらいかと訊くと、ひわの国の中でも最高水準だというので、実感が湧かないけど高そうだな、と思って、

「例えば、カスコヨの街辺りと較べて、どのくらいでしょう?」

と訊くと、

「うーん、カスコヨの事はあまり良く知りませんけど、何しろラクマカの税金は、高いと有名な都よりも若干高いと言われるくらいなんですから」

と恐ろしい答えが返って来たので、当面は此処への移住は考えない事にした。


--


依頼の報告期限があるので、危険な道を踏破して帰る為に、とにかく履物と装備を作り続ける。

作業に稼動できるのは四人で、常に一人は盗賊対策で見張りに立っている。

大体はトヨで、トヨが休む時にはぼく以外の三人の誰かが一時的に交代する。

トヨは午前中と午後の二度、漁に出るので、その間の見張りは大体トモエコでやる。


マサノリの装備は大部分が焼け焦げていたから、作り直しに手間暇がかかった。

ぼくのも背中から頭にかけて、かなり焼損していたし、それ以外も既に野犬に噛みつかれてかなりボロボロの場所が多かった。

盾や武器もほぼ二人分丸々失っていたし、戈や棘棒の棘の予備も残り少ないのを仲間内で融通してどうにか遣り繰りしていたので、補充が必要だった。

装帯にも綻びがあったし、付けている小さな蔓籠類も破損していたりした。


先ずは素材を採って来て、基本構成材料たる紐や縄や串を作る。

紐や縄に適した草は幸いにも、広場の周囲が一面それだったので、文字通り手をのばせば幾らでも手に入った。

広場は町の南の、大きな湾に面した浜辺(ユイガハマ)の上にある。

官舎からまっすぐ南側の浜辺に沿って進めばあったのだ。


補強材としての串棒や、また最後尾を行くぼくの分だけ作り直す背負子の木材なども、半日あれば充分以上の量を集めて来られた。


革を最初から使っていない、草と樹皮と枝、或は草と樹皮と骨だけで作ってるような安上がりな防護パーツは、単に作り直せばよいだけなので、手間暇がかかるだけで特段問題もなかった。

素材がふんだんにあるので、防護パーツも良い素材ばかり使って作るから、出来上がりが早い。

到着の翌日から起算して三日で大体の防護パーツを作り直せた。

それを連結して胴鎧の中核部を作り、調整するのにまた一日費やした。

これで四日。


盾は二日と半日。

そこで半日休みを入れた。


翌日、戈、棘棒などの武器を半日で作り直して、午後には首環の後ろのベロ部分、ヘッドギアなどをやっつけた。

ここまでで八日、既に経過した。

残る装帯や容器、マスクその他消耗品など細々したものも二日で完了。

これで十日。


だが、最後にショルダーガードと首環が残った。

首環本体とショルダーガードには、ぼくたちにとっては貴重な硬い革を使っていたし、それが前衛二人分、マサのとぼくのと、どちらも焼けてしまっていた。

狩猟もそうだけど、皮鞣し作業なんて絶対に間に合わないから、今此処では、硬革がすぐには補充出来ない。

少しでも焼け残った革を切り取って再利用するにしても、全然足りない。

そこで、仕方が無いからトヨキのに手を加えて、マサの首環とショルダーに転用した。

そして女の子の防備に不安が生じるのも厭なので、そっちには手を付けず、トヨとぼくの首環本体とショルダーガードは、硬い革なしで新たに作らなければならなくなった。


時間も無いし、結局は慣れた事しか咄嗟にやれず、いつもの鍋敷き整形串刺し強化式防護パーツでやるだけだ。

沢山鍋敷きを編み上げて、大量の緩衝材を包み込めるように整形しつつ相互に連結していき、硬い革で出していた形状に寄せる。

ショルダーガードはそれでよし。

あれこれ考えながら試行錯誤したので、ぼくのだけで一日潰れ、トヨのは翌日作った。


その二日間、手の空いてる者は今のうちに首環用の鍋敷き部材を作ったり、その後は紐や縄などを作って背負い籠に収めたり、野犬の被害甚大な手甲脚絆を二重化して強化したり、その延長で指先を護るハンドガードを編み込んだり、予備の草鞋などを作っていた。


ネックガードも、補強材の関係で流石に防護パーツでドーナツ形状は簡単には出せない。

そこで、首周りの緩衝材(草束)の外に、まずは小型の防護パーツを厚く積層して極太の首環の厚みを実現することにして、それらを少しずつ角度を付けて首の周りに多角形コーナリングさせて、隙間を極小にして連結。

最外殻の防護パーツは、連結の隙間を潰す為に、敢えて串の端を鍋敷きからはみ出させた。

そしてこのごっつくなってしまった首環本体を、ベロと合体させて、紐とボタンを取り付けて、首輪も一丁上がり!


ひたすら一日中、削ったり足したり調整しながらやってたので、ぼくはぼく自身のを作るだけで手一杯で、丸一日費やしてしまったが、方向性は伝えてあったし、仲間が見様見真似でやってくれて、同日中にトヨのも完成した。


こうして、どうにか13日で一応の帰路の準備は調った。

期限40日の依頼を請けてサカヌキ村を出てから、丁度半分、20日が経過していた。


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