防具 三者三様に改造
雪が残る拠点で作業していても、火を入れている家や作業小屋に居るうちはどうせ防寒着など着ないで、どうかすると腰帯一丁の裸足で行き来したりする。
さすがにトモコに
「寒くないの?」
と言われたが、
「血脂の煮汁のお蔭で、元気になったんだ」
と答えて、それから発言の意図をやっと慮って
「ん? 何か着た方がいい?」
「うん」
と困ったような顔で言われて、ああ、そうか、と思って、トヨも居ることだし、斎戒はしないが川下で冷水に身を浸して沐浴してきて、表面だけでも少し脂っ気の抜けたすんとした感じになって、燻してきれいにしてある腰巻とキンタロ腹掛けに身を包んだ。
破れかけてる腰帯は洗って乾しておいた。
いずれにせよ、どうせ拠点内で過ごしているうちは防寒着など着ないから良いのだが、壕の向こうへ柴刈に出る程度の作業だと、山と言ってもすぐ近くで、別段狩りや襲撃があるでもないのに、ずっと緩衝材や樹皮を増強した防寒着がもこもこしてるのが邪魔っ気だと思うようになった。
なので、自分の分については、防寒着の中に枯草の束を増量していたのをやめて、防寒着とは別に樹皮で包んで縛って環にして、首を守るように両肩に載せて胴に斜めにX字に懸けた。
着脱が簡単で扱いやすい。
防寒着の胸元も、枯草の束を胴に宛てて紐で巻いた上に、縄を巻いた下に樹皮を挿し込んで上から押さえただけの余程いい加減な留め方だったので、元々防御力は低いが、この環をたすき掛けすることで多少増強され、また防寒着の外装材の押さえともなって一石二鳥だった。
とにかく簡易に済ませておく。
トヨも同様に邪魔臭く感じたようで、ぼくのやり方とはまた違うが、自分で緩衝材の量を元に戻して、枯草の束を樹皮で巻いた襟巻を肩の上に巻いて首とその周りを守っていた。
トヨはヘッドギアを大きく改造して、顔面を額とこめかみ以外は守らない、つばもバイザーも無しのバイク用の軽いヘルメットみたいな感じにしていた。
串の字型の二本のガード帯を、上の一本の位置をこめかみ・額・後頭部の線に上げて、下の一本は取り外して上の防護帯と耳の上で交わるように重ねて、頭部の前側・耳の後ろ・延髄を結ぶ斜めの線に沿わせ、頭頂部に鍋敷きを宛がって、そうして三つの緩衝材を紐で貫いて綴じていた。
補強材は縦に一番前から一番後ろまでシンプルにぎっちり詰めて突き刺していて、首の後ろの防護はしていなかった。
「ンな周りが見にくいのなんか、着けられるかよ」
というのが言い分だった。
ぼくらがそういう風に改造してるのを見て、マサも
「ぼくのも直した方がいいかなあ」
と言い出した。
なんとなく改造はしたいらしいが、どうすればいいのか、思いつかないらしい。
「いや、マサはそのままでいいじゃン」
「マサは普段から体力つけるようにした方がいいし、折角いい感じに革も張って改造したんだから、少しくらいの不便は我慢して、鍛えるようにしてくれ」
それでマサも
「そうか、じゃあそうするか」
と引っ込みかけたが、そこへエイコが
「仲間外れにしちゃ駄目だよ」
と言ったので、
「ふうん、じゃあ、一応改造をちょっとだけやってみるか」
と言って、ぼくが改造を手伝った。
マサは右肩にだけ、樹皮で表側だけ半ば包んだ大型の草束を掛けて、右側の肩と首、胸元と背中を覆った。
左側は盾で守るから、盾で守れない右側に盾代わりに草束を担ったといったところだ。
ちなみに両肩を盛り上がらせた強化防寒着はそのままだ。
つまり純粋に防御力増強。
「軽くなってないよ」
「うん、実はそうなんだ。許してほしい」
「鍛えろ」
またヘッドギアはぼくみたいに防護帯三つではなく、額の太い帯と鼻の下から顎にかけての太い帯、その二本の隙間から見るという、要はフルフェイスのヘルメットと同じにした。
これはその方が良いので、ぼくもマサのを改造したあとで自分のを同様に改めた。




