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ゲーム世界に三年居た俺は女剣士に見下されました⑥

 エクスキューショナーを盾代わりにして、ガンマのプロミネンスソードを受け止めた。

 この野郎。口上もなく突っ込んできやがって。余裕で反応できたけど。


「大剣か……そんな重量武器で、俺の動きについてこれるか?」

「ご心配どうも。そして余計なお世話だ」


 近くで見るとさらにやばい目だな。子供が見たらトラウマになるレベルだぞ。いや……すでに俺もトラウマになってるか。


 もういいや。こいつの戦闘狂に付き合ってられない。


 さっさと終わらせる。


「!?」


 力任せにガンマを後ろへ押し返す。そのまま地面を蹴って、追撃。


「【パワーストライク】」


 闘気を大剣に込めて威力を上げる。【パワーストライク】だ。

 四角って肩書きに敬意を表して、ちょっとだけレベル高めに撃ってやったぞ。


「ぬあっ!?」


 パワーストライクをプロミネンスソードで受け切れず、ガンマは吹っ飛んで木に打ちつけられた。衝撃で木がへし折れて、ガンマの体が下敷きになる。


「な、なに……」


 初撃だけで、かなりダメージ入ったな。剣で受けても、闘気が貫通してダメージを与えるからな。木の下敷きになったのは狙ったわけじゃなくて、こいつの運が悪かっただけだ。


「……フレアバースト!」


 木を跳ね除けて立ち上がったガンマが、フレアバーストを詠唱してきた。紅魔法は普通の色魔法じゃない。こんなに連発してくるなんて……やっぱりこいつ、魔力は半端じゃない。さすがダークエルフ。


 まぁ無駄だけど。


「メガフェルノス」


 中級赤色魔法で余裕で対応できるからな。

 正面からぶつかったメガフェルノスとフレアバースト。お互いに爆風を巻き上げて相殺された。いや、少し俺のメガフェルノスのほうが押し返したかな? 火の粉がガンマに降りかかってる。


「……お前、何者だ? 俺のフレアバーストを、普通の色魔法で弾けるわけがねぇ」

「何者……? うーん。しいて言うなら『強くてもう一回最初から』みたいな?」

「お前の顔どこかで……なんでだ? なんでお前の顔を見ると熱くなるんだ……」


 おい。スルーすんなよ。

 それとなんか誤解を生みそうな言い方やめれ。男にそんな風に言われても気持ち悪いだけだっての。ぎゃーっ!? 見るな! その目で俺を見るんじゃねぇ!


「……まぁいい。俺とお前の面識など関係ない。わかっていることは……お前が俺を楽しませてくれる存在だってことだぁ!」


 おい。それ以上発狂すんなよ。面倒度合が増すだけだから。


「ひゃーっはっはっは!」


 プロミネンスソードの炎が拡散して、刀身が伸びた。

 魔力で刀身を自在に変化させるから、間合いが無限なんだ。距離をいくら取ってても意味がない。前に戦った時は、これに苦しまされた。

 数メートルあった間合い。伸びた刀身がそれを一気に埋める。切っ先が俺の首めがけて、まるで飛んでくるように向かってきた。


「よっと」


 まぁ今は関係ねぇけど。

 伸びた刀身が俺の首に届く瞬間、エクスキューショナーで叩き折った。折られた刃はまた炎になって拡散。弾けて刀身が消滅した。


「ひゃはは! 俺のプロミネンスソードを簡単に折るか! だが……」


 折った直後だってのに、刀身がまたすぐに復活した。さっきよりも炎の紅色が濃い。今度は魔力を上乗せして強度を上げてやがるな。刀身を伸ばすだけじゃなくて、強度も魔力で自由自在だ。使用者の魔力次第でいくらでも強くなる。それが魔法剣だ。


「おらぁ!」


 素早く接近してきて、横なぎにプロミネンスソードを一線してきたガンマ。ダークエルフは身体能力が人間に比べてかなり高い。さすがだな。普通は反応できない。


「おっと」


 まぁ俺はできるけど。

 体を反らして斬撃を回避。その反動のまま、体を一回転させながらコマンドで覇拳を選択して、ガンマの腹部にカウンター攻撃。攻撃の直後で無防備だったガンマは、反応できずに直撃を受けた。


