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初の依頼を請けて ラウタ村にて

BGM: "Never Surrender" by Corey Hart (『ネバー・サレンダー』 by コリー・ハート)


とりあえず、疲れていたぼくたちはその場で木蔭の岩に腰を下ろし、休んだ。

お天気は上々で、爽やかな海風が小さな岬に遮られて少し弱まり、松の香りを運んできてくれて、居心地がとても良かった。


「さて、まだ御日様は充分高いけど、油断はできない。どうしよう?」

「葦代わりの草があっちに生えてるぜ、あれを取ろう」

「待って、海辺だし、お魚は獲れない?」

「あー、俺達がちょっと食うだけなら許して貰えるかな?」

「まァ、潜れば獲れるかもなァ……こっからじゃ分かンねーよ」

俺とトヨとでは懸念事項が違った。

まあ、何とかなるだろう。

「じゃあ、マサはトモとエコと一緒に漁師さんにその辺確かめて来てよ。それで、許しが出れば俺達獲って来るし、あ、銛作って待ってるから……」

この村は見た感じの雰囲気では、人心は穏やかそうだったので、治安に問題は無いと判断して、安全第一の警戒態勢をとらずに、比較的効率重視で行くことにした。

「あたしは、その後で草を摘みたいな~」

「わかッたわァッた、ついでに葦代わりの草も採ッといてくれよ、な、頼むぜ」

「うんっ」


それで手分けして、トヨと俺は先ず、砂の飛んで来ないその場が都合よいと防具を脱ぎ、

「あ、荷物は俺がみてないと駄目か……」

「仕方ねェ、頼む。オレが海を見て来る間、銛でも作っててくれ、太目に頼むぜ」

「おう、心得た」


--


漁師さんからの許可を得て、夕食の魚を獲らせてもらえるようになったので、エコとトモには草木を採っててもらい、マサに荷物番を任せ、トヨとぼくとで裸になって海に潜った。

獲って良いのは魚だけなので、目の前に貝が貼り付いていても、残念ながら指をくわえて見てるだけしかできない。


危険なのが居ないか常に気をつけて、慣れない海の波や潮の流れに翻弄されながら、暫く経ってやっとトヨと一尾ずつ、そこそこの型のを仕留めて、引きあげた。


波打ち際で捌こうとしたが、刃物を忘れていたので、トモに借りて作業し、海水で洗って返した。

「なんか、ベタベタする……あ、そうだわっ、塩、塩もここで採って行きましょ!」

「おう、そうだな!」

「たしか噂じゃァ、海藻に海水を掛けて煮詰めるんだっけか?」

「あー、でも煮詰める容れ物が……」

「とりあえず、海藻を洗って、乾せば塩が浮き出るんじゃない? そうでなくても、海藻は食べられるし、乾して持ち歩けばいつでも塩分が摂れて助かると思うわ」

「よし、やってくる!」

「オレらは先に炙りに行くぜ」

「おう!」


ぼくは海辺に沢山打ち上げられている海藻から、なんとなく食えそうなのを探して、海に入って洗って持ち帰った。


鎧の内側を乾しながら荷物番をしてくれていたマサが、気を利かせて焚火も熾してくれていたので、戻ってすぐに炙り始めたかったが、串の一本も無かったので、大急ぎで細枝を採りに……行かずに、乾してたトヨの手甲から補強材に使ってる串を十本ばかり引き抜いてもらい、それで突き通して、炙った。

なぜトヨの手甲から串を抜いたかと言えば、もしも歩きながら補修するような破目になれば手甲が一番作業がしやすいのと、女の子の防具は軽量化とか体格の関係で串が少なく小さ目で、男子の中ではトヨが一番防具被害が少なかった実績とによる。


魚を炙ってもらってる間に、トヨとぼくは潮でべたべたヒリヒリする身体を洗い流しに行こうとして全裸なのをトモに叱られ、腰巻だけつけて村へ入って行った。


村の小父さんに道を尋ねて広場まで行くまでに、肌に塩が浮きだし始めたので、舐めるとしょっぱくてとても美味しかったので、トヨと二人してペロペロ舐めながら歩いた。

「美味ェな」

「一度味わうと、病みつきになるな」

「あァ」

「なんとかして沢山欲しいけど、あんまりやると見咎められるだろうなあ」

「ま、帰りにも少し採ってくべ」

「だな」

「ってか、海辺の村に移住するってのもアリなんじゃね?」

「ああ、まあ考えてみりゃそれもアリだなあ、うん……」

「だべ? 大いにアリだべ?」

「この村は津波が来たらイチコロだから怖いけどね」

「そなの?」

「狭くて、水が溢盃押し寄せた時に行き場が無いだろ? すると後ろから押された水は陸地を登るしかなくなるから、意外に高い所まで押し寄せて、家とか洗い流されちゃうんだよ」

「へえ~、よく知ってるなあ」

「いや、ジョーシキだろ? ……あれ?」

「そうかァ? 海の事なんて噂でしか知らねェし、むしろ知ってる方が不思議じゃね?」

「あれ?」


ぼくは何処でそんな事を知ったのだろう?

トヨに指摘されて、あらためてたしかに不思議な気がしてきた。

ぼくだってトヨと同じ生まれ育ちなのに、お父さんやお母さん、友達から?

いや、そういえば、海の事はあまり聞いた覚えがない──


この五年間の何処かで、ドミみたいに新しく知り合った者からとか?

どうだったろうか……


そう思ってるうちに

「お、あったっ」

とトヨが云うので、水場に着いたのが分った。


肌に次々に浮いて来ていた塩が勿体ないので舐めるだけ嘗めて、それでも嘗めきれない所はあるし、特に股間とか膝裏とかがやっぱり酷くべとつくので、水場で頭の手辺から爪先まで全部きれいに洗い流した。


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