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ラクマカの街から北へ出立

官舎で説明を聞くと、道は依頼者が知ってるとのこと。

エイコがとても請けたがり、トモコとトヨキがどちらかというと賛成しても良い、ぼくとマサノリは中立で、結局隣村までの護衛の仕事を請けることに方針決定。

多少帰宅が遅れるが、別に良いだろう。


「それと、依頼者からは『待ち合わせ場所に来る際には、尾行に用心してくれ』と特に指定があります」


というので、日も暮れていたが、念の為に同じ場所を200mほど大きくぐるぐる廻って、追跡者や監視者が居ないかを時間をかけて観察して、怪しい人物が居ないのを確かめてから、少し遅くなってしまったが、指定された待ち合わせ場所へ面会に行く。



依頼者は、その正体を隠した一人の人物。

粗末ななりに身をやつし、顔も被り物から垂らした布の蔭に隠して見せない。

声や体格からすると中年以上の年齢の男のようだ、ということくらいしか分からない。

正体がバレると命を狙われるので隠してる、とのこと。

但し勿論官舎の方では正体を把握していて、依頼人の身元は保証されているので、ぼくたちが疑心暗鬼に陥る必要は全然ない。


彼は道や道中の危険について知っているが、一人で旅の危険を排除して逃げ延びるのは彼にとって難しいらしい。

本来は道中の危険など護衛側が知悉していて当然なのだが、ぼくたちには今はそんな実力は無い。

そこら辺は依頼を斡旋する職員側でうまく調整してくれてるので、ぼくたちは依頼人の道案内を期待し、依頼人はぼくたちの戦闘力を期待するだけで良い。


--


翌日、夜明け前にラクマカの街を出立して、市域からやや北西へ出て行く街道を北上し、次第に荒れて来る風景の中をほぼ真っ直ぐに突っ切って進む。


荒れた地面は、土よりも赤い砂が目立ち始め、足元では埃が立つようになった。

ヘッドギアの中で着用しているマスクのお蔭で呼吸には差し支えないが、目に入って来るのが厭だ。

依頼人さんのように、薄布を買って垂らした方がいいのかな……買うか、今度……

ヘッドギアに取り付けてある日除けを少しずらしてできるだけ顔周りの風の流れがあまり眼に当らないように精々調整する。


6人で速足に歩いていると、風次第では砂埃で「此処に人が居ますよ」と云うようなもので、遠くからでもバレそうになるので、歩行速度を抑え、その分休まずに進み続ける。


ネフワアの村までは、大人の脚で二日かかる道のり。

依頼者に道案内してもらって、場所ごとに危険に応じて街道を逸れたりして、危険をできるだけ回避して進む。



それでもどうしても少しは衝突がある。

三匹程度の少数の野犬だとか、三体程度の少数の小鬼だとか、三人程度の少数の山賊だとか。

大きな母集団を回避した分、そこからはぐれて少数でうろついてる連中と小競り合いになるのだ。


--


「野犬が前から近づいてる、二、三匹だな」

「依頼人さん、自分で片づけますか?」

「まさか。任せる」


今となっては、接近する姿の見えている野犬程度は問題なくブッ殺せる。

三匹程度ならマサ一人で充分だ。

でもずっと歩いていると身体が固まるので、肩慣らしの意味で、軽く体を揺らして解したトヨが先ず射撃し、エイコとトモコが大きなリラックスしたモーションで投げナイフを投擲する。

投げナイフは練習もまだそんなにしてないし、トヨもさすがに動いてる小さな的には当てられない。

でも、今までの経験から、犬をマサがどんな風に楯で受けるかが大体わかるので、その場所を予想して矢とナイフを放ち、犬に集中して攻撃を中てた。

マサは安定した動きで真正面から足元に来た一匹を先ず潰し、肩口へ襲い掛かったのは援護のぼくが左手の棘棒で剥がして砂の上に叩きつけ、素早く踏み殺した。

矢とナイフが中った一匹も、マサが楯の下縁で抑えつけたので、丁度良い位置だった俺が右手の石斧で屠ろうとして、思い直して石斧と棘棒を仕舞い込み、

「マサ、エイコ達の練習台にしよう、これは」

と声をかけて、ちょっと練習させたが、

「ナイフ、難し~ね~」

「中っても刺さらない……」

と言っていたので、マサが石斧で撲り殺した。


依頼人の指示で、野犬の屍骸はその場に放置せず、街道から少し離れた場所へ、敵を引き付ける餌として置いておくことになった。

そこに敵が寄っていれば、街道を行く者がその辺りの敵を回避しやすいという場所だ。

後続の他人の事も考えてやる、まともな依頼人のようだ。

枝きれに引っ掛けて引きずってゆく。



トヨが

「何かいるぞ、右だ」

依頼人が、

「小鬼だ……小鬼が居る」

と呟いた。


魔物である小鬼には近寄りたくないから、投石したり射撃したりして遠くから攻撃するが、的が小さくて変な動きをするのがやっぱり魔物の厭らしさ、トヨが射撃してもなかなか命中しない。

仕方なく、肉迫してきたのをマサが楯で受け止めておいて、俺が横手からブッ殺し、屍骸はすぐに突き放して、できるだけ青黒い独特の穢れが装備に付かないように心がけた。


楯の穢れは仕方ないとして、俺の使った棘棒は小鬼の屍骸を寄せ集めて一緒に焼き捨てた。

焼き捨ててしまえば、とりあえずそれ以上穢れが拡散することはない。

焼き捨てないでおくと、誰かや何かが屍骸などを引きずって持って行って、穢れが撒き散らされてしまうことがあり得る。

焼き捨てても穢れは地面に少し残るので放置しておけず、司祭様みたいな神殿の神官が浄化せねばならないので、ネフワア到着時の報告案件だ。


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