第1章①
「マジでお前は、行動する理由がないとダメだよな~」
こいつは、何様だ。同じ帰宅部員だっていうのに。
教室で、いつものように優人と話す。伸也 優人 こいつは席替えで席が、隣になってから2日で気軽に話し掛けれる間柄になり、よく話し合うようになった。身長は、180はあるだろう。自分で言うのも変だが、高校1年イケメンランキング第5位になった俺より上の第3位に輝いたやつだ。運動神経が悪いが……
「暁は、やろうとしたらすげぇのにさぁ〜俺を助けてくれた時みたいにさ!」
優人は、前のめりながらまたいつものように、俺に何かをするよう促す。
俺の名前は、 暁 高慢、話を続ける。
「ーーったく助けたって、いつの話してんだ」
「2週間前だね」
「もう結構前じゃねぇか、いつまでも引っ張てくんな」
教室のドアが、ガラガラと音をたて開かれ1人の少女がこちら側に来る。彼女の名前は、剣 天熾、学園のアイドルさまだ。我ながら、可愛いと思う女の1人だ。身長は、俺より5センチ程小さい164センチで、胸は、Eカップだ。前、アホだから自分で俺に暴露してきた。もう一度言おうこいつは、アホだ。
「またいつもの話してるの?」
天熾が、笑顔で話かけくる。と同時に、俺は、何かを感じビクッと後ろから驚かされた奴のように飛び跳ねてしまった。
「あれ?暁気づかなかった?」
「ーーいいや······気づいてたんだが何故かビックリした······俺にもよう分からん。」
「ふぅ〜ん、でっ!いつもの話なのかなぁ〜」
その天熾の問いかけに対して優人は、すぐ反応する。
「そうなんだよ〜あやちゃんからも、幼馴染としてこいつに言い続けてやってくれ」
「生憎俺の生き方は、誰にも変えさせやしないと決めているんでなぁ」
優人は、毎日言い続けてないと俺がダメ人間になると思ってるらしい。言われ続けても俺は、変われやしないのにな。
なんで、俺の考え方を批難してくるんだ?
君達は、俺の両親なのか?
なら、天熾は、俺のお母さんと交代してくれ。毎日なんでも言うこと聞くわ!
そんな事、考えているうちに目を瞑り、身体を振子みたいにゆっくり揺らして悩む仕草をしていた天熾が、動きを止めた。
「じゃあねぇ〜罰ゲームとかで、無理矢理言うこと聞かそうかなぁ〜」
「いいねそれ!」
優人も、乗る気だ。
今日の天熾は、久しぶりに頭を使ってくるな。俺が、勝ったらどうゆうふうにイジってやろうか。まずは、俺のフィールドにーー
「遊激王で勝負しよ!」
ん?今、天熾は、なんて言った。遊激王だと!!俺のフィールド上で勝負するのというのか!
どんなデッキでくるのかは、知らんが俺の方が強いはずだ。
まあ、本気で罰ゲームをしてくる事は、無いってことなのかな?
俺は、久しぶりの遊激王だからか?先程からの違和感を気にしないようにするためか?中二病チックな発言をする。
「受けてたってやろう5ターン以内に殺してやる」
「じゃあ、昼休みにやろうね!簡単には、倒されんよぉ〜。待っているぞ!」
天熾も俺に合わせてアニメのキャラのようなセリフを言ったのか?、クラスの女子グループの中に入っていく。
「俺も、入れてくれよ暁」
「お前、1番弱いだろ勝てんのか」
優人が、笑みを浮かべ、親指をあげグッドサインをだしながら言う。
「大丈夫だ問題ない」
「ーーー優人、それは死亡フラグだ」
ーーったく、にしてもどうしたんだろうな。
暁は、先程からの違和感を感じ無かったことにする。
いや……感じなかったと自身に言いきかせる。
今日俺は、妙に天熾と距離をとっていた。
妙に闘争心?悪寒?恐怖?
彼が、今まで感じたことのない感覚が彼を混乱させる。
暁は、今日喋りにきた天熾に対して若干距離を置いていたような気がする。
幼馴染だからか今まで彼女を意識して女の子として見た事が無かったのかもしれない。
「少し、暁も成長したかな?」
「いきなりどうした?成長しない人間は、猿と同じだが俺は、成長する必要性があった人間ではないと思っていたんだがな」
ふぅ、と独特のため息を暁はつく。
まさに、暁らしい返事が返ってくる。今は、まだ無意識なのかな?
「そんな事よりさぁヒロト!今日帰りにどこかよるか?」
暁が、遊びに誘ってくる。まあ、遊激王、デュマルマスターズ、アタックスピリッツ、3種類ものカードゲームをしているからカードショップでも寄るのだろう。お互い相変わらずの金持ちだと思える程の高額カードばっかり買っている。お互い親が、社長だからなんだろうが······
「すまん、無理だ」
「そうか、じゃあまた次カードショップ行こうぜ」
ほらビンゴ、やっぱりカードショップだ。
暁と喋るようになってからは、イジメられる事もなくなった。
暁は、頭が良いし、真面目に体育の授業を受けてないから分からないが運動神経もいいのだろう。足が、帰宅部であるのに異常に速い。学年で1番速い事は、みんなの共通知識になっている。
俺への周りからのイジメが、過激になった2学期の10月末「ーー気持ち悪ッ」その言葉を吐いてから3分ぐらいだっただろう。虐めっ子4人を殴られてから殴り返していた。
彼が、言うには相手を殴って良い理由をつくっていたらしい。
誰を前にしても、自身の考え方が正しいと信じまっすぐ貫いていく彼は、最強なのだろう。
誰にも変えることのできない彼の自尊心は、尊いものだろう。
彼は、優しい心を持っている。
しかし、彼の無愛想なところが理由なのか友達が少ない。自分の意見を正しいと貫く彼は、多くの人との意見の衝突があるのだろう。普段は、眼鏡をかけているからか彼のイカつい眼は、数倍マシに見える。その眼も衝突の原因なんだろう。
チャイムが鳴り朝のHRが始まる。
そして暁と伸也は、思う。
『今日の、昼休みが楽しみだ』