表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無双剣姫と旅しませんか?  作者: ぜる
第一章、僕と私の異世界見聞録
3/7

第一話、さまよう者




熊の瞬間解体を終えた私は、その横にへたりこんでる少年に手を貸した。特にケガは無さそうだ。


ついでに少し、彼の事を観察してみる。


黒髪に、一見年齢が判断しづらい幼げな顔つき。


私より背の低い体は全体的に細く、肉づきが薄い。


顔には、可愛らしい丸メガネ。




とりあえず、先程気になった事を聞こう。


「…………君、どこから現れたの?」


だが少年は狼狽えたようにするだけである。


それをじっと見守っていると、やがて彼は落ち着いたのか、おずおずと口を開いた。


「えっと………ここは、どこでしょうか?」


おや?



もしかして彼は現在の状況を理解していない?


「………ええっと」


「あ!いや、記憶喪失とかそんなんじゃなくて!ただ、気がついたらこんな場所にいて、あんなのに襲われたからつい………」


ふむ。それはつまり………



彼の服装をよく見ると、ここらでは見慣れないものであり、なおかつ質は良さそう。

さらに言えば、こんな森の奥にいるのにも関わらず、汚れらしい汚れが見当たらない。


先程の違和感と、これらの事を総合して考えると答えは一つであった。


「…………君、もしかしてこことは別の場所で神隠しにあった?」








その言葉を聞いて、どうやら彼女に上手く状況を伝えられたようだと安心できた。


「えっと…ぼ、僕は宮間 翔と言います。あ、貴女様は……?」


「………セリアです。様、はいらないですよ…?」


「あ、はい……」


気分を害したのだろうか。


いや、彼女の表情に特に変化は無い。


相変わらず、その紅い瞳でまじまじとこちらを見つめてくる。


てか、近い。


距離感、近いです。


女性経験皆無の僕にはその距離感は厳しいです。


思わず顔を背ける。


「……えっと、ここで立ち話もあれだし、移動しない、かな。」


「あ、はい。」


彼女の声に思わず振り向いて返事。


彼女の端麗な容姿に見つめられて、僕は思わず赤面した。







光が木々の間から斜めに射し込んでくる森の中。


「ええっと…それで、セリア……さん?はこの森に何をしに……?」


ミヤマ・ショーと名乗る少年を保護した私は、この森を出るべく歩を進めていた。


「……先程の熊さんの討伐です。近隣の村々を荒らし回っていたそうで。」


そう言って、私は彼の手元にある包み――破壊熊(ディスガイズベア)の頭部――を見やる。


討伐証明に必要だったので私が持とうとしたところ、彼が持つと言い出したので、その厚意に甘えることにしたのだ。


「な、なるほど。あ、さっきはほんとにありがとうございました!」



またお礼を言われてしまった。


と、いうかこの頭を下げる動作はなんなのだろうか?話の流れ的に、感謝を表すものらしいが……


「………えっと、ミヤマ?その頭を下げる動作は……何?」


「え?あ、えっと、その、こ、これは故郷の―――」



話を聞いてみると、これは彼の故郷で日常的に使われている所作の一つなのだそうだ。また、彼の故郷も聞き出す事ができた。

うーむ、服装といい、動作といい、ニホンという島国といい、長らく旅をしてきた私でも聞いた事のない情報ばかり。


世界って、広いな………








く、熊の頭、思ってたより重い…………


つい見栄と申し訳なさが先立って、持つと言い出したはいいが、想像してたより重い。後、血生臭い。


ま、まあ女の子にこんなの持たせるくらいなら……頑張ろ。


歩を進めながら、僕は彼女を見つめた。


紅い瞳に、黒髪のロングでサイドを結い、腰にはあの巨大な熊を切り刻んだとは思えない、細身の小刀二本を挿している。


ロングコートを肩に羽織り、胸甲以外には防具は見当たらない。


細身ながらも引き締まった体に、毅然とした歩き姿。


僕と会話しながらも、不意に飛び出してくる獣を瞬時に切り伏せる彼女のその姿に、ただただ凄いと思うしかなかった。


凄いのだが………




「あの……セリアさん?」


「…………どうしました?」


「その、つかぬ事をお聞きしますが……もしかして迷ってます?」


僕の視線の先には、少し前にセリアさんが切り伏せてそのまま放置して歩き去ったはずの獣の骸があった。








彼の視線の先にあるものを見て、もう誤魔化しようが無いことを悟った。


私の脳内会議は、先程から私の不手際を責める声で紛糾しっぱなしである。


というか、熊を見つける前から既に迷っていたのだ。


今更歩き回ったって見つかる訳無い。



迷子、という現実から目を背けようと足掻く私のもとに更に。





くぅ………





お腹が情けなくなる音。


空を仰ぎみると既に赤みがかっている。


考えてみれば、今日丸一日、水しか口にしていない。


元々日帰りを予定していたため、昨日の時点で食料は尽きている。


この森に、人間が美味しくいただける物は存在しないことは昨日さまよった時点で分かっていた。獣の肉を含め、食べれば間違いなく食あたりを起こすだろう。


つまり、今の私はかなり内心かなり滅入ってるわけで……


などと考えていると再びお腹のなる音。


思わず崩れ落ちそうになる私に、彼が目を向けてきた。今の聞かれたのか。ハズカシイ。



「セリアさん……これ、水音…ですかね?」


違った。彼は別の音を聞いていたらしい。


ん………?水?



音の出所へ向かうと、一本の川があった。


しめた。


確か、森に隣接する村は、森から出る川の下流にあったはず。


これをくだれば、村に着く。


「………行こう?」


これをくだれば、村が待っている。


美味しいご飯が待っている。


そう、ご飯だご飯。


ご飯さえあれば全てよし。


迷子だったという事実を捨て去り、私達はただご飯を求め川をくだった。

二人の視点を交互に変える感じで書いてみたけど、やはり見苦しいですかね………。


でもしばらく新キャラ出す予定無いし、これで様子見てみます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