「ぐっは!?」


 これもちょっとだけレベル高めで撃ってやった。でも、ガンマは地面を転がった後すぐに立ち上がった。こいつ、タフだな。もっとレベル上げて撃つか。


 体勢を整えたガンマは、一度攻撃の手を休めて、俺のことを観察するように見てきた。狂気の顔に、少しだけ冷静さが見える。


「……お前は強いな。おそらくは俺よりも強い」

「うん」

「……あんた、もうちょっと謙遜心とかないの?」


 アマノの鋭いツッコミ。だって事実だもん。謙遜とかないもん。


「でも……勝つのは俺だぁ!?」

「いや、無理だから」

「ひゃーはっはっは!」


 聞いてねぇし。もう冷静さがどこか行ったよ。ただの狂気顔に戻ったよ。


 魔力を集中させたガンマの体中から、紅炎が溢れ出す。渦巻いて、弾けながら、上空に集まって行く。熱気で周りの温度が上がってきた。炎が直接触れていない木々が焦げるほどの熱だ。


 えっと……あれって確か、ガンマの奥の手。前に戦ったときも、最後に撃ってきた魔法だ。なんだっけ……名前は……。


「燃え尽きろぉぉぉぉぉ!?」


 あぁ、思い出した。


 【ヘルフレアバースト(地獄の太陽爆発)】。


 フレアバーストに、ガンマの生命力を上乗せして撃つ紅魔法だ。

 その威力はフレアバーストの数倍。

 確か生命力が魔界の地獄炎に似た力に変換されてるから、そんな名前なんだっけ?


 上空に集まっていた紅炎がピタリとその動きを止める。数秒の静寂。その直後……フレアバーストとは比べものにならない魔力を帯びた紅炎の球体が、俺に撃ち出されてきた。


 奥の手で俺を確実に殺すってことか。いよいよ本気ってことだな。


 でも……そういうのいいや。


 普通なら、ここで必死に対抗手段を考えて、攻撃を受けなきゃいけないんだろう。実際、前に戦ったときはそうだった。叩き落とす。受け切る。相殺する。いろんな選択肢が頭を巡って、最善の方法を模索した。ボス戦の最後の展開なんてそんなもんだ。


 でも、もう展開とかいいから。


 今の俺、普通じゃねぇもん。


「カラフリア」


 だから単純に、最強魔法で迎え撃つわ。


「なっ!?」


 ヘルフレアバーストなる、紅炎の球体は、俺のカラフリアにあっという間に弾き飛ばされた。それでも勢いを全く弱めないで、全色の魔力が固められた球体がガンマを襲う。


「ぐおあぁぁぁぁぁぁぁ!?」


 自分の奥の手が全く通用しなかったことに動揺していたガンマは、次の手を考える暇もなく、カラフリアに飲み込まれた。断末魔の悲鳴が響く。でけぇ声だな。あー耳がいてぇ。


「ほい。終わり」


 カラフリアは森の一部に大穴を空けて、爆発を起こした。ちゃんと範囲を絞ったから、森には大した被害はない。下手に範囲を広げちまうと、森が吹っ飛びます(マジで)。

 空いた大穴。その中心でガンマは……虫の息だった。

 残念だけど、前にお前と戦ったときとはレベルが違うから。俺を恨まないでくれよ。


「……本当にチートよね」

「お前さ、俺が強敵を倒す度にそれ言うのやめないか?」

「だって間違ってないじゃないの」

「……」


 なにも言えん。ちくしょう……確かに状況だけ見れば間違ってはいないんだけど。チート扱いはやめてほしい。


「……お前は」


 あ、もう一人面倒なのが残ってたな。

 体を庇いながら立ち上がったラナフィスが、目を丸くして俺を見てた。かなり驚愕している様子ですね。馬鹿にしてた相手が、完全に自分より下だと思ってた相手が、自分をボコボコにした敵をあっという間に倒したんだからな。


