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スコッレの練習の準備

うちのサカヌキ村にも、村のスコッレ選手と、それとは別に若者の党派とでもいうのか、そういうのがあるらしい。


少しずつ防具を作っていたぼくたちは、傭兵になるのにスコッレが自分たちを鍛えるのに良いと思った。

それでスコッレの練習や草試合をしたくて、でも村の選手では相手にもなれないだろうし、若者組がいいかと考えたが、相手が分からないと怖いし困るので、少し時間をとって紹介してもらった。

家畜小屋で寝起きしていた頃に時折洗濯場で顔を合わせてたまに喋っていた小母さんに相談して、夕方に尾いていくと、訓練場みたいな小屋があって、中で男たちが鍛えていた。


「ジロちゃ~ん、いるぅ?」

「ああ? ああ、アッコちゃん。な~に?」

「あのねぇ、ちょっと会ってやって欲しい子たちが居るんだけどね……」


出てきたのは、五輪の重量級のレスリング選手のように筋肉がついた首の太い男性だった。

えっ、村の若衆でこれなの……?

ビビるわ……


そう思ってたら、ここは村の選手の練習場だったらしい。

焦って損した。

小母さん……


「俺がこの一党の頭のジローだ。会いたいってのはお前たちか」

「そうです、私たちは練習がしたいのですが、ご覧の通り、まだ殆ど子供です。もしかしたら、丁度良いくらいの練習相手にお心当たりがないかと思い、訪ねて参りました」

「そうだなあ、俺達の仲間の弟たちとかでも練習してる奴らとか、まだ小さいがやりたがってる奴らとかいるし、そいつらを紹介してやろうか」

「有難うございます!」


こうして、渡りをつけてもらえた。


ぼくたちも今すぐにできるというわけではなく、秋は食糧採集やらなにやらで目が回りそうなほど忙しいし、冬は無理だし、練習できるのは次の春頃から。

それでまた冬が足早にやって来ると、雪に降り込められている間に防具とスコッレ用の武器を急いで作った。


もちろん晴れれば狩りや採集作業に出るので、防具作りに充てられる時間は限られる。

だから猶更簡易に済ませられる『防護パーツを作って連結』の方針が妥当だった。


--


既に夏に作ってずっと燻してあったぼく用の腰当と腹当と肩帯は、繋いでみて少し重く感じたが良い感じだったので、引き続き心臓を守る胸甲および背中の部分防具に着手。


心臓を守る胸甲および背中、それと腹と腰の装甲部品には中型獣の肩甲骨──それがなければ、木の板──を追加で編み込んで、特に刺突の一撃に備える。

スコッレだけならそんなものは要らないのだが、ぼくたちの目的はあくまでも全身に鎧を着込んだ状態で自由に動けるように鍛えることだったので。


腹当・胸甲・背中・腰の四つの部分防具を肩帯に取り付ける際には、高さに気をつければ大体OK。

これが総合防具たる『鎧』の胴鎧の中核部分だ。

使わない時は枝を上端に残した杭に掛けておくが、着ようとして取り上げると、やっぱり重い。


連結した胴鎧中核部を装着するには、予め左脇を連結しておき、肩帯を頭から被るように装着して、右脇を閉める。

右脇は隙間が空いているから、専用の防護パーツを宛てがってから、前後を留めて閉める。

外す時には逆の手順を踏むわけで、先ず右脇を開いて、頭を肩帯からぬいて脱ぐ。


腰当には、その下にお尻を守る垂れも追加した。

ほぼ腰当と同じものを作り、腰当に僅かに端を重ねるように取り付けて隙間を刺されないようにする。

大型の草摺りのようなものだ。

その腰とお尻の境目、腰当の下端の上、尻当の上端の下に腰縄を巻き、もっと上の腰の真ん中あたりで腹縄を巻く。


下腹部から股間、大腿の上部までを守る草摺りも作った。

長方形に整えた鍋敷基材に補強材を上下左右に挿入し直交格子で硬くした分厚い防護パーツを二枚、上側のパーツの裏側に下側のパーツの上三分の一ほどが重なるように連ね、紐で縫って連結して一枚の草摺りとした。

股間と左右の腿の前面及び側面の合計五枚。


--


防具の全身装着時は、まず腰帯をつけ、履物を履き、キンタロ腹掛けをつけ、腰巻を巻く。

それから臑や腿や腰など、防具側に特に緩衝材を増量してない箇所に、草の束を巻き付けておく。

肌着を着て靴を履くようなものだ。

それから防具を身に着ける。


まずは脚絆で脛と脹脛を巻き、膝当を締める。腰巻から紐で枯草の束を吊るして腿裏に宛てた上から、腿裏の防護パーツを宛てて、パーツに付けた紐で腿に巻いて結わえる。

次に胴鎧の中核部を装着したら、腹縄と腰縄をきっちり巻いて結わえる。

腰縄は樹皮スカート付で、ずり落ちないように腰で腹当や脇防具に結わえる。

それから腿前面にミニ葭簀を腰縄から吊るして装着して、草摺りだ。

腹縄から、先ず左右の腿の側面に、次にその上に少し重ねるように前面に、草摺りを垂らし、最後に腿前のに少し重ねるように、股間の前を守る草摺りを垂らす。

最後に二枚目の頑丈な胸甲をとりつければ、胸から下までは装着完了。


あとは腕・肩・首・頭部だ。


アメフト的なショルダーガードを頭から被るように首周りに装着して、首周りから肩先まで、胸の半ばから背中の半ばまでを守る。

もこもこするほど大量の緩衝材を紐と硬い革で包んでる。

これは前部分を紐とボタンで開閉して着脱。

左右上腕に巻くミニ葭簀はショルダーに開けた穴に紐を通すので、予めショルダーにセットしておく。

紐で最初から左右を繋いでるのを、首の後ろと肩先の穴に通して吊るしている簀を上腕に巻いて、上から紐で巻いて結わえる。


それから首防具を着ける。

首を守る太く分厚い首輪は、殆ど顎まで覆う。

首輪は頸部を猛獣の力強い顎で砕かれないのが第一目標であるが、強度的達成は中々難しいので、第二目標として形状的に噛みつき難くすることを目指して極太にした。

極太の首環の中身は草束のクッションで、外装材は硬い革。

ショルダーと擦れるのが難だが、丁寧に成型し直し、使用時には脂をほんの微かに塗って滑りを良くしてから使う。


首輪とヘッドギアとの干渉が問題になったので、ヘッドギアを改造した。

基本的な串の字型は変えないが、下の太い保護帯の高さを頬骨から口にかけての線まで上げた。


首輪には頸部の極太の環のみならず、上へ伸びて後頭部まで守るベロと、下へ垂らして脊髄上部まで守るベロが付く。

後頭部をこれで防護するようになったことで、ヘッドギアの後頭部補強材は総て不要となった。

上下のベロは別に分かれてるわけではなく、はじめから一つの長い長円形として編んだ基材に硬い細枝の串を刺して防護パーツとしたものを、後から首輪の内側に紐で縫って取り付けた。

首輪は首の後ろで合わせて紐とボタンで留めていて、その内側にベロがあるから、刃が通る隙間は無い。


それから手甲を装備してヘッドギアを被る。


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