練習
自分で全身の防具一式を装着して、皆に見せてみる。
まずトモコとエイコが
「これは……なんていうか、重そうね……あたしも着けるの、これ?」
「恰好がひどいよ~」
「デブに見えるのは許してよ、このくらいしないと、ぼくらの体格じゃ一撃喰らったら怪我しかねないんだから。あ、でもこれはぼく用だからね? トモたちのはもう少し違った感じにはする心算……」
マサノリは理解を示して、
「まあ、いいんじゃない? 今使ってるのより隙も無いし、頑丈に見えるよ」
「そうなんだよっ、分ってくれて有難う!」
「う~ん、いっその事、肩防具と首環とヘッドギアまで全部一体化させて、中で身体を動かすようにした方が良かったンじゃぁねェか? ここまでゴツいと。中で首を回すくらい出来ンだろ」
トヨキに指摘され、
「外骨格かあ、甲虫みたいだね」
あー、その手がありましたか……。
でも、身体から離して面を維持するのはまだちょっと敷居が高いんだよなあ……。
「うーん、できれば、それもいいよね、多分防御力が向上する。でも頭とか、防具だけで空間を保つとなるとねえ……」
「できるべ、肩防具から枝を曲げて×の字に頭を覆うようにして」
「いや、固定、結構難しいんだよ? 曲げるっていったって、攻撃を防ぐ強度を持つくらいの枝を都合よく曲げるのってのはねえ……あと、やっぱり固定。肩防具は硬い革で覆っちゃったから、挿し込む場所もないし、硬くて加工も難しいし」
そういうパワードスーツみたいなデザインは好きだけど、今のぼくたちには実現が簡単・簡易・低コストなものしか無理なので、将来検討することにして、当面保留だ。
そして既にこの時点でかなりデブ体形に見えるが、更にスコッレ用に緩衝材を追加して装着する。
ぼくの場合には二つの環を両肩から斜めに脇までへ掛けるようにするし、トヨは同じものを左肩から右脇への一本だけつける。マサは右肩から左脇への一本だけ。
体格とか装備とかの関係でそうした。
フル装備だとかなり重いが、動きはそれほど妨げられないので、純粋に力の有無で動きやすさが決まる。
つまり、鍛えれば使える。
今は、重くて、着て立っているだけで疲れる。
でも、とにかく一式出来上がったぞ!
これから、残り四人分を作らないといけない。
男子用のは現用の狩猟用のでとりあえず賄おうと思えば出来なくはないので、女子のを先にやるか?
いや、作り方を変えなくて良いマサのを最初に作った方が都合が良いな……。
そんな感じで、主に製作側の都合(作りやすさ)で順番を決めて作っていく。
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冬の間に仲間の武具を少しずつ揃えつつ、皆で戦う練習もぼちぼちやりだした。
スコッレの為の練習じゃなく、傭兵として活動する準備としての練習だ。
陣形はマサノリが最前列、トヨキが中央で司令塔、ぼくは二人の近くで遊撃、女の子は後列。
マサノリは盾を構えて、敵の突進・突破を絶対にさせないように敵の真ん前で踏ん張る役。
ぼく同様に重い装備に身を固めたマサはあまり速く動けないから、味方が狙われてしまうと守りに行くのが間に合わない。
だから襲いかかってくる相手に対して、直ちに威嚇の叫びを挙げて突っ込んで行き、真っ先に敵の注意を惹きつけて対峙する必要がある。
トヨキは戦場で目端が利くので、なんでも必要に応じて対応する役。
弓と棒網──棒の先に縄を数本繋げて、直交する短い棒に縄同士の間隔を設けて結わえ付け、網のように広げられるようにして、敵を転ばしたり絡め捕るのに特化したもので、一応それで引っ叩くこともできる──を構えて、遠くから先に射たり、斜め横から敵を転ばしたり絡め捕る。
敵が逃げるのか、それとも向ってくるのかを素早く見極めてマサノリに妨害指示を出すのもトヨが得意だった。
その点、ぼくは見て取れても、他人に指示するのは少し苦手で、先に反射的に動いてしまう。
なのでマサの近くで攻撃や防御を臨機応変に行い、遊撃的に動いて、転げた敵にトドメを刺したりする。
女子には攻撃力は期待しない。
襲ってくる敵の害意の前に身を晒して受け止めるのも期待しない。
女子は、旅行時には大きくて頑丈な籠を背負い、杖をついて男子の後に尾いて来てもらえれば、それで充分。
籠には女子の分の盾を入れてあるので、いざとなったら籠をおろして障害物としておき、盾と杖でただひたすら己の身を守っていてもらえれば、それだけで男子としてはとても助かる。
とにかく、重たい防具を装備して激しく動くだけで、物凄く疲れ、汗も吹き出る。
だから練習後はしっかり装備を乾して燻した。
次第に装備を着けて踊る訓練といった風のトレーニングにも慣れて来て、或る程度動けるようになった。
それで少し練習を増やす。
二人で向き合って、打ち込み練習だ。
一方が打ちかかり、他方が受けるが、受けても避けても良い。
それから反撃訓練だ。打ちかかられて、下がらずに逆に前に出て撃つ。
その他、鏃の代わりに緩衝材を付けたひょろひょろ矢を射こんで、受け側が躱したり打ち落とす練習など、日替わりメニューをこなしていく。