「お前は……何者だ? あの四角をあっという間に……」


 さて、なんて説明したもんか。ステータスを見せれば早いんだけど、あんまり仲間以外に見せたくないし。


「……しいて言えば『強くてもう一回最初から』みたいな?」

「……お前、頭は大丈夫か?」


 正面からの感想ありがとよ。

 ちくしょう……現世界の人間なら一発で意味伝わるのに。


「それに……お前が背中に背負っているのは魔剣エクスキューショナーじゃないのか? 古代の魔人が持っていたと言われる魔剣を……なぜお前が……」

「良く似た別物です」

「……」


 白けた目で見られた。

 こいつに冗談は通用しないみたいだな。真面目かっ。

 つーか、よくエクスキューショナーのこと知ってるな? 裏ダンジョンの魔人(確かサタンだっけ?)が持ってる剣だから、一般的には知られてないはずなんだけど。


 ……さて、さっきから目に見えてるもんがある。ツッコんでいいもんか迷ってたんだけど。気が付いてないみたいだから、教えてやるか。


「お前、言いにくいけど一つ言っておく」

「……なんだ?」

「……鎧が砕けて服が燃えて、下着丸見え」

「……? それがどうした? そんなことはわかっている」


 それがどうした? じゃねぇよ。気が付いてたのに放置かよ。羞恥心ゼロか。

 そんなでかい物ちらつかせるな。眼福どころか目に毒なんだよ。インパクトの薄さなら、アマノぐらいがちょうどいい。


「死ね。切った大木の下敷きになって死ね」

「……お前、マジで俺の心読んでるの?」


 段々怖くなってきた。


 さてと……無駄話してる場合じゃないな。四角を倒したんだ。これでクエストは終わりだろ? さっさと町に帰って町長に報告を……。


「……?」


 俺は違和感に気が付いた。

 なにか忘れてる……あっそういや……いつも出るはずのものが出てない。

 いつもならボスを倒したあと、メッセージが流れるはずだ。


【○○○を倒した】って感じで。


 それが出てない。


 ……もしかして。嫌な予感。当たらないで。


「いてぇなぁ……いてぇじゃねぇかよぉ……あーはっはっは!」


 ……当たった。やっぱりな。

 俺のカラフリアが空けた穴から、ガンマが出てきた。全身ボロボロなのに、笑ってやがる。傷だらけの顔と発狂した笑い声が合わさって気持ち悪さを倍増させて、さっきよりもやばい感じになってやがる。


 ……手加減しすぎたな。もうちょっと強く撃っときゃよかった。消し飛ばすつもりで。


「もういいから。寝とけって。な?」

「寝ていられるかよぉ……お前との戦い……興奮すんだよ! 俺をもっと興奮させろぉ!」


 丁重にお断りします。興奮すんじゃねぇ。男に興奮されても気持ちわりぃだけだ。


 ああくそ……面倒だな。せっかく手加減してやってたのに。


「……次は本気で殺すけど? 死んでから後悔するぞ?」

「いいぜぇ……殺す気できやがれぇ!」


 あっそ。じゃあ遠慮なく。マジで遠慮なく。殺します。


 ガンマに止めを刺そうと、俺がエクスキューショナーを構えようとしたときだった。


「……アカム?」


 サニーがアカムの名前を呼んだ。その瞬間――。


「きゅ……きゅー!? きゅきゅきゅ……きゅうぅぅぅ!?」


 アカムがサニーの腕から飛び出し、苦しそうな声をあげながら、飛び上がった。その体は、夕日に照らされて真っ赤に染まってる。


 いや、それにしても赤すぎる。


 赤すぎるほど、赤い。それに、感じる膨大な魔力……。


「……おいおい。まさか」


 サンセットドラゴンは、夕日の光を吸収して成長する。アカムが召喚魔法で生み出されたサンセットドラゴンだとしたら……長時間夕日森にいて、光を吸収していたんだ。あとは考えなくてもわかる。


