ep1.1
気付くと闇の中に居た――…。
見下げていた俺の墓は消えて、暗い中に人影がいくつか見える。
フードを被っている?
これじゃあ、男か女なのかもわからない……
目線は不気味な物を見るように確実に俺を見てるようだった。
……沈黙が続く
……
「なぁ…」
「!!!」「話した!!!」「話したぞ!!!」「!!!」「離れろ!!!」「離れて!!!!」「エデンス!!!」「エデンス様!!!」
叫び声と混乱、一番近くにあった影が後ろに隠れ
遠くにあった影が彼らの間に立つ。
鋼か?
ピカピカとした中世の鎧のような物
蝋燭と剣とを両手に携えた剣士…。
馬鹿げた格好にフードも付いている。
彼の灯は俺の下にあった「床」と「象形文字」と「図形」をも浮かび上がらせた。
「魔!!……悪魔!!!即座にこの部屋から去りたまえ!!!」
……悪魔…
…何だ……それは……
「小首を傾げよう」としただけで
影共がどよめいた
ゆっくりと水平移動した目線。
肢体がある感覚はない。
まるで達磨様になったような…胴体だけで動く生物…変な感覚がして
吐き気がする――。
「逃げるのか…!!」
「ん…?」
「恐れをなして!穢れたか!!」
「へぇ……。」
そんな追い立てるような顔で来られたら
誰でも恐れるだろうに…。
俺は動ける感覚を覚えている内に蝋燭に照らされた石壁に体当たりした。
頭が壁に当たったと思った瞬間、身体はそこに何もないように新たな闇に包まれ
そこを抜けて光に包まれる。
――外だ。
空は白み、霧が掛かっているが五月雨雲が流れ、青が支配する。
俺は空中に出た。
もがく場面、下を見ると大きな池が見えるだけ
後ろを見、城塔のようにカーブしたデカい石壁を認識する
塔だな。
ゆっくりと下まで降りていく…大池の小島の縁を周りその上に建てられた大きな丸い塔を見る
舞空術でも使ってるような気分だ。
「思う自在に動ける」という感覚は俺の万能感を支配していく
誰かが俺を批判して欲しい場面。
……入口も見当たらないが。
どうやってこの塔に入るのだろうか?。
見下げると水面に自分が写っていた。
その壁から抜け出て来たであろう物は
丸く、黒い、ただの球体――。
コレが俺の「今の姿」。