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ラクマカ北の断崖台地上にて山賊の一派を滅ぼす

周囲の雑魚は片づけた。

あとはマサが抑えてくれたボス一人。


ボスの背後に俺が回り込み、横からトヨが槍で突っつき、突っつくトヨをトモエコが楯でカバーして、暴れるボスを四人の楯で三方から囲んで押さえ込み、トヨに近づけさせないようにすると、身を屈めたトヨが俺達の足や楯の隙間から槍をボスの足の間に突っ込み、

「右だ、右へ回せ!」

と叫んだので、それに合わせて四人の楯で押し競饅頭しながら右へ、右へとボスを捻り回してやると、槍に足を取られたボスが後ろへ転んだ。


背後のぼくが楯を引いてボスが尻もちをついて仰向いたところへ楯ごとのしかかって顔を潰すように乗っかって押さえつけると、足の方に居たマサも脚と腹の上へ楯で乗りかかって押さえ込み、武器を持ってる右腕にはエコとトモが二人がかりで楯を連ねて乗り上がると、トモは顔を上げて周囲を警戒した。


楯の下敷きになったボスの左手が隙間から出ているのを、トヨが膝で抑えつけ、ぼくも空いてる左手で肘を押さえる。


こうして、すっかりボスを抑えつけて動けなくしておいてから、指を少しずつ叩き潰したり、切り飛ばしてゆくという単純な拷問にかけて、巣穴の場所を吐かせる。


「オラッ、さっさと吐けコラッ! そうすりゃァ、産まれてきたのを後悔するほどの地獄を味合わせずに、すっぱり息の根を止めてやるゼッ!」


散々傷めつけて脅した挙句に、やっと音を上げてゲロしてくれたので、それ以上は傷めつけずにさっさと楽に死なせてやることにして、

「すっぱり、すっぱりやってくれよなぁ」

と今は弱り切って嗚咽する山賊に、

「わかったぜ、すっぱりとだな」

と最後の慈悲を約束し、実行する為に首を剥き出しにさせると雑魚の死体から剥いだ襤褸を用意して、首筋にナイフを宛がい、一言

「行くぞ! 覚悟しろ!」

と叫ぶや、一気にナイフで約束通りすっぱり掻き切ってトドメを刺し、噴きだす血は即座に襤褸で受け止めて、周囲が不用意に広く汚されるのを防いだ。


マサは失った石斧の回収に行った。

トヨがトモとエコと三人で見張りに立って、楯で身を護りつつ弓矢を構えて警戒する中、ぼくは一人で戦利品を回収した。


ボスと云っても、所詮はこの場に居た一派を率いていた山賊の幹部に過ぎず、山賊団の首魁ではない。

それでも割と良い物を身に着けていたので、死体から遠慮なく剥ぎ取った。


--


ボスの着用していた山賊の鎧一式は、ぼくたちに攻撃されて一部破損しているけど、まともなクオリティの硬革鎧だったもので、充分に価値がある。


その第一構成要素は、鎖骨や首を厚く積層した硬革部品で護っている優良な胴鎧で、肩から上腕に掛けての装甲、また草摺りも標準装備されて、胴体の枢要部と周辺各所を防護している。

これはぼくたちの盾役を務めるマサ向きの品。

硬革兜もマサの頭に合う。


硬革の手甲脚絆は、それに合う腕の太さ的に、一番体格の良いぼく向きで、上から更に自作の手甲を着装できるから、防備が強化される。

革のまともなコンバットブーツも大きさ的にぼく向きだが、詰め物をすればマサだって使えなくはないが……靴擦れは怖いよなあ……あとで相談しよう。


雨具兼野営用の擦り切れかけた継ぎ接ぎの革のマントも丸めて腰の後ろに縛っていたので、当然貰い受けた。

革のベルトや小物入れなども良品だが、鎧の上から着けるのならサイズ的に誰が着けても問題ない。

肌着やズボンなど衣類も悪くない感じだったので、あとで洗って使うべく、喜んで剥いだ。


武器は意外にもシンプルな石鎚だが、柄に革ベルトが付いていて、手首に引っ掛けられるので、全力で振り回して敵を叩き潰せる良品。

ボスの恵まれた体格を活かした武器ではあった。


お蔭でマサノリの楯が激しくボロくなってしまったが、マサもよく防ぎきったものである。

これも野犬先生にボロボロになるまで散々鍛えられたお蔭であろうか。

これからはシズ周辺の低地を野犬道場と呼ぶべきであろうか。

ともあれ、ネフワアに着いたら、マサには楯を修理しておいてもらいたい。


革の巾着に銀貨27枚と銅貨74枚、これはトモに預かってもらう。

他にも紐付きの麻袋が転がっていて、食糧や水や縄や紐や斧や肌着の替えや汚れた包帯や薬草などが入っていた。


マサが戻ってきた。

手には斧がある。

「あ、見つかったのか、良かったなあ」

「うんっ、意外と近くだったからねえ」

「じゃあ、こいつはもう終わったから、他の奴のを剥ぐの、手伝ってくれないか?」

「おう、わかった」


雑魚から掻き集めた銀貨12枚と銅貨126枚はトモへ。

弓矢や投げナイフ、ナイフや木の槍、棍棒などの武器類は、投げナイフとナイフはトモエコに、矢はトヨの予備として、あとはとりあえずマサとぼくが運搬するので襤褸布の包みに突っ込んだ。



死体が近辺に残っていると野犬が寄って来るから、ぼくたち全員で引きずって、離れた所に捨てに行く。

早くも一匹寄って来て、辺りをうろついていたが、襲い掛かっては来ない。

ぼくたちが死体を捨てて戻って来ると、犬が死体にすぐに駆け寄って、噛み裂く音が聞こえてきた。


冷たく風が吹く中、もう一度鳴子を仕掛け直してから、菰の下に仲間と身を寄せ合って心身を休ませる。

月はまだ中天高く、冴え冴えと明るい。


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