「アカム!?」

「サニー!? 近づいたら駄目よ!」


 アカムの体がどんどん巨大化していく。

 丸かった牙と爪は、大きく鋭く変化。鱗は赤くギラギラと光り、その硬さを主張してる。翼は自分の体ぐらい大きくなって、なによりも……さっきとは比べものにならないほど、敵意に満ちた鋭い目。森の木よりも大きく成長したその姿が……。


「……これがサンセットドラゴンの成体かよ」


 でかい。

 でかすぎる。

 やばい。ちょっとびびる。こんなにでかいモンスターは、俺も数えるほどしか見たことが無い。


「アカム!?」


 サニーが呼びかける。でも……その声になんの反応も示さない。

 大口を開けて空を仰ぎ、咆哮した。森全体に、まるで衝撃波みたいにビリビリと反響してる。


「きゃあ!?」

「サニー!?」


 咆哮の衝撃でよろけたサニーを、アマノが抱きとめた。森の木が震えるほどの衝撃だ。体の小さいサニーは衝撃で立っていられなかった。どんだけでかい声だよ。


「……成体になっちまったか。まぁ神器としてはどっちにしろ成体になってもらわないと困るんだがな」

「おいコラ。お前らのペットだろ? 責任とって面倒みろよ」

「言われるまでもあるかよぉ!?」


 ガンマがプロミネンスソードを構えて大きくジャンプ。吹きだした紅炎が刀身を強化し、攻撃力を増した切っ先を、アカムの胸部分へと突き刺した。


 ……いや、突き刺さらなかった。


 完全に、アカムの鱗に刀身の強度が劣っている。ガンマの魔力が注ぎ込まれてるプロミネンスソードが。魔力を上乗せした強化したにも関わらず。


「なにっ!? 俺のプロミネンスソードが一ミリも刺さらないだと……」


 ギロリ、とガンマを睨んだアカムは……また大口を開けた。そして、


「ぐおぉぉぉぉぉ!?」


 口から巨大な火球を吐いた。幼体の時とは比べものにならないほどでかい炎だ。

 近距離でガンマは炎に飲まれて、森を何十メートルも吹っ飛んだ。赤色属性に耐性のあるガンマでも、あれだけの勢いの炎を食らったらひとたまりもないな。


 今度こそ死んだかな? あいつ。死んでくれてると助かる。


 って、それどころじゃないや……神眼。


【夕焼けの竜・サンセットドラゴン Lv200】


 ……マジで?

 数日夕日の光を吸収しただけでこんなレベルになるの?


「……げっ」


 アカムがまた大口を開けた。今度は俺たちに向かって。やっべぇ。


「全員動くなよ!?」


 全員を制止して、コマンドからクリアシールドを選択して発動させる。クリアシールドは色魔法だけじゃなくて、敵の特殊攻撃も防げる。ドラゴンの炎とかね。


「うぉっと!?」


 クリアシールドはなんとかアカムの炎を防いだ。あまりの威力で、めちゃくちゃ揺れたな。正直、危なかったぞ。低レベルすぎたか? もう少しで破られるところだった。


 いや、それよりも問題なのは……。


「あいつ、普通に俺らにも攻撃してきたな?」


 つまり、俺たちも敵として見てるってことだ。

 あれだけサニーに懐いてたのに、成体化したことで意識が飛んでるのか?


「お、おい……森が……」


 ラナフィスの動揺した声に、周りを見ると……炎で焼かれ、原型を失いつつある木々たちが目に入ってきた。

 俺たちはクリアシールドで防いだけど、周りの木まで守ってられねぇな。くそ。

 このままじゃ、森がめちゃくちゃになるぞ。


「仕方ねぇな……」


 やられる前にやるしかねぇか。こいつが暴れたら、サンセットにも被害が出るかもしれない。


「私も手伝う……」

「怪我人は大人しく休んでろ。アマノ。サンセットドラゴンは属性的に青色魔法に弱い。適当に援護してくれ」

「……わかったわ」


 四の五の言ってられない。やらなきゃ森がやられる。

 アカムに向かって戦闘態勢をとった俺たちを、


「待って!?」


 止めたのはサニーだった。


「サニー?」

「……ユッキー。アカムは怖がってるだけだよ」


 泣きそうな目を必死で強く保ってるサニーは、アカムを見上げた。

 アカムはまた……天を仰いで、咆哮してる。森全体がまた震えた。


 ……なんだか、泣いてるように聞こえる。


「……こんなに寂しそうな声出してるもん」


 意識が飛んでても、自分がやってることを理解してるのか?

