ep1.2
俺の魂は…穢れていたのか――?
張りのある声が頭の中でリフレインする。
池のほとりまで行くと森だけ。
何処かの窪地か山奥の避暑地
それがこの「場所の認識」。
……それでいい。
森を進み思考を追い出すよう努めよう。
彼らの行動を見た俺の中のストーリーは簡潔で、とても分かり易い。
恐らくやった事は新興宗教がよくやる降霊術か、悪魔召喚の類
反応からして何か神聖な物を呼び出そうとして、存在として広く認識されていた「悪魔」なる物が生み出され……――。
パッみた所そんな物…
”所謂「悪魔」は霊体のように壁を抜け出て行けるかも”という事は
あの「剣士」の反応で推測しただけだった。
それが正しいなんて信じたくはなかったが…。
兎に角。こんな山奥にある窪地や山頂で森があって変なコミュニティがあり、日本語が通じる
という事はここは日本の田舎、山腹の何処か。
栃木か、富山か…。
老人ホームだらけで一時期金持ちが外観に凝って
城を建てまくった富山が有力。
大抵の振興宗教を潰す目的で覚えた自分でさえ、悪魔崇拝や降霊術は範疇の外
欧米に多い物と判断していたし、そもそも数が居ないので注目していなかった。
場所さえ分かれば知り合いに会いに行ける。
政府の人間に会いたいか?と思うとそれ程でもないが
今の状況は危険だとわかる。
何せこの身体のエネルギー、何から出ているか分かった物じゃない。
物質化している以上原子と電気で動いている事に疑いの余地はないが
磁力を始めとする斥力が一切感じられない。
壁を通り抜け、光を屈折させる謎の物体は何時消えてもおかしくはない。
政治にくっついてる新興宗教は潰す対象でも潰せなかった
まさかヤツラに頼る事になる…。
そんな事を考えていると…摩訶不思議な「番い」と目が合った。
豚…。
豚としか見えない顔に小僧の身体がくっついた肌色の豚顔
比喩でも何でもなく本当に首の上から豚の頭が乗っかった2つのエイリアンが
コチラを見つめていた……。可愛い豚の目だ。
「何だコイツ!!」「妖精だ!」
「おい…。」
「話した!!!」「話が出来る妖精だ!!」
またコレか…。
「黒い妖精だ!!」「殺せ!!殴り殺せ!!」
ブンブンと振られた拳がスカスカと俺を通り抜ける。
「当たらねぇ!!」「どけ!!当ててやるから!!」
"地べたにあった石"が俺に飛んで…
スカる…
スカる…
この身体は……。
一体どうなっているのやら…。
「あがっ!!…」
後ろの方で痛みに驚く声がした。