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プロローグ
ep1
―――都内
高層マンションの最上階
―――影が立ちすくむ
…―――後日、男が縄に吊るされて見つかった
死因は自殺…外傷も遺書もなかった
残されたのは笑顔の死体だけ
魂があるとして「成仏している」と誰もが思う朗らかな表情をしていた
葬儀屋に送られた死体は即座に焼却され、無縁仏となる
新地の墓地に共同で納められる予定だ。
彼に仲間はいなかった。ゴミのない部屋、無駄に丈夫な身体で
国に頼まれて諜報紛いの事をやっていたがそれを知る者は殆どいない
人望に恵まれず
そのまま俺は死んだ…そして
まだ現世に存在していた、正直に言えば無に帰すと信じていた
仮にドラマのような魂があったとして
悔いがなければ何処かに消える
そんな推測を抱いていたのを後悔する。
何も信じてはいなかったが…
存在している自分自身の意識を無い物だと思う事は出来ない。
コレ以上何をしろというのか……
「サ……!!リト…ト…!!」