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ラクマカ北街道での山賊の斥候との小競り合い

カツッ!

「あ……?」

最後尾を歩くぼくの背中にいきなり矢が突き立った。

が、鎧のお蔭で無傷で済んだ。

「敵だ!」

すぐに後ろへ振り向くが、敵影無し。

楯をかざす。

「楯!」

「どこだ!?」

「後ろだ! どこかに、どっちかに潜んでるぞ!」

と左右を交互に右手で指さす。

きっと街道の左右の何処かだろう。

左右のどちらかは分からない。


スコッレの試合開始直前のように、落ち着いて左右にゆっくりステップし、身体を揺らして次の攻撃に備える。

「ちょっと見せろ」

とトヨが背中に突き立っている矢を見て、

「左、いや、後ろへ向かって右だ!」

と指さして叫ぶ。

となると、街道から少し離れた草蔭が怪しい。


楯を構えて俺が近づいて行くと、また一発射込まれたが、皆もう楯で身を護っている。

狙われたのは俺だったが、さっと楯に隠れて防いだ。

「そこの草むらだ!」

とトヨが指さして叫ぶ。

楯で受けた感じ、威力が弱いから、小さな弓で射て来ているらしい。

最初の一撃で俺を倒していれば違ったんだろうがな、ミンチにしてやるぜ!


だが、

「下手に追いかけるな、きっと罠を仕掛けてるから」

と依頼人がアドバイスしてくるので、実戦経験の少ないぼくはそれに従い、その場から進まずに少しずつ動き回って楯で防ぎ続けながら、足元の石を適当に投げつけ、他に伏兵が居ないか警戒する。


エコはすぐに依頼人さんの前に出て、盾をかざして防いでくれていた。

トモはトヨの前で楯を構えている。

エコとトモも石を投げつける。

マサは進行方向の最前列だったが、今は対面方向が180度変わっているので最後尾になり、トヨの背後で伏兵を警戒している。


敵は射手以外に、もう少し近くからナイフを投げて来るのも二人いたが、楯で難なく防げる。


トヨも楯の影から周囲を警戒していたが、どうやらこいつらだけとみて、ぼくらが投石するのに紛れて、敵を充分によく狙って射返す。

二射目でナイフの一人を射貫いた。

その後更にもう一人のナイフ投げを射貫くと、小さな弓の奴は逃げ出して、仕留め損なった。



念の為に本当に逃げ去ったのか、またトヨが倒した二人が何か所持していないか検めるべく、ぼくが一人で地面を棘棒で叩きながら前進した。

ブービートラップを見つけて曝露したり気をつけて発動させて解除したりして、慎重に重傷の奴に接近すると、脚絆に追加で挿し込んでる串を抜き、奴の掌に突き刺して踏みつけて、地面に釘付けにしておいて、もう片方の手も地面に縫い留めておき、次の奴へ。そいつも同様に釘付けにしておいて、射手の居た草むらへ。

シンプルな落とし穴を見つけて、開口させておき、周囲を更に探し回り、とりあえずそこに留まって、警戒を続ける。


後方では、トヨが重傷者の釘付けにした掌を踏んづけて拷問して、仲間について吐かせていた。

聞けるだけ訊き出すと殺し、所持品を検分する。


襤褸布に身を包んで偽装して潜んでいた奴は、鎧代わりに野犬の生皮と思しき物を身に纏っていたが、トヨの矢は隙間を射貫いていた。

野犬の生皮はここら辺の山賊の下っ端のトレードマークみたいなもの、と依頼人から教えられ、ただの山賊なら大したものは持ってないだろうが、トヨは一応検分を続ける。


もう一人も同様に拷問して、先に訊き出した内容との違いが無いか確認して、持ち物を調べ、特に尋問の必要が無いと分ると、トドメを刺した。


二人の懐には革の巾着があり、合計で銀貨7枚、銅貨121枚。

お金はトモが預かる。

依頼者に対する暗殺者だとすればありそうな書類の類は無かった。

風体から言っても、恐らく単なる山賊の類だろう。


敵から飛んできた矢のうち使える3本はトヨが使うので、自前の矢とは別に予備矢にしとく。

石の投げナイフ8本はトモとエコが拾って上腕の防具に挿し込んでおく。


死体が防具代わりに纏っていた犬の生皮4枚は、たとえ苦労して持ち帰っても、まともな革にするにはもう手遅れなので、捨て置く。

擦り減った靴底を麻糸で下手くそに修繕して甲革に縫い留めてあるぼろっちぃ短いブーツ二足は洗浄すれば素材に使えそうなので、汚らしい襤褸布6つのうち一番まともなの二枚で包んで、傍に落ちていた木の槍に結び付けて持ってゆく。

長物を普通に肩に担ぐと遠くからでも目立つから、駕籠かきみたいにトヨとマサの二人で一本持って荷物を吊り下げて街道まで運んでいく。

不潔な荷物なので、貴重な虫除け液をほんの数滴だけ掌にとり、今の状況ではこれも貴重な水で少し薄めて槍に塗り付けて、運搬中に虫に取り付かれにくくはしておいた。


木の槍と別に落ちていた石槍はトモが、射手役として常に弓矢を手にして歩いているトヨの為の槍持ちとして手に持つ。

使い古された革ベルト2本はパンパンッと汚れを払って、籠から串を突き出させて、そこに引っ掛けて持ってく。


ネフワア村に着けば水場は当然あるというので、不潔な荷物は可能ならそこで洗い晒してから手入れしたりして、それから利用するつもりだ。


逃した一人がどう動くか分からない。

三人は山賊集団の一員だったようだから、きっと山賊の巣穴に逃げ帰って、仲間に告げ知らせているのだろうが、その後またぼくたちを見つけて追尾しているのか、それともどこかで既に待ち伏せて襲撃準備を整えているのか、それは分からない。


その後、街道巡回警備の小隊に遭遇したので、遭遇戦と穢れの件を報告した。

もっとも、此処で報告しておいても、次のネフワアでは報告義務がある。


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