表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

昔ばなしシリーズ

ずれること4.5㎝

作者: 羽入 満月

 昔々、あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。おじいさんとおばあさんには子供がなく、でも、どうしても子供がほしかったので、近くの神社に「小さくてもいいので子供がほしい。」とお願いをしていました。

 そんなある日のこと。おじいさんとおばあさんに子供ができました。子供は一寸ほどの大きさでした。おじいさんは、この子供に『一寸法師』と名付けようとしました。

 が、子どもが言いました。

 「じいさん、ちょっと待ってくれよ。俺は一寸よりもうちょい身長あるぜ。一寸法師なんて名前は嫌だ!もっと、『体は子供、頭脳は大人!!』みたいな名前を付けてくれよ。」

 そういわれてしまったので、おじいさんとおばあさんは考えに考えて、1.5寸法師と名付けました。


 1.5寸法師は、何年たっても大きくなることはありませんでした。何年たっても大きくならないのでおじいさんとおばあさんは、「こいつ、追い出そう。」と夜な夜な相談していました。その相談する姿をみた1.5寸法師は、「やべえ、じいさんとばあさんに家出計画がばれたかも。こうなったら、先手必勝するしかねえ。」と思い、次の日おじいさんとおばあさんに「都に行って名をあげてくる。」と話しました。二人はびっくりしていましたが、「お前がそこまで言うなら仕方がない。」と喜んで送り出してくれました。餞別としてお椀の船に箸の櫂を渡そうとしました。

 「マジかよ、ばあさん。お椀の船はまあいいけど、箸の櫂って…。もっとスピードが出そうな、漕げそうな、いい感じのものをくれよ。」

 そう言われておばあさんは困りました。家じゅうひっくり返して探した結果、木の匙を持たせることになりました。

 1.5寸法師は、お椀の船に木の匙を持って、家の近くの川を下って行きました。




 「ねえ、お父さん?幼稚園で読んでもらった一寸法師と、お話がなんだか違うよ?」

 「そうかい?でも本屋さんで買ってきた、「昔話全集 第七巻」に書いてあるから、そういうお話なんだよ。最近は、子ども向けにアレンジされたものがあるってよく聞くから、そう言うお話になったんだよ、きっと。」

 「フーン。よくわかんない。ほかにどんなお話があるの?」

 「そうだな、何々。桃太郎っぽい話と、鶴の恩返しっぽい話と金の斧、銀の斧っぽい話と…」

 「みんな『っぽい』話なんだね。」

 「ほんとだね。ほら、もうこんな時間だ。そろそろ寝なさい。」

 「はーい。」




 めでたしめでたし。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