ep1.6
……――そこに「透けた光が臓器を照らしている」という解剖学的な光景は存在しない。
あるのは身体を覆う闇と中央の丸く、白い球
俺と同一の大きさの、恐らくは穢れの無い物。
俺は、本能的にこの一部でもあれば百年は生きられると悟る
そんな稀少な力を感じる物質が斥力を一切感じなかった身体に反発を与えた。
「触れる」という感覚が「衝撃」と「寒気のするほどの感動」を与える。
白い球から溢れた光が混ざるように身体に馴染んで力を与える
一瞬なんでも出来るような万能感が身体を支配し、収まる。
麻薬でも打ったのかと思える狂喜が
無い身体を伝う。
そしてその白は"拒絶"と"許諾"を求めているのを感じた。
身体に支配され、出たがっている。
……何だコレは。
「……どうかしました?…」
外に出て我に返り
出来る気がして豚共が投げていた石を身体から一つ吐き出す……
「…うわ」
「…え?」
気持ち悪い物が出て来たような感覚、排泄物を意図的に生み出したような
同時に、少し残っていた万能感が消費され身体から消えて行くのを感じた。
「おい…。」
「…え…な、なんでしょうか?…」
「…何でお前はここに来た…」




