短編 26 童話 狼さん
お口直しですわー。きっとこの時は疲れてたんですねー。
ある日、狼さんが森を歩いていると魔女に出会いました。
はろー。
魔女はそう言って消えていきました。
狼さんは『……』と無言です。
狼さんの散歩は続きます。
川の近くに来ました。
そこでは人魚さんがかっこいいポーズの練習をしていました。
シャキーン! とか言ってます。
狼さんは『……』と生温かく見守りました。
狼さんは人魚さんを無視して川を渡りました。いぬかきです。
狼さんの散歩はまだ続きます。
今度は山に来ました。
いやーん!
と山男さんが裸で踊っています。
狼さんは無言で通りすぎる事にしました。
狼さんの散歩はまだまだ続きます。
狼さんは山の中腹にあるお花畑にやって来ました。
……お兄ちゃん。
お花畑にいた巨大な虎さんが狼さんにそう語りかけて来ました。
人違いです。
狼さんはそう言うと花畑を通りすぎて行きました。
狼さんはまだまだ進みます。
山越えした狼さんは峠道に差し掛かりました。
峠の道は山賊さんが塞いでいました
俺は山賊! そしてここは峠道!
……つまり俺は峠賊なのか?
知らんがな。狼さんは首を傾げる山賊さんの横を通って峠を降りていきました。
狼さんのお散歩はまだまだ続きます。
山を下りた狼さんは大きな湖にたどり着きました。
あなたの探しているものはこの銀の骨ですか? それとも金の骨ですか?
湖から精霊さんが出てきてそう尋ねました。
和牛のサーロインが食べたい。
狼さんが答えると妖精さんは無言で沈んでいきました。
狼さんは湖の縁に沿ってお散歩を続けます。
湖を越えるとそこは大草原が広がっていました。
狼さんは草原をサクサク進みます。
へい! 待ちな!
草の茂みからウサギさんが出てきました。
じゅるり。
狼さんの大きなお口からよだれが垂れました。
ウサギさんは逃げていきました。
狼さんは『……』と無言でウサギさんを見送りました。
空から鷲さんが飛んできて逃げるウサギさんを掴んで空高くへと飛んでいきました。
狼さんは諸行無常を感じて前に進みます。
森を越え。
山を越え。
湖を越えて。
草原を歩く狼さん。
がさがさと。
草むらが動きます。
パパー。
子供の狼達が現れました。草むらから沢山の子供狼さんが出てきました。
よーしよし。パパだよー。
狼さんは子供たちの猛攻に埋もれていきました。
狼さんのお散歩は終わりました。
今回の感想。
ほっこり。