 自分の故郷を。自分の手で壊してることを。


「勝手に世界に生み出されて……ずっと怖い人たちに囲まれてて……友達もいないで、一人ぼっちだったんだよ? アカムは……またそうなっちゃうのが怖いだけだよ」


 サニーの目から、堪えきれなくなった涙がこぼれた。


「アカムは……良い子だもん! お願いだから殺さないで! アカムを……助けてあげて!」

「……」


 なんの根拠もない。子供の理論だ。

 アカムは今、こっちの声を聞くとは限らないんだ。感情に流されて、そんな賭けに出るよりも、森やサンセットの安全を優先するべきだ。


「サニー。これ以上アカムが暴れたら夕日森はめちゃくちゃになる。近くにあるサンセットもどうなるかわからないぞ? それでもお前は……アカムを助けたいってのか?」

「ヒロユキ!」


 俺を睨んできたアマノを、黙ってろと手で合図する。アマノも本当はわかっているんだ。今の状況を。だから俺の制止に黙って応じた。


「それともなにか? アカムも夕日森もサンセットも……全部助けるなんてこと考えてんのか? そんなもん、普通は無理だぞ。アカムか、それとも夕日森とサンセットか。どっちかを選ぶとしたらお前は――」

「……全部、助けてくれるもん」


 目を擦って、泣いていたはずのサニーは……笑顔になっていた。


「ユッキーは普通じゃないもんね? 助けてくれるもん……アカムも、夕日森もサンセットも……」

「……」


 ……ああくそ。


 その笑顔は反則だ。


 純粋で真っ直ぐにそんな信頼を向けられたら……。


「……アマノ。俺が適当にアカムの攻撃を引き受けるから、青色魔法で攻撃しろ」

「……いいの?」

「あぁ。全力でやれ。お前のレベルなら殺しちまうことはねぇだろ」


 振り返って、サニーに向けて右手を突き出す。


 やってやる。そういう意味だ。


「ユッキー……」


 ったく、俺も子供にあめぇな。

 さくっとやっつけちまえば楽なのに。わざわざ面倒な方を選んじまってる。


「……素直に最初からそう言えばいいのに」

「うるせぇ」

「で? どうするのよ? 私はずっと攻撃してればいいわけ?」

「あぁ。SPが切れる寸前まで撃ちまくれ。レベルに差があっても、特性色で弱点色だ。ダメージがそこそこ通る。それでアカムを弱らせろ。それからラナフィス」

「……なんだ?」

「やっぱお前にも一つ手伝ってもらう。お前の特性色は?」

「……赤色だ」

「やっぱりな。じゃあ決定だ。俺の指示通りに動いてくれ」


 殺さないってのは、今の俺には一番難しい。手加減しても、アカムに致命傷を与える可能性もあるんだ。だから、攻撃はなるべくアマノとラナフィスに任せる。


「……弱らせてどうする気なの?」

「考えがある」


 うちのお姫様の願いだ。


 いっちょ……気合い入れて頑張るとするか!










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『おまけショートチャット』


「……(服が破れて下着が露出してるラナフィスを見てる)」

「……なんだ? 私の服になにか付いているか?」

「あんた。なにガン見してるのよ。この変態」

「……(さっき、悪魔の囁き効果で下着姿になったアマノを思い出す)」

「……なに見てんのよ?」

「うん。やっぱり完敗だな(体的には)」

「どういう意味かゆっくり聞かせてもらおうかしらね? 場合によっては地獄見せるから」


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