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ジゴロ

その後、なかなか忙しくて、少女との関係に頭を働かせる余裕がなかった。


そうしているうちに、また尾根へスコッレの練習に行く日がやってきた。

生憎雨だったが、雷雨にでもならない限り、スコッレの練習予定に変更など無い。


マサシさんに挨拶して、親しくタカシと駄弁って、それでも草試合が始まると目の色を変えて襲い掛かり、撲りあい、蹴りあって、またドッと押し寄せようとする敵と味方のフィグ同士の激突の中でも耳はカウントを捉え続け、目は素早く仲間特にエコトモの状態に注意し、できるだけ素早くタカシを捻じ伏せて、頭骨をもぎ取って、自陣を突っ走り、ゴーールッ!


その日の第一試合はそうして勝って僅かに儲け、次の試合は負けて炭を失った。

本当は既に少しだが金が懐にあるのだから、炭でなく金を賭けるべきなのだが、最初に炭でよいとしてもらってたので、まだ炭で賭けていた。

実質炭を売ってるようなものだが、勝たなければそれも無い。

それで猶更試合に熱が入るので、スコッレ的には互いの利益になっていたのだった。


その日の練習も終わった後、スカーフの少女に当然ながら絡まれた。

「ごめんな、全然ゆっくり考えるヒマが取れなくて、まだ考えは決まってない」

言い終わらないうちに、腕に痕が付くほど爪を立てられた。

「待ってたのに」

「言っただろ、俺は忙しい身体なんだって」

なんとなく宥めなくてはならないような気がして、その日は到頭帰宅できなかった。


翌日も帰して貰えず、あまり無断で外泊し続けると俺も困るので、さすがにそこまでで勘弁してもらったが、何も用事が無くても定期的に仮拠点だった塹壕小屋に顔を出せと約束させられてしまった。


--


それで暫くは無事順調に物事が進んでいたが、或る日、塹壕小屋に顔を出してみると、少女が先に来ていて既に火入れを済ませていて、即座に相手をさせられた。

すぐに菰を仮拠点の中に広げて、日頃要塞に押し込められている少女のすべてを解放させる手伝いをさせられた。

彼女がもっと広い所で開放的にと熱望するから、誰も他には居ないし、戸口の外へ菰を持って出て、思い切って屋根の上の地面に敷き拡げ、何ひとつとして身体を制約する物なしに、自由を満喫した。



その日のそれが殊の外、少女のお気に召したらしく、それ以降、雨などが降っていなければ毎回欠かさず通ってきて、望まれた。

と、同時に蓋つきバスケットに簡易な食事を持って来てくれるので、二人で食事した。


--


そこまではまだ良かったのだが、或る日、別の女性が一緒に来ていた。


少女よりはかなり年嵩で、むしろ彼女の母親に近い年頃に見えた。

なにやら少女は諦め顔で、やや項垂れて、

「後でこの人の相手もしてあげて……」

と聞き捨てならない事を云うから、

「どういうこと?」

「訳は聞かないで……彼女の名前も」

訳が分からないけれども、結局はした。

曇り気味だったが、外で自由を謳歌した。

誰も居ないから声も自由だ。

本当は危険なことだが、彼女たちの反応が良いもので、ついノってしまった。

ノリついでに、今まで教えてなかったことも幾つか仕込んだ。


結果、何処かの奥さんかも分からないその人もまた、凄くお気に召してしまわれたようで、艶麗な笑顔を向けてきて、

「お礼にこれを」

と何かの包みを下さるから、何も訊かずに拝領して、

「またお会いしてくださいね」

と次にも会う約束をさせられ、二人を見送ることになった。


後始末後、こっそり仮拠点で包みを開いて見てみると、10枚もの銀貨が包まれていた。

これは何か大変マズい事に巻き込まれたような不安を覚えたが、何もできずにいた。

エコトモに噂を聞いてきてもらうことも考えたが、名前も分らず、特徴のある被服も一切なしに、目立たぬ恰好で訪れていたので、誰と特定するのも難しかった。


それから数回会って、最後には本人は来ずに、少女の手を経由して、彼女からの贈り物を受け取った。

それがまた銀貨20枚もあり、最後まで正体も目的も一切分からなかったが、少女が

「心から感謝している、とお伝えください、だって」

とだけ言ったので、なんとなく、昔から噂に聞いていた、そういうことなのかな、と思ったが、結局はっきりした事はやはり一切不明なままに、その婦人とは関係が終わったのだった。

そして、ぼくは一体何処でそういう噂を聞いたのか、どうしても思い出せなかった。


